25年分の“可愛い”と25歳ならではの“挑戦”を詰め込んだ1枚は、自身とファンにとって新鮮で存在感のある作品に――山崎エリイさんニューシングル「トキメキズム」インタビュー
アーティスト・声優として活躍している山崎エリイさんのニューシングル「トキメキズム」が8月9日(水)にリリース。
表題曲「トキメキズム」は、Kawaii Future Bassに挑戦。カップリング曲「アクマチックシンドローム」は、ライブなどで悪い表情を見せる山崎さんこと"ワリイちゃん"をイメージした小悪魔チックな楽曲となっています。
「新鮮で存在感の強いシングルになった」と語る山崎さん。新曲が完成するまでの背景やレコーディング時のエピソード、さらに声優として10周年を迎える今年にかける想いについて教えていただきました。
あえて宣言した25歳の目標は「安定からの脱却」
――今年は声優としてデビュー10年目、ソロでアーティストデビューしてから7年目になります。今までの活動を振り返って成長を感じたことなどはありますか?
山崎エリイさん(以下、山崎):年齢を重ねていくごとに、色々なステージや番組に出演させていただく機会が増えて、自分の中で発信しようという気持ちが変わってきました。というのも、元々は言いたいことを胸の内に秘めてしまう性格をしていて。苦手というほどではないんですが、どう表現したら相手に伝わるんだろうと怯えてしまうことがあったんです。
そんななか、出会ったファンの方々やスタッフさんにアドバイスや応援のメッセージをいただいて少しずつマインドが変わってきて。自分からこんな挑戦をしたいとか、こういう取り組みをしてみたいと発信できるように変化した10年だったと思います。
――意見を発信できるようになったと実感したのはいつ頃から?
山崎:20歳を超えてからでしょうか。ここ5年の間に、自分の作品でやってみたいジャンルや、ライブの構成など提案をさせていただく場が増えていったように感じます。
10代の頃は、何が言えるのかも手探りで、右も左もわからない状態だったんです。それでも各現場で多くのことを学んでいくうちに「もし自分がやるなら」と考え、「とりあえず意見を発信して、あとは大人たちの判断に任せよう(笑)」と思うようになりました。
――20歳がターニングポイントになっているんですね。なにか特別な出来事があったのでしょうか。
山崎:成人式をして大人になるんだと思ったら、自分の中で何かを変えていかなきゃいけないのかなって思い始めて。そこから恐れず前に踏み出す一歩として「思ったことをとりあえず言ってみよう」という、目標が生まれ、上手く切り替えができたんだと思います。
――ソロデビューアルバム『全部、君のせいだ。』のインタビューで、「いろいろな見せ方ができる人間になれればいいな」と言っていましたが、現在のご自身はどうなっていると思いますか?
山崎:その気持ちは今も変わらず、シングルごとのテーマがなるべくかぶらないようにしているんです。曲のジャンルも一つに絞らず、可愛い系だったり、ゴシックテイストだったりと幅広くチャレンジさせていただいているので、そのスタンスはデビュー当時から一貫しています。
だから前向きに何かを進めて行きたいと思うときは、自分の過去のリリースなどと比較することが多いです。
――「山崎エリイ EriiCafe」では、今年は“安定からの脱却”を目標にしているとおっしゃっていましたね。
山崎:そうなんです! デビューから10年が経過して、今年で25歳。20歳と30歳の間の要の年になるから、何かに挑戦するなら今年だと思ったんです。20歳や21歳の頃は、挑戦する機会があっても「25歳になったら…」という逃げ方を結構していたんですが、いつの間にか本当に25歳になっちゃって(笑)。
――早いですね(笑)。
山崎:早いですよね!「もう少しで25歳じゃないか! 何かしないと! 何かしないと! 何かないかな……!」と探していたところ、私は好きなものに対しては深く好きになれるんですけど、浅く広く好きになることが一切できないんだと気がついたんです。ひとつの世界に詳しくなれるけど、それ以外が見えていないんじゃないかと思って。
もちろん、深く知ることも大切だと思いますが、広い視野を持つことで世界の見え方が変わると考えたんです。仕事の分野においても使えるアイデアが広がると思い、ひとつのことにこだわるマインドを一度やめてみることにしました。
このことをファンの方々にも伝えようとしたんですが、「いつもより考え方を広げてみたいと思います」と漠然と言うよりは、「今年は安定からの脱却」と目標を掲げた方が覚えてくれるかなと思ったんです。
――なるほど。
山崎:あと、自分のやる気にも繋がると考えて発表しました。本来は、誰にも言わずに「実行できた。ゴール!」と自己完結してしまう不言実行のタイプなので、周りからは何を考えているかわからないと思われがちで……。もちろん、私が明かしてないから当然なんですけど(笑)。
――それは、あえて言わないでおきたいという考えが?
山崎:公に言ってしまうと絶対に成し遂げなくちゃいけなくなって、プレッシャーになってしまうんですよね。「みんなに伝えたからには、絶対にやり遂げる。逃げない、逃げられない」と。やりすぎてしまうと自分で自分を苦しめることがわかっていたので、不言実行で生きてきたんです。
――だからこそ節目である今年、自らに制約をかけるために発表したわけですね。
山崎:はい。だから“安定からの脱却”という目標は、私が達成するように、あえて宣言しました。