特撮『ウルトラマンブレーザー』ヒルマ ゲント役・蕨野友也さん×アオベ エミ役・搗宮姫奈さんインタビュー|「俺が行く。」に込めた意味とゲントが抱える変身への葛藤
「俺が行く。」の聞こえ方が変わる
――ウルトラマンブレーザーのデザインには、これまでにない新しさを感じます。目にしたときの率直な印象を聞かせてください。
蕨野:率直に格好良かったです。「あ、これ俺だ!」って(笑)。
一同:(笑)
蕨野:もはや芸術品ですよね。『シン・ウルトラマン』という作品もあり、田口監督は「これまでと違うウルトラマンをやるべきなんじゃないかな」と思ったようです。もしかしたら、デザインにも意味があったりして……。
搗宮:最初に見たときは、衝撃を受けました。左半身のブルーとレッドの交差が格好良いし、シンプルでシュッとしているこれまでのウルトラマンのイメージからかけ離れてるので、そういう意味でも「田口監督攻めたな!」と(笑)。
蕨野:付け加えると、変身したときゲントには意識があるのか、本人として戦っている自覚があるのかという点もポイントの一つだと思います。
――興味深いです。ウルトラマンへの変身シーンはやはり難しいものですか?
蕨野:変身の仕方が難しいというよりも、話の中で起きる問題に対して「こいつらを倒すべきなのか?」という葛藤を抱きながら変身するんです。なので、毎回気持ちを切り替える必要がありますね。
搗宮:蕨野さんは同じ行動やセリフだったとしても、意味が全部違うんです。変身シーンでも、その瞬間抱えているのは、怪獣や隊員に対しての葛藤かもしれないし「やるぞ!」という気持ちなのかもしれない。一つの動きで色々な表情を見せてくれると思うので、役者として尊敬しているし、放送を観るのが個人的に楽しみです。
蕨野:どうなんだろう……。自分じゃわかんないかも(笑)。ゲントとして本当にそう思っているので、それを撮っていただいているという感覚です。
――「俺が行く。」も場面によって聞こえ方が変わったり?
搗宮:「俺が行く。」は特に違います! セリフとしては同じなんですけど、こちら側に伝わる意味が違うし、蕨野さんは役者さんだなと思います。
現場で感じた特撮ならではの驚きとは?
――ウルトラマンとともにSKaRDの主力巨大兵器・アースガロンの活躍にも期待しています。梶原颯さん演じるバンドウ ヤスノブ隊員が開発に関わっていますよね。
蕨野:一見恐竜のような見た目や装備されている様々な火器類が魅力的です。ただ、ヤスが作ったというのは……。
一同:(笑)
搗宮:イジってるなー(笑)。現場でもこんなノリです。
蕨野:真面目な話をすると、ヤスが整備してくれるおかげでアースガロンは怪獣と戦えるので、彼なしでSKaRDはやっていけません。
搗宮:あとコックピットの細かさがとんでもないです。一番最初に乗ったときはびっくりしました。
――セットの話も出ましたが、ウルトラマンの撮影現場ならではの驚いたことがあれば教えてください。蕨野さんは以前にも特撮作品に出演していましたが……?
蕨野:共通する部分は、現場にストップがあることです。「ストップ」と言われたらその場で止まって、例えば変身アイテムがついてそこから再開するという行程は、特撮ならではだと思います。
驚いたことは、特撮シーンを見学したときの美術の細かさ! ビルや自転車、車、電信柱まで、1つ1つが細かく本物のように作られていて、驚きました。
搗宮:私は初の特撮現場だったので、リアクションを撮る場面で戸惑いました。「怪獣があそこにいる」と台本には書いてあるんですけど、実際には何もないところに、街を壊している怪獣がいるという演技をしないといけない。そこで目線や驚き、恐怖感などをリアルに演じると、逆に全然驚いてないように見えるんです。また、私たちは特殊部隊だからこそ、その場でどう立ち振る舞うべきかというギリギリのバランスも不思議で、今までにはない体験でした。