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夏アニメ『アンデッドガール・マーダーファルス』黒沢ともよ&八代拓インタビュー

夏アニメ『アンデッドガール・マーダーファルス』黒沢ともよさん&八代拓さんインタビュー|とてつもない台詞の数から生まれる奇妙な人間ドラマーー2023年は『アンファル』だけは見逃さないで!

推理小説の殿堂である第22回鮎川哲也賞を受賞した青崎有吾氏による『アンデッドガール・マーダーファルス』が、ついに2023年7月5日よりTVアニメとして放送スタート。

本作は、「怪物一掃」が進んだ19世紀末を舞台に、首から下を失った不死の美少女・輪堂 鴉夜(りんどう あや)と、半人半鬼の謎の男・真打 津軽(しんうち つがる)が、怪物専門の探偵として欧州各国を巡っていくミステリー作品です。

ストーリーの秀逸さもアニメのクオリティも2023年夏アニメの中で最注目作品のひとつと言って過言ではないでしょう。

今回は輪堂 鴉夜を演じる黒沢ともよさんと真打 津軽を演じる八代拓さんに作品の見どころをお聞きしました。

膨大な台詞の量に圧倒されたとのことですが、お二人が思わず熱く語ってしまうほどの作品ということがインタビューを通して伝わってきました。

これを1クール分やるのかあ。2023年はこれだな

ーー本作を初めて見たときの印象や原作を読まれたときの感想を教えてください。

八代拓さん(以下、八代):原作を読んだんですが、本当に要素が盛りだくさんで、何とも言い表せないような……。もちろん、ミステリーという大きな根幹はありますが、そこに人ならざるものも出てくるし、他の小説でも見たことがある誰もが知るキャラクターが出てきたりします。色々な要素が沢山あって、それがカオスに混ざり合うんですけど、最終的には『アンファル』にしかない落ち着きどころがある。

しかも、それは喜劇的に幕を閉じるような結末なんです。それが読んでいてすごく心地良くて。どんどん読めて、続きが気になってしまう。今まで出会ったことがないような魅力を含んだ作品だと感じました。

原作を読んだときから、それを演じるのが楽しみでしたし、「アニメになったらどうなるんだろう」という想像が膨らむような印象でした。

黒沢ともよさん(以下、黒沢):最初に原作を読ませていただいたとき、物語としてすごく読みやすくて、中高生の方にも気楽に読み始めて楽しんでもらえる、しっかりとした小説だなと思ったのが、第一印象でした。

動きの描写がとても細かくて躍動感があるので、映像化したときには親和性が高そうだなというのも感じました。死との距離感が非常に揺らぎつつある現代で、死ねない二人が旅する物語は大人がおとぎ話的に見ていただく上でも、すごく考えてもらうきっかけになるモチーフなんじゃないかなと感じました。

ーー輪堂鴉夜と真打津軽、それぞれのキャラクターを演じると決まったときの感想と演じる上でどのように向き合おうと思われたのかを聞かせていただけますか。

八代:オーディションに受かるのは何よりも喜ばしいことです。ただ、真打津軽を演じるにあたっては、落語であったりとか、アクションであったりとか、他にも色々ありますけど、そういうキャッチーなテーマを演じるのが非常に難しそうだなと。考えなければいけないことがたくさんあるし、演じるカロリーもかなり使いそう、みたいな印象がありました。

それと同時に、別に津軽は謙虚なヤツでもないんですけど、一応師匠と弟子という立ち位置があったので、ポジション的なところでは、居心地の良い場所に居れるかもなという想像もありました。

黒沢:オーディションのセリフがとにかく難しくてですね……。第4話の謎解きを丸々半分くらいやったんですが、A4用紙2枚分が改行もほぼないくらい、びっちり埋まってるオーディション原稿を初めて見ました。それこそ「落語家の役でもやるんか!」と思うくらい、すごい物量でした。

音響監督の若林さんが、オーディションから丁寧にやってくださる方だったので、骨太のオーディションだったんですね。なので終わった後は、達成感すらありました。オーディションの癖に!「終わった! クランクアップです! 本当にありがとうございました!」みたいな。そんな感じでいたので、帰りに若林さんから「こういう役はな……」とか「こういうことを大切にやってほしいと思ってるんだよな」みたいなことを言われたんですが、「そうなんですね!」って他人事でした(笑)。「これをやる人は大変ですよね」って。

「こういうことをいつか軽くできるようになったら、任せてもらえる役なんだろうな」、「こういうオーディションは軽く乗りこなさないといけないんだな」って思っていたら、合格をいただきまして……。「本当かな、大丈夫かな」という心配だけが、最終回まで続きました。

八代:トンネル長っ! 

