家光に寄り添いたいーーSFでも時代劇だから湧き上がる喜怒哀楽を人間らしく表現|「大奥」徳川 家光/千恵 役・松井 恵理子さんインタビュー
有功の声は「優しさの中に芯の強さと心の脆さがある」
ーーアフレコはどのように進みましたか?
松井:宮野さんと一緒に収録はできましたが、台詞が被っても良いように違うブースで掛け合いを録りました。同じ音源で被ってしまうと調整が効かないので。
リアルタイムで宮野さんの演技を聞きつつ、被りを気にせずに掛け合いができて良かったなと思います。
ーー実際に掛け合ってみていかがでしたか?
松井:皆さんご存知の通り、本当に良い声です! 原作を読んだ時に感じた有功様よりも柔らかいなと思いました。優しさの中に芯の強さ、心の脆さもあって。
(有功は)複雑な感情を詰め込んでいるキャラクターですが、宮野さんのお声と演技が絶妙なバランスで響き合っているなと感じました。家光として掛け合っていて、応えやすくて楽しかったなと思います。
ーー松井さんの感想を宮野さんにお伝えさせていただきます。
松井:恥ずかしいです(照)。
ーー家光を演じている松井さんが感じる有功の魅力とは?
松井:理性的で仏のような人ですが、家光との心の触れ合いから一気に人間臭さが出てきます。有功様の心の深層まで、物語が描かれているのが素敵だなと思います。
有功様の紳士な言葉だからこそ、家光のドン詰まりな心が解けたんだと感じました。
ーー家光も有功もお互いになくてはならない存在だと思います。ちなみに、完成した映像を見た感想はいかがでしたか?
松井:美しくて圧倒されました。アップになると着物の質感まで伝わりますし、光にもこだわりを感じました。
あと、夜のシーンが好きです。現代のLEDとは異なり、灯篭の柔らかい光が家光と有功様を照らしているのがロマンチックですし、映像美的にも素敵だなと思います。
ーー柔らかな光が、ふたりの関係性を溶かしていくようですね。
松井:温かみがあって、ふたりを包み込んでくれていて、とても好きな場面です。
ーーでは、これからご覧になる方へメッセージをお願いします。
松井:家光と有功様のお話が主軸ですが、他のキャラクターも各々の信念を持って生きています。色々なキャラクターの立場になって見ると、見え方も変わってくる面白い作品です。
Netflixで独占配信されるので、ぜひ何度も楽しんで見ていただければと思います。
【取材・文・撮影/杉村美奈】
『大奥』作品情報
作品名 | 大奥 |
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スケジュール | 2023年6月29日(木)〜 Netflixにて |
あらすじ | 謎の疫病で男子の人口が急速に減少した結果、社会運営の根幹や権力が女性に完全に移った江戸。徳川八代将軍吉宗は、女が男の名を名乗りながら家督を継ぐ世の中を疑問に思い、大奥の所記『没日録』を読み、歴史を紐解き始める。その始まりは三代将軍・徳川家光の時代に遡る。「赤面疱瘡」と呼ばれる奇妙な病が日本中に広がり、男子の人口は女子の約1/4にまで激減した。江戸城でも三代家光以降将軍職は女子へと引き継がれ、俗に美男三千人と称される男女逆転の大奥の世界が築かれていた。京から江戸城を訪れた公家出身の美貌の僧・万里小路有功は、春日局の脅迫により小僧の玉栄とともに無理矢理還俗させられ、家光の小姓となるべく大奥に入れられるが、そこで驚くべき真実が明かされた・・・ |
話数 | 全10話 |
キャスト | 万里小路有功:宮野真守 徳川家光:松井恵理子 玉栄:梶裕貴 春日局:井上喜久子 捨蔵:福山潤 水野祐之進:関智一 お信:佐藤みゆ希 徳川吉宗:小林沙苗 ナレーション:窪田等 |
スタッフ | 原作:よしながふみ「大奥」(白泉社・MELODY) 監督:阿部記之 シリーズ構成・脚本:たかすぎ梨香 キャラクターデザイン:佐藤陽子 音楽:川井憲次 アニメーション制作:スタジオディーン 企画・製作:Netflix |
電子書籍 | 『大奥』電子書籍(コミック) |