『死神坊ちゃんと黒メイド』第2期 声優インタビュー第2回:カフ役・倉持若菜さん×ザイン役・神谷浩史さん|ザインはもっと大人な性格だと勘違いしていた
坊ちゃんとアリスの関係に人の心の美しさを感じる
――ザイン・カフが結ばれましたが、本作では坊ちゃんとアリスの関係や「触れられない呪い」についても描かれています。ここまでの物語を振り返って、改めて本作への印象を教えてください。
倉持:坊ちゃんとアリスは「触れられない」という壁がありますが、みなさんも見て分かる通り、すごく日常を楽しんでいるんですよね。日常茶飯事にドキドキしたり、イチャイチャしたり。それが本作の魅力のひとつだと思っています。この期間があるからこそ、呪いが解けて、坊ちゃんに触れられるようになったときには、もっともっと楽しいことが待っているんだろうなと思えるんですよね。
神谷:ラブコメって、相手に「好きだ」と言ったら、ひとつの物語として完結しちゃうと思うんです。ただ本作は、相手への気持ちが駄々漏れているんですよ。そのなかで「触れられない」というワンアイデアを加えるだけでここまでの物語を展開できるというのが、見事だなと思いました。両想いと分かっていても、ちゃんと読んでいてドキドキするし、ふたりのことを応援したくなるんですよね。
――確かに、ふたりのことを応援したくなります!
神谷:あと、アニメならではという点でいえば、CGアニメーションの技術。山川(吉樹)監督をはじめとするスタッフさんの力がすごいんです。「不気味の谷」なんて言葉もありますが、人間って、CGで作ったものに対して違和感を抱いてしまいがちなんですよ。ただ、山川監督が関わるCGアニメーションは、以前に手掛けられたアニメ『ハイスコアガール』も含めて、違和感を抱かないんです。そういう技術とイノウエ先生の絵がマッチして、アニメとして昇華したんだろうなと思いました。それも本作の魅力だと感じています。
――倉持さんは本作のCGアニメーション技術について、どう感じていらっしゃいますか?
倉持:本作って、主要メンバーは3DCGで描かれていて、背景だったり喋らないキャラクターだったりは2Dで描かれているじゃないですか。それにより登場人物たちがより際立って見えるんですよね。しかも背景は油絵みたいな感じですごくオシャレ。どこを見ても飽きない工夫がされた作品だなと思います。
――坊ちゃんとアリスを中心に進んでいく本作。このふたりの関係やそれぞれのキャラクターについて、どのような印象をお持ちですか?
倉持:アリスって一見、何を考えているのか分からない女の子なのですが、すごく愛を伝えられる人なんですよね。そういうキャラクターが私は大好きなので、原作・アニメを見ていてすごく面白かったです。そんなアリスに愛を伝えられることによってドキドキハラハラする坊ちゃん。ふたりの様子は、すごく微笑ましいです。しかもこのふたりって、恋愛面だけじゃなくて、家庭の問題などにも立ち向かっているんですよね。別邸で静かに暮らすという選択もできなくないと思うのですが、坊ちゃんは家を継ぐ・継がないを含めた家族のことに目を背けず、アリスも母親のことについて知ろうとします。そういう前向きな姿に、とても元気をもらえますね。
神谷:人の心の美しさを感じますよね。このふたりの関係って、現代においても成立するかと言ったら、ちょっと難しいと思うんです。というのも、スマホやパソコンがあって、世界とも繋がれる今の時代、「触れられないなら、いいです。触れられる人と幸せになります」ってなるような気がするんですよ。この作品を見ていると、人の感情や純粋な心って、何もないところに住んでいるからこそ、磨かれるのかもしれないなと思わされますね。
――なるほど。
神谷:ただ、ちょっと不思議でもあって。こんなにも物に溢れて便利になった日本で、現代に置き換えたら成立しないかもしれない物語の本作を楽しんでくれている方がたくさんいらっしゃるんですよ。
――それこそエンタメも溢れているなかでも、本作を選んで見ている方々がたくさんいらっしゃる。
神谷:そうなんですよ。ふたりの関係が素敵だなと感じる感性を持っている方がたくさんいらっしゃるという事実が、何だか素敵だなと思います。前向きなニュースが少ない昨今ですが、人の心もまだ捨てたもんじゃないなって。そして、そういうシチュエーション・物語を生み出すイノウエ先生のすごさも、改めて実感しました。
『死神坊ちゃんと黒メイド』は見ていて嫌な気持ちには決してならない
――第17話を含めて、おふたりのなかで印象に残っているストーリー・収録はありますか?