黒沢:トンネル長かったですね。すごい物量だったので、言葉が多い分、役がぶれるということはあまりなく、一つ決まれば突き進める感じはあったんですけど。その中でとにかく、淀みない、阿吽の呼吸的なものも多くて、どう乗り切るのかなという感じでした。それが、役に決まったときの最初の印象です。「これを1クール分やるのかあ。2023年はこれだな」と。

ーー演じるキャラクターのご紹介と併せて、演じていく中でキャラクターに魅力を感じた部分などを教えていただけますか。

八代:真打津軽という男は、元々人を楽しませる、笑顔にする、「そもそも人生って笑ってた方がいいじゃない」という信念を持っている人なんです。そんな中でひょんなことから、半分人間、半分鬼という生き物にされてしまって。

そうなったからには、最終的に鬼の血に侵されて、自分は亡き者になってしまうという状況で、いわゆる芸人魂から、最後に人を楽しませられる、笑ってもらえることって何だろうと考えたときに、死に様で人に笑ってもらおうとする。言うは易しですけど、考え方的には芸を通り越して、狂気も感じるようなものをある種、元から持っています。それがどんどん育まれたような人物です。

そういった意味でも、常に何か考えていそうで、考えてなかったり、実はすごく思慮深い人だと思うんですけど、その思慮深さを全部、便利な表現を使うと”ちょける”というか。皆さんも身近な感情で”ちょける”という瞬間があると思うんですけど、真剣なときこそ、ちょっと笑ってしまうような、それが彼にとっての常なんです。

そんなキャラクターで、それが彼の最大の魅力にも繋がると思いますね。基本的には人からは、煙たがられる要素なんですけど、それがブレずに、逆に死と隣り合わせになっても、笑ってられる側面になっていたり、“ちょける”という現象ですけど、それが強さでもあって、彼の魅力かなと思いますね。

ーーバックボーンを考えるとあんなに”ちょけ”られるってある意味すごいですよね。

八代:そうなんですよ。結構アンバランスはアンバランスです。たどり着く結論はシンプルですけど、元々落語というか、その噺家のお話を聞きに行くのが好きな人で、自分でも口ずさんでしまって……。

だから、そもそも人に笑顔になってもらうことが好きというのが、根本にあります。とはいえ、見世物小屋に入る前に、自分自身も怪物退治を担っていた時期があったりもして。それは原作を読むとすごく分かったりするんですけど、そういった意味でも「よく笑っていられるな」と。常にヘラヘラしてるような、冗談を言ってるような、そんなキャラクターです。

黒沢:輪堂鴉夜という役は、960年くらい前に不死という存在になって。死ねない身体になっていたんですけど、半年前に首から下を持っていかれて、今は首だけになってしまった女の子です。馳井家という家系がずっと召使いでついているお家柄なので、馳井静句ちゃんという女の子に手足を頼み、鳥かごの中に生首だけ入れて、持ち運んでもらって生活してるという感じなんです。

物語としては、それを「首だけでいるというのがいかがなものか」ということで、津軽に会いに行くんです。津軽は唯一、鴉夜を殺すことができる存在なのではないかというところから物語が始まるんですね。それがどういう関係になっていくかは、楽しんでもらえたらなと。

鴉夜ちゃんの基本の性格は、960年前には存在してたと思うのですが、今は何よりも長く生きてきたということが、彼女のアイデンティティ的なものになっています。いろんな人といろんな形で関わっていくうえでの表面的な性格、接し方みたいなものが、結構色濃く出てるキャラクターだったなというふうに思っています。演じるときも、感情的に脊髄で反応するというよりは、思考がすごく速く回って、その結果にたどり着くような構図や経験則で「こう言ってきたから、こうしておいた方が良い」と感じで彼女の言動が全て構築されてたなというふうに感じます。

ーー表面的なんですね。首だけになったら、もっと絶望するかなと個人的には思います。もしかしたら、心の内で考えたことはあるかもしれませんが……。

黒沢:多分「なるほど」って言ったでしょうね。「首だけになってしまった。こんな感じか」という。

八代:本当にね。いや、めちゃくちゃ言いそう!

黒沢:その感じで全部と渡り合ってきたんじゃないでしょうか。

八代:経験値ってすごいね。

黒沢:それを頭脳でやる鴉夜と脊髄でやる津軽なので。意外と思考のレベルが同じくらい回ってるから、同じ速度で言葉が出たり体が動いたりするんです。鴉夜は経験値でやっていて、津軽は「いや何となく」って。一番モテるやつですよね! 小学校で一番モテるタイプ。

一同:(笑)。

八代:小学生かい! 小学生は足速い子がモテるけど。

黒沢:だからめっちゃモテるじゃん! 

八代:確かに(笑)。モテモテじゃん、津軽。2人は、笑いのツボが似てるもんね。

黒沢:賢いところでウケるんですよ。頭が良い人が笑うところで笑うんです。

八代:「1本取られた」的な。

黒沢:そう。周りが全然理解してないとか、2人だけ「フハハハ」って笑ってるだけみたいな瞬間が面白かったです。

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