夏アニメ『死神坊ちゃんと黒メイド』第2期 声優インタビュー第1回:坊ちゃん役・花江夏樹さん×ウォルター役・内田雄馬さん|僕らが「成長を見せよう」とするのではなく、どう変わっているのか見つけるのが大事
サンデーうぇぶりにて連載され、常にランキングトップを飾った人気作『死神坊ちゃんと黒メイド』。2021年7月から9月まで放送されたTVアニメの続編となる第2期が、2023年7月からスタートします。
本作は、「触れたもの全てを死なせてしまう」呪いを魔女にかけられた貴族の「坊ちゃん」と、彼に仕えるメイド「アリス」の世界で一番切ない両想いの行方を描いた物語。第2期では、坊ちゃんとアリスの気になる恋路のほか、カフとザインの関係にも進展が……? さらに、他の恋物語が動きだす!?
アニメイトタイムズでは、本作の魅力に迫る連載インタビューを実施。第1回は、坊ちゃん役・花江夏樹さん、ウォルター役・内田雄馬さんに、これまでの物語を踏まえて、それぞれが演じるキャラクターへの印象や、お互いのお芝居についてお話を聞きました。
坊ちゃんは環境的には恵まれているのかも
――いよいよスタートする第2期。おふたりが改めて思う本作の魅力を教えてください。
坊ちゃん役・花江夏樹さん(以下、花江):『死神坊ちゃんと黒メイド』は「触れたもの全てを死なせてしまう」というテーマはハードなのですが、ギャグやお色気シーンが絶妙なバランスで出てくることで、気持ちが重たくなり過ぎないんです。むしろ登場人物たちを応援したくなるんですよ。それが本作の魅力だと僕は感じていますね。
ウォルター役・内田雄馬さん(以下、内田):触れ合えないなかでも思いやりで距離を縮めていく坊ちゃんとアリスの関係は、見ていてほっこりします。また、作品全体の基本的な世界観としては貴族の社会なのですが、現代っぽい言葉が出てくるのが面白くて。ツッコミやギャグで落とす言葉のチョイスも絶妙で、テンポ感もいいから見ていて心地よいです。
花江:坊ちゃんは呪いにかけられてしまい、ちょっと心が荒れて自虐的だった時期がありました。ただ、アリスをはじめとする色々な人たちに助けられながら、友達も増えたことで、今は以前より前向きな気持ちで人と接するようになっています。2期からはさらに色々と経験を積み、彼を助けてくれる人も増えていくんですよ。
――確かに、坊ちゃんと関わる人がどんどん増えていますね。
花江:関わっている人たちみんな癖があったり、一見ちょっと変な人だったりするのですが、根はいい人たちで。坊ちゃんを受け入れてくれるんですよね。呪いについてはちょっと怖いけど、人間としての坊ちゃんを見てくれている人が多いんです。そういう意味では、呪いを受けたという境遇こそ大変ですが、環境的には恵まれているのかもしれません。そんな環境で坊ちゃんは、アリスと一緒に歩んでいくためにはどうすればいいかと考えて、頑張っている途中ですね。
内田:ウォルターは、兄である坊ちゃんに対してコンプレックスを抱いている次男です。坊ちゃんのことになるとムキになって、ライバル心をむき出しにするのですが、きっとそれは兄の素敵な部分を認めているから。だからこそ、次男の自分が「呪いを受けた坊ちゃんの代わり」と思われてしまうことに、拒否反応を起こしてしまうんだと思います。自分のアイデンティティを示すために、坊ちゃんに対抗心を燃やしているんじゃないかな。そんなウォルターですが、2期では彼のドラマも広がっていくので楽しみにしていてください。
――「2」という数字に過敏に反応する姿も印象的でした。
内田:パンチ力が強いですよね(笑)。
――もしかしたらウォルター的にはこの「2」期が……。
内田:ツラいクールかもしれません(笑)。
――これまでの物語のなかで、徐々に変化しつつあるキャラクターたち。おふたりは1期から2期になるにあたり、どういった点を意識して演じていますか?
花江:正直、意識的に何かを変えることはあまりしていなくて、それこそ、坊ちゃんは1期のころから徐々に成長してきているんです。だから、僕が特別意識せずとも、セリフ自体に以前との違いが出るんですよね。セリフの変化に関して言えば、1期の最後でお母さんに思いをぶつけるなど、前よりも相手にしっかりと気持ちを伝えることが増えた気がします。
内田:僕もほぼ一緒ですね。僕らが「成長を見せよう」とするのではなく、そのキャラクターやセリフがどう変わっているのか、、物語が進むにつれてどんな変化をしていっているのかを見つけるのが大事なのかなと思っています。
周りのことを気にしている兄たちと思いのまま動く妹
――続けて、お互いが演じるキャラクターへの印象も教えてください。
花江:ウォルターは、出てくる度に場が賑やかになるキャラクターです。坊ちゃんに対抗意識を燃やす場面は、本人としてはガチなんでしょうけども、そこがデフォルメされてギャグシーンとして面白くなっているんですよね。そういうところが、ウォルターのかわいさにつながっている気がします。何事も全力で感情を表しているからツンケンしちゃうんでしょうね。とてもピュアだと思います。
内田:坊ちゃんはアリスの色仕掛けに対して素直に反応するんです。「いまは色仕掛けを気にしている場合じゃないのに……!」というときでも、アリスのことを考えちゃうことがあって。そういう姿が愛嬌あって、すごくかわいいです。
――では、アリスへの印象はいかがでしょうか?
花江:こんなすごい色仕掛けされたら、誰でもドキッとしてしまいますよね(笑)。なかなか現実にはいないようなキャラクターですが、そういう子が登場するのがアニメーションのよさだと思います。2期ではそんなアリスの苦しみも描かれるんですよ。アリスの情報が増えて、より気になるキャラクターになると思います。
内田:アリスはミステリアスな部分がありますが、坊ちゃんのことが好きだという気持ちはひしひしと伝わってくるんです。視聴者の方々もきっと、坊ちゃんと同じ思いで、気が付けばアリスのことをかわいいと感じて、好きになっていたんじゃないかな。それくらい魅力的なキャラクターです。
――ふたりが演じるキャラクターの妹・ヴィオラへの印象も教えてください。
花江:彼女も出てくると場が明るくなりますよね。性格はキャピキャピしていて、ちょっとぶりっ子っぽい感じもありつつ、サバサバもしている。よくわからない子ですね(笑)。ただ自分に正直な子だとは思うので、そこは彼女のよさだと感じています。
内田:ヴィオラも兄ふたりと同じくピュア。そして、走りだしたら止まらないタイプな気がします。周りのことを気にしている兄たちと比べて、自分らしく思いのままに動いていて、自分を表現するのも上手ですよね。個人的には、貴族なのにギャルっぽいところが面白いと思っています(笑)。
――お話を聞いていて、坊ちゃんとウォルターは周りを気にするという点で似ている気がしました。
内田:各々で違いはあるけれど、周りを気にせざるを得ない、気にしなきゃいけない環境で育ってきてますから。だからなのかもしれませんね。