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『特別編 響け!ユーフォニアム』石原立也(監督)×小川太一(副監督)インタビュー【スタッフ&声優 短期連載:第1回】

『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』石原立也監督×小川太一副監督インタビュー|今まで“森”を見ていた久美子が、“林”も見るようになった――彼女がどこへ着地するのかの指標にもなる作品【スタッフ&声優 短期連載:第1回】

登場時間の短いキャラも印象に残るように。奏のとあるシーンに注目!

――久美子の親友である高坂麗奈は、ドラムメジャーに就任し、部長のサポートもしていきます。麗奈についても、本作での印象や描く時に意識したポイントなどを教えてください。

石原:技術のある人間が権力を持つと怖いなって。まあ、本当に怖いのは次のTVシリーズ『久美子三年生編』か(笑)。

小川:そうかもしれませんね(笑)。麗奈って、1期の時はいろいろとありましたが、2期や『誓いのフィナーレ』では、あまりフォーカスされることがなかったんです。でも、前に石原さんとも話したことがあるのですが、麗奈は、この作品の大黒柱なんですよね。1期の(冒頭の)麗奈の涙がなかったら、久美子も本気で吹奏楽をやってこなかったはず。麗奈は、『久美子三年生編』に向けてもキーパーソンですし。

石原:そうなんですよ。それに、麗奈は絶対に(自分を)曲げないから(笑)。

小川:すごくエッジの効いたキャラと言いますか……。

――他人にも自分にもすごく厳しいイメージがあります。

小川:でも、久美子とか、葉月、緑輝たちと仲良くなった今は、彼女たちの前でしか見せない麗奈もいたりするわけです。なので、クールなところはクールに見せつつ、そういう面とのコントラストをしっかりと見せていかなきゃなと。今回もそうだったし、『久美子三年生編』に向けて改めて気を引き締めています。

石原:『アンサンブルコンテスト』って、いろいろなところで次に向けての伏線を含んでいるんですよ。セリフの一つ一つにしてもそうですし、キャラクターの役割なんかもそうなんです。そのあたりも少し気にして観て頂けると、さらに面白いかもしれません。

――久美子と麗奈以外で、今回、特に印象的だったり、描けて面白かったなと思うキャラクターがいれば教えてください。

石原:短い尺の話ではありますが、話の本筋に関わるキャラ以外にも、(傘木)希美、(鎧塚)みぞれ、(吉川)優子、(中川)夏紀とか、いろいろなキャラが出てきて。あとは、奏とかもそうですね。どのキャラも面白かったんですが、やっぱり登場シーン自体はあまり長くないので、なるべく印象に残るように面白い動きをさせたいということは考えました。

小川:僕は、奏がすごく印象に残っています。『久美子3年生編』に向けて、奏というキャラをどうしていこうかというところもありましたし、今回、石原さんが描いてくださったコンテで、「この奏、大丈夫かな?」と思ったところがあったんです。

石原:あそこの話だよね。

――「奏ってこんなこともするんだ。可愛いな」という、印象的なシーンがありますね。

石原:僕はいつも直感的に描いて、後から理由を考えるんですけど、あれは、じゃれているんだよね。

小川:そういうことなんですよね。あのシーンって、石原さんが仰ったような勘とか、何か変化を加えたいという思いの現れだと思うのですが、最初に見た時は、けっこう攻めてるなと思って(笑)。あそこをどう理解して絵にするのかは、原画スタッフも難しかったと思うんです。でも、良い感じで形にしてくださったので、奏というキャラクターが一つ広がったことをすごく感じました。これで、『久美子3年生編』でもいろいろなことがやりやすくなったし、奏というキャラクターも深みが増すのですごく良かったなと思うし、印象に残っています。

石原:奏って、猫みたいな子なので、最初は壁があるんだけど、心を許すとわりとフランクな子なんですよね。

小川:掘り下げると、すごく面白い子だと思います。

久美子がどこへ着地するのかの指標にもなる作品

――本作は、ファンにとって待ちに待った『響け!ユーフォニアム』の新作ですが、お二人にとってはどのような作品になりましたか? 制作作業が終わり、上映開始を待つばかりな今のお気持ちを教えてください。

石原:今回、楽器一つにしても、誰が描いてくれるのかというところから始まったんです。なかなか難しいスタートではあったんですが、『響け!ユーフォニアム』を作るにはどうしたらいいかを一つ一つ確かめながら、下地固めみたいなことができたという意味でも、新作テレビシリーズの前に『アンサンブルコンテスト』があったのは、ありがたかったと思います。

小川:『誓いのフィナーレ』から4年も経っているので、(京都アニメーションに)入社してきたスタッフの中には「高校生の時に『響け!ユーフォニアム』を観てました!」という人もいたりして。サグラダ・ファミリア(1882年に着工され、現在も建築中のバルセロナにある教会)じゃないですが、新しい代も加わって作っていく作品になりました。それに加えて、『久美子三年生編」に向けての助走をしっかりとつけられた作品になったと感じています。

石原:その例え方は、面白いかもしれないな。

小川:サグラダ・ファミリアとは、大きく出たなって言われるかもしれませんが(笑)。

石原:あはは(笑)。

――最後に『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』の上映を楽しみにしている皆さんに、メッセージをお願いします。

