25年分の“可愛い”と25歳ならではの“挑戦”を詰め込んだ1枚は、自身とファンにとって新鮮で存在感のある作品に――山崎エリイさんニューシングル「トキメキズム」インタビュー
“好き”の気持ちを発信したい、あなたへの応援歌
――ニューシングルは、イメチェン計画と同時並行で考えていたんですよね。制作はどのように進んでいったのでしょうか?
山崎:「トキメキズム」は私の楽曲としてはかなり早めのレコーディングで、去年の秋頃に録っていました。いろんな聞き方ができるような楽曲にしたいと思い、収録前にはショートボブの話をして、髪を切る描写を入れて私とリンクする歌詞にしてほしいとお願いしました。
――「トキメキズム」には“山崎さんが可愛いと思うもの”が詰まっているんですよね。
山崎:過去の作品は、テーマや世界観などの土台を決めてから衣装やダンスを足していく流れで制作していたんです。でも今回はこの流れを一切なくして、ただ可愛いを極めたらどんな楽曲なるんだろうと実験をしながら制作しました。可愛さの概念は人によってそれぞれ違うと思いますが、ビジュアルや曲調など「トキメキズム」のすべてに私なりの可愛いを詰め込んでいます。あと、この曲では“Kawaii Future Bass”というジャンルにチャレンジさせていただきました。
――それは山崎さんの発案で?
山崎:ディレクターさんから、今回のコンセプトには“Kawaii Future Bass”が合うかもしれないと教えていただきました。それまでこのようなジャンルがあることを知らなくて、サンプルを聞かせていただいたんです。
ポップで弾けるような曲調にキラキラとした音、さらにキュートな要素もある楽曲で耳が多幸感に包まれるような感覚がしたんです。これは歌いたいと思って、ぜひやらせてくださいと伝えました。
ただ去年の12月にリリースしたシングル「月の秒針」と今年の1月にリリースしたシングル「Adore me」では、作りたいコンプトが既に定まっていたので、“Kawaii Future Bass”には挑戦できなかったんです。
機会があったら挑戦したいと考えていましたが、またリリースをさせていただけることになり、「じゃあここだ!」と思って!
――「月の秒針」は10周年を迎えた想いを込めた曲、「Adore me」はTVアニメ『真・進化の実~知らないうちに勝ち組人生~』のエンディングテーマ曲と大きなタイトルが続きましたよね。その分、今回はラフな感じにしたかったという思いも?
山崎:それもありますね。あとダンス曲が2作品ともなかったので、MVで踊れたらいいなと思っていました。しっとり系の楽曲がリリースされた後に、動きがある方が「今回はこういう感じなんだ」とみんなに受け入れてもらいやすいかなと。切り替わるタイミングと全てが一致したので、“Kawaii Future Bass”として「トキメキズム」を制作していただきました。
――完成した「トキメキズム」を聞いたときはいかがでしたか?
山崎:最初からキラキラ感があって、ポップな音がたくさん続くので全体を通して楽しい楽曲だなと思いました。セリフパートと歌唱パートがセットになる部分や1人で歌っているけど盛り上がるような表現もあるのですごくお気に入りです。
――レコーディングは過去最長だったんですよね。初挑戦のジャンルだったこともあり苦労されたのでしょうか?
山崎:体験したことがないのも苦労した理由のひとつだと思います。個人的にはしっとり系の曲の方が歌いやすく、どちらかと言えば、柔らかい歌い方を得意としているんです。だから音が跳ねるように歌うのが声質的にもなかなか難しくて。全体的にのっぺりとしないように、ぴょこぴょこと音が上がった感じを出すのに四苦八苦しました。
あと、言葉の一つ一つに可愛さを入れて、聞いただけでキュンとさせたかったんですが、それも難航したんです。映像と曲を合わせて可愛さを伝えるのはレベルが下がるんですけど、曲だけで胸をときめかせるにはどうすればいいのかが分からなくてすごく考えました。
特に<まだいくよ せーの>というセリフの部分は少しウィスパー気味の方がいいのか、一緒に頑張っていこうねという雰囲気なのか、ちょっとニュアンスが違うだけでもだいぶ変わるので、ディレクションをもらいながら何度も録り直しました。
――ひとつのフレーズのなかでもアップダウンがあって、そこにニュアンスを込めるのは難しそうですね。
山崎:「トキメキズム」は音の“跳ね”と“止め”が重要なのですが、リズムが早いので止めるのも一苦労で。もう無理かもしれないと思うこともありましたが、やるしかないと気合いを入れてずっと戦っていました(笑)。
――そんなたくさんの想いが込められた「トキメキズム」ですが、山崎さんにとって特に思い入れがある歌詞をお聞かせください。
山崎:サビにある<わがままに 全部詰め込んでみた だって、それが一番かわいくなれる魔法>がお気に入りです! この歌詞には「もっと可愛くなりたいという気持ちをわがままにも追求していいんだよ!」「周りとか関係なく、私がいいと思ったらいいんだ!」というニュアンスが込められています。
いろんな人のお話を聞くと、好きなことを言いたくても言えない方が多いんです。ファンの方からも「憧れていることがあるけど、前に進む勇気がない」という相談をもらうこともあって。そんな方たちの背中を押せるようないい歌詞になったと思います。
――好きを素直に出すことができない方へ向けた応援歌にもなっているのですね。
山崎:可愛いだけじゃないのが、この歌詞のポイントです! この曲の主人公は周囲のしがらみにとらわれて弱ることもなくて「自分の好きなことを思い切り楽しまなきゃ!」「人生は1回しかないんだよ!」という前向きさがあって好きなんですよ〜