25年分の“可愛い”と25歳ならではの“挑戦”を詰め込んだ1枚は、自身とファンにとって新鮮で存在感のある作品に――山崎エリイさんニューシングル「トキメキズム」インタビュー

断髪式はドキドキでいっぱい！　自ら切った髪を見て思わず目が点に!?

――「トキメキズム」のMVは、歌詞に寄り添った映像になっていますね。

山崎：グラフィックを絶対に入れたいというディレクターさんのこだわりがあって。監督さんに世界観を固めてもらう時間を作るために、レコーディングがすごく早くなりました。

MVは町並みとグラフィックが融合していて、ちょっとした日常に違和感が溶け込むような感じに仕上げていただきました。猫ちゃんもグラフィックで描かれていて可愛かったですよね。

――今までのMVではあまり見られなかったタイプのダンスシーンもありました。

山崎：ダンスシーンは上半身だけで可愛く見せるような振り付けにしてもらい、画面にバストアップで映ったときには手振りが入るようにしました。

あと、視聴してくださる方々と常に目が合うような仕様にしたいと思って、距離感の近いカットが多めになっています。MVを作る際、私のなかでのテーマとして「いかにドキッとしてもらえるか」があったので、仮のデータができた時にちょっと寄りの画を多めにしてくださいとお願いしました。画面いっぱいに私の顔が映る頻度は今までで一番多いんじゃないかな。

――MVでは断髪式の様子が映されていて、自ら髪をカットされています。当時の心境はいかがでした？

山崎：さすがに緊張しました！　紙を切るのと髪の毛を切るのとでは全く違い、手に残る感覚は今までなかったもので、美容師さんの気持ちが少しわかったような気がします。

普通の方だったら平行に髪を切るけど、不器用だから斜めに切っちゃって。見たことない尖った断面になって失敗したなぁと思いました（笑）。切る前は「あ、なくなるなくなる～！」と慌てていたんですが、不揃いな毛先を見たら「うわ～。斜めになってる」と冷静になっちゃいました。

このような体験ができたのは貴重でしたし、それを映像に残してもらえたのは、このお仕事ならではだと思いました。

――切った髪が落ちた瞬間の表情が印象的でした。

山崎：驚いて目が点になっていましたよね（笑）。

カップリング曲はワリイちゃんをイメージした小悪魔感溢れる楽曲に！

――カップリング曲「アクマチックシンドローム」は、ガラッとイメージが変わって大人な女性の雰囲気が漂う楽曲になっています。この楽曲は自らオーダーされたと伺いしました。

山崎：「トキメキズム」をリリースするにあたって、カップリング曲が決まってなかったんです。どんな曲にしたいかを聞かれた際、自分の中でストックしていた小悪魔をやりたいと伝えて、今回入れさせていただきました。

過去にリリースしたなかには、広い愛情を歌った曲や、恋に焦がれたり失恋を取り扱った曲はあったものの、恋や恋愛における“誘惑”がテーマの曲をやったことがなかったんです。

あと、ライブなどでゴシック系やロック系の曲を歌うときに、「山崎エリイが悪くなる・悪い表情をする瞬間＝ワリイちゃん」という呼び名があって（笑）。そんなワリイ要素をライブで出せるように曲を増やしたいと一昨年くらいから思っていました。その考えもあり、今まで歌ってきた曲と被らず、悪い雰囲気を出しつつ可愛さも残せるジャンルって何だろうと考えた時に小悪魔系に辿り着いたんです。

――今回、可愛いを詰め込んだ「トキメキズム」のカップリングにピッタリだったと。

山崎：「「トキメキズム」には可愛いが詰め込まれているけど、小悪魔にも異なるニュアンスの可愛さがあるから相性がいいんじゃないか？」と思い、お願いして作っていただきましたが、レコーディングも含めて本当に楽しかったです。

事前にどんな歌い方にしようか準備して収録に臨んだのですが、珍しいことにあまりディレクションもなく、私のやりたいように歌わせていただけたのですごく楽しかったです。息遣いを重視している曲なので、そこにも注目して聞いていただけると嬉しいですね。

――歌い出しのブレスから大人な世界に引き込まれるように感じました。

山崎：歌い出しが息遣いから始まるのは初挑戦だったので、この部分は何回か録り直しました。妖艶な雰囲気にできたらよかったんですけど、最初は間違えて深呼吸みたいに吸っちゃって（笑）。でもディレクターさんたちに色々とアドバイスいただき、やっとうまくできるようになりました。

あと、Bメロの「指で触れてみて クラクラさせて」では、ちょっと息を止めていて。ザラっとした感じをわざと残す息継ぎの仕方をしていて、歌い方に大人っぽさを入れるのはすごく難しかったです。

やりたかったことができて楽しい気持ちもあるんですけど、いざ自分がやるとなると難しいテクニックも必要なんだと驚かされました。

――ライブで見られるのが楽しみな2曲ですね。山崎さん的にはテクニカルなものが詰まっているので大変かもしれませんが（笑）。

山崎：考えることがいっぱいな2曲になりそうです。でもその分、自分ができなかったところを伸ばしてもらえると思うので、今後何か進化していけるように頑張りたいなと思います。

――新しい山崎さんがギュッと詰まった今作は“安定からの脱却”への第1歩になったと思います。改めて「トキメキズム」はどのようなシングルになったと思いますか？

山崎：「トキメキズム」は自分の中にあるひとつの概念を全て取り払って制作したシングルなので、みんなと私にとって新鮮で存在感の強い作品になったと思います。一つ一つの楽曲に思い入れがありますが、将来振り返ったときにすぐに思い浮かべるのは「トキメキズム」になるんじゃないでしょうか。