倉持:印象に残っているのは17話のヒューゴ。ザインがカフに告白する・しないのときに、「あとは若い二人にお任せする」「さよなら、オレの初恋…」と言葉にした彼に対して、「何歳だよ」って思っちゃいました(笑)。ヒューゴは、いい意味で物語をかき乱してくれるキャラクターですよね。どういう影響を受けてああいう感性が磨かれたのか、すごく興味があります。
神谷:この作品って、挿入歌が至るところで入るんですよ。例えば、1期のクリスマスのシーンとか。この先、カフとザインふたりの挿入歌もあります。個人的には特別なシーンで流れていると感じたので、ぜひ注目していただきたいですね。
倉持:私、キャラクターソングを歌うのは、この作品が初めてなんです。しかもカフって、正直言うと歌はあまり上手ではないと思っているんですよ。とはいえ挿入歌を下手に歌うわけにもいかなくて。その塩梅をどうするのか、とても迷いました。結果的に、あまりうまく歌おうとし過ぎないことを念頭に置いてレコーディングしたんです。難しかったですが、とても貴重な経験をさせていただきました。
――最後に、おふたりが思う今後の見どころについて語っていただければと思います!
倉持:坊ちゃんとアリスのイチャイチャ、ザインとカフの恋事情、ヴィオラのロブへの思い、そのほか色々な恋路を含めた日常は、見ていてほっこりします。そこは引き続き楽しんでいただきつつ、これから「呪いを解く」という物語にもさらに進展があります。問題にしっかりと向き合っていくので、ぜひ見逃さずに楽しんでください!
神谷:坊ちゃんって名前も明かされていないし、薄暗い黒い服を着てちょっと上目がちに何かを見ていて、しかも触れられないという呪いも受けているんです。本作において主人公の彼が、よくないものをたくさん背負っているはずなのに、なぜか悲惨な物語にはならないんですよね。見ていて嫌な気持ちには決してなりません。そこが本作の魅力だと思います。また、第1期でカフとザインは、“にぎやかし”という側面が強かったですが、彼らも坊ちゃんとアリスの関係を進めていくうえで必要なキャラクターとして機能していきます。その辺も注目していただけたら嬉しいですね。まだこの作品を見たことがない方は、タイトルだけを見ると不穏に感じるかもしれません。ただ言いたいことはラブコメなので、気軽に楽しんでいただけるのは間違いないということ。ぜひ1期も含めて楽しんでください。
[文&写真・M.TOKU]
『死神坊ちゃんと黒メイド』第2期
7月より放送中!
TOKYO MX 毎週日曜22:00~
BS11 毎週日曜24:30~
読売テレビ 毎週月曜25:59~
AT-X 毎週月曜23:00~ ※リピート放送:毎週(水)11:00/毎週(金)17:00
スタッフ
原作 イノウエ(小学館「少年サンデーコミックス」刊)
監督 山川吉樹
シリーズ構成 白根秀樹
キャラクターデザイン 桑波田満(SMDE)
CGディレクター 石原裕也(SMDE)
キャラクターモデルディレクター 畑野雄哉(SMDE)
美術監督 鈴木朗
色彩設計 木村美保
撮影監督 福世晋吾
編集 坪根健太郎(REAL-T)
音響監督 明田川仁
音楽 奥田弦、渡辺剛
アニメーション制作 J.C.STAFF
CGI SMDE
オープニングテーマ 「君とレヴュー」坊ちゃん(CV. 花江夏樹)&アリス(CV. 真野あゆみ)
エンディングテーマ 「星屑レクイエム」なすお☆
製作 死神坊ちゃんと黒メイド製作委員会
キャスト
坊ちゃん 花江夏樹
アリス 真野あゆみ
ロブ 大塚芳忠
ヴィオラ 水瀬いのり
カフ 倉持若菜
ザイン 神谷浩史
ウォルター 内田雄馬
ダレス 日笠陽子
公式サイト
公式ツイッター(@bocchan_anime) #死神坊ちゃん
【TikTok】 @bocchan_anime #死神坊ちゃんと黒メイド
原作情報
死神坊ちゃんと黒メイド(サンデーうぇぶりSSC)全16巻 好評発売中!