特撮『ウルトラマンブレーザー』ヒルマゲント役・蕨野友也さん×アオベエミ役・搗宮姫奈さんインタビュー｜「俺が行く。」に込めた意味とゲントが抱える変身への葛藤

田口さんにどこまでもついていく

――田口監督とのやり取りで印象に残っていることはありますか？

搗宮：私はオーディションに行ったとき、エミ役とアンリ役（ミナミアンリ）を両方受けたんですけど、受かるならアンリだろうなと思っていたんです。オーディションのエミちゃんは二面性を感じさせるような台本だったので、「元気だね！」と言われることが多い私は、エミちゃんにハマらないだろうなって。だけど、田口監督はオーディションの日から「君は本当にエミみたいだね！」と言ってくれていました。しっかり考える面と勢いのある面を両方持っているという意味で「あなたはそのままでエミだから」と言葉をかけてくれて、それが印象的でした。

蕨野：僕は色々なことを話しすぎて、正直全部印象に残っています。田口さんは田口さんで、新しいウルトラマンにチャレンジする不安があったようです。なので一緒に昼食をとっていたとき、僕から「俺は田口さんにどこまでもついていきますよ」と伝えました。もちろんどういう評価を受けるかわからない怖さはあると思うんですけど「俺は絶対やります。この作品が面白くないなんて、俺は思ってないです」って。ゲント役として、絶対に作品を中途半端な形にはしたくないから「一緒に頑張りましょう」と話したことは覚えています。

――座長としての強い覚悟を感じます。SKaRDの隊員たちとは現場でどんな話をしましたか？

蕨野：……撮影中って話した？（笑）

搗宮：普通に話しましたよ（笑）。　私の役はスパイなので、物理的に1人でいることも多かったんですけど、ちょっと悩んでいるときに蕨野さんがそっと声をかけてくれるんです。はっきり言わなくても「心配してくれてるんだな」と感じるコミュニケーションを取ってくれました。

――蕨野さんは普段から隊長なんですね。

蕨野：1人の時間が欲しいときもあるから、声をかけるタイミングは難しいんです。でも、本作のテーマであるコミュニケーションはただ話しかけるという意味ではないと思っています。距離感は大事にしないといけないので、隙を見て声をかけていました。

搗宮：本当に良いタイミングで話しかけてくれたので、ありがたかったです！

――最後に作品全体の見どころとファンへのメッセージをお願いします。

蕨野：ウルトラマンブレーザーは……何のために地球に来たんでしょうね？

――最後の最後で気になる話が……！

蕨野：ウルトラマンはなぜ地球に来たのか？　変身したら巨大化する理由は？　地球にやってくる怪獣を倒す必要はあるのか？　これまでのシリーズにもあったとは思うのですが、本作はみんなが疑問に思う点を深掘りしています。それが大事なテーマの一つであり、魅力だと思うんです。一方で人間ドラマもしっかりと描かれるので、誰の心境がどのように変わっていくかを毎週楽しんでいただけたら嬉しいです。

搗宮：蕨野さんも言ってくれたんですけど、本作は人間ドラマがしっかりと描かれています。もちろん、ウルトラマンブレーザーとゲント隊長が中心なので、最初は彼らの心情をゆっくり追っていってもらいつつ、各キャラクターの物語にも注目してみてください。それぞれの想いが交差して、ゲント隊長と面白い摩擦が起きています。1回目はゲント隊長をしっかり見て、2回目、3回目は各キャラクターたちの心情を追っていくのが面白いかも知れません。何回でも観てほしいです！　

――ありがとうございました！

[取材／田畑勇樹　文／小川いなり　写真／鳥谷部宏平]

『ウルトラマンブレーザー』作品情報

放送情報

2023年7月8日（土）より毎週土曜日午前9：00～9：30
テレビ東京系6局ネットほか

あらすじ

世界的な怪獣災害の発生を受けて、世界各国は、地球の内外から攻めてくる怪獣や地球外生命体に対処するべく、1966年に地球防衛隊「GGF（Global Guardian Force）」を設立していた。
自然破壊や温暖化が急激に進む現在。ある夜、宇宙甲殻怪獣バザンガが出現。地球防衛隊の掃討作戦は難航し、ヒルマゲントが率いる特殊部隊が絶体絶命の危機に陥る。その時、眩い光とともに謎の巨人が降臨。何十年も前から宇宙飛行士たちの間で噂されていた未確認大型宇宙人、コードネーム「ウルトラマン」だ。
その後、司令部に呼び出されたゲントは突如、ある任務を言い渡される。それは、密かに組織されていた、特殊怪獣対応分遣隊「SKaRD（Special Kaiju Reaction Detachment）」の隊長就任。怪獣型の主力巨大メカ「アースガロン」を駆り怪獣災害に立ち向かう特殊部隊の指揮。それと同時に、バザンガの戦いで出現した「ウルトラマン」が排除すべき敵なのかを調べる任も命ぜられたゲントの脳裏に、遥か遠くの銀河…ブレーザーの眩い光の記憶が煌めく。
「俺が行く。」
ウルトラマンブレーザーの光に包まれたゲント隊長は今、組織されたばかりの「SKaRD」に配属された個性豊かな隊員たちとともに、確かな勇気と揺るがぬ正義を胸とポケットに忍ばせ、怪獣たちとの新たな戦いの日々へと身を投じる！