小川:『響け!ユーフォニアム』は、元々、音楽をとても大事にしている作品ですし、今回、劇場で上映される作品ということもあって、音楽の松田彬人さんもすごく悩みながら、とても良い音楽を新しく作ってくださいました。『久美子三年生編』の内容を知っている自分からすると、「おおー」ってなったりするところもあったりしますし、吹奏楽経験者の人にも、きっと「良いな-」と思ってもらえる曲が入っていたりします。それを劇場の良い音響環境で聴けるのは、この作品の一つの大きな魅力だと思いますので、ぜひ皆さんには、劇場で観ていただきたいです。

石原:『アンサンブルコンテスト』は、『誓いのフィナーレ』と『久美子3年生編』の真ん中に入っている作品で、間違いなく『久美子3年生編』に向けての助走的な意味合いを持つ作品でもあります。助走ということで、走っているのは(主人公の)久美子なのですが、最終的に久美子がどういうところへ着地するのかという指標にもなる作品。キャラクター的には久美子だけでなく、葉月とか、緑輝とか、麗奈たちにとってもそうなんですけどね。部長・久美子としての初めての大仕事を描いている作品でもあるので、そのあたりをぜひ楽しんで頂ければと思います。

[取材・文/丸本大輔]

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2015年4月から放送された第1期と、2016年10月から放送された第2期それぞれの総集編に加え、スピンオフの『リズと青い鳥』を含む4本もの劇場版が制作されてきた大人気シリーズ『響け!ユーフォニアム』(原作:武田綾乃)。2019年4月公開の『劇場版響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』以来、約4年ぶりとなるファン待望の新作がついに完成。作品集『響け!ユーフォニアム北宇治高校吹奏楽部のホントの話』に収録されている人気エピソードをアニメ化した完全新作中編『特別編響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』が、2023年8月4日(金)から全国74館の劇場で上映されます。今回のストーリーでは、北宇治高校吹奏楽部でユーフォニアムを担当する2年生の黄前久美子が、3年生の引退後、新部長に就任。まだ慣れない役割に戸惑いながらも、12月に開催される小編成によるコンテスト「アンサンブルコンテスト」の代表チームを決める校内予選に向けて、大勢の部員たちをまとめようと奮闘していく姿が描かれます。アニメイトタイムズでは、本作のスタッフ&キャストへのインタビュー連載企画を実施中。監督&副監督対談に続く第2弾では、主人公の黄前久美子を演じる黒沢ともよさんと、ドラ...

『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』作品情報

2023年8月4日 劇場上映!

THEATER

全国74館にて上映決定。最新情報は下記ホームページをご確認ください。
https://eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=eupho

INTRODUCTION

新世代、スタート!

京都アニメーションが描くのは、吹奏楽に懸ける高校生たちのささやかだけれど“トクベツ”な青春!

武田綾乃の小説「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話」(宝島社)から、人気エピソードを中編アニメーション化!

強豪吹奏楽部の新部長、はじめての大仕事は部内の“調整”!?

総勢65人の吹奏楽部。

主人公・久美子の部長としての日々は、部員たちから舞い込む相談と勃発するトラブルで幕を開ける。

無事に初仕事をやり遂げることができるのか──。

チューニング、OK!

STORY

新部長・久美子を待っていたのは、アンサンブルコンテスト――通称“アンコン”に出場する代表チームを決める校内予選だった。

無事に予選を迎えられるように頑張る久美子だが、なにせ大人数の吹奏楽部、問題は尽きないようで……。様々な相談に乗りながら、部長として忙しい日々を送っていた。

部員たちがチームを決めていくなか、肝心な久美子自身はというと、所属するチームすら決まっていなくて──。

STAFF

原作:武田綾乃
(宝島社文庫『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話』)
監督:石原立也
副監督:小川太一
脚本:花田十輝
キャラクターデザイン:池田晶子
総作画監督:池田和美
楽器設定:髙橋博行
楽器作画監督:太田稔
美術監督:篠原睦雄
3D美術:鵜ノ口穣二
色彩設計:竹田明代
撮影監督:髙尾一也
3D監督:冨板紀宏
音響監督:鶴岡陽太
音楽:松田彬人
音楽制作:ランティス、ハートカンパニー
音楽協力:洗足学園音楽大学
演奏協力:プログレッシブ!ウインド・オーケストラ
吹奏楽監修:大和田雅洋
主題歌:TRUE「アンサンブル」
アニメーション制作:京都アニメーション
製作:『響け!』製作委員会
配給:松竹ODS事業室

CAST

黄前久美子:黒沢ともよ
加藤葉月:朝井彩加
川島緑輝:豊田萌絵
高坂麗奈:安済知佳
塚本秀一:石谷春貴
釜屋つばめ:大橋彩香
中川夏紀:藤村鼓乃美
吉川優子:山岡ゆり
鎧塚みぞれ:種﨑敦美
傘木希美:東山奈央
久石 奏:雨宮 天
鈴木美玲:七瀬彩夏
鈴木さつき:久野美咲
剣崎梨々花:杉浦しおり
滝 昇:櫻井孝宏

公式サイト
公式ツイッター(@anime_eupho)

(C)武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
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