LIVE STAGE「ぼっち・ざ・ろっく!」ゲネプロレポート | 目の前に広がるあの日の「STARRY」ーー観客を没入させる「結束バンド」の実在感と途方もない熱量
2022年10月~12月に放送され、大ヒットを記録したTVアニメ『ぼっち・ざ・ろっく』。その舞台化とあるLIVE STAGE「ぼっち・ざ・ろっく!」が、2023年8月11日(金)から8月20日(日)まで、THEATER MILANO-Zaにて上演中です!
本公演最大の注目ポイントは、オーディションで選ばれたキャスト陣による圧巻のライブシーン。キャラクターが実在するかのような臨場感は、生のパフォーマンスでしか味わえない魅力のひとつです。
本稿では、アニメへのリスペクトと舞台ならではの手法を両立させ、作品世界を表現する本作の公開ゲネプロの模様をお届けします。
※一部、演出や楽曲のネタバレが含まれますのでご注意ください
原作へのリスペクトと目を見張るほどの実在感
TVアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』を踏襲したストーリー展開の本舞台。極度の人見知りである主人公・後藤ひとりが、下北沢で活動するバンド「結束バンド」に加入。伊地知虹夏、山田リョウ、喜多郁代らメンバーとの交流や様々な葛藤を通じて、彼女の孤独な日常は少しずつ変化を見せていきます。
舞台を見て最初に驚いた点は、目を見張るほどのキャラクターたちの実在感。ひとりを演じる守乃まもさんをはじめとしたキャスト陣の熱演により、アニメで見た光景がそのまま目の前で繰り広げられていきます。
例えば、作品を象徴するちょっぴりぶっ飛んだコメディ。落ち込んだひとりが自分からゴミ箱に入ったり、金欠のリョウが野草を食べたり、現実にはありえないような場面も原作の雰囲気を大切に、そして妥協なく再現しています。
コミカルな場面が目を引く一方で、青春ものとしても高い評価を得ている本作。生身の役者が演じる本舞台では、アニメとは異なる魅力も引き出されていると感じました。ひとりとベーシスト・廣井きくりが金沢八景でセッションするシーンでは、ふたりが交わす視線や肌で感じる音の重なりによって、セリフ以上の感情が伝わってきます。
また、アニメを観た方はひとりが心の中で展開する様々な妄想を、舞台上でどのように演出するのかも気になるところだと思います。そこで登場する画期的な要素が、「ぼっち~ず」と呼ばれるひとりとそっくりな見た目のイマジナリーフレンドたち。
話相手になってくれるのはもちろん、一緒に踊ったり、必要なアイテムを運んでくれたりとほぼすべてのシーンで彼らが絶妙なサポートを行ってくれるのです。画としての面白さも凄まじく、ひとりの心象風景を描写するために「ぼっち~ず」はなくてはならない存在と言えます。
さらに、ひとりが持ち前のネガティブさを発揮して生み出す即興ソングが、本舞台でも披露! アニメに登場した迷(名)曲の数々を生で聴けてしまいます。アニメで内容を知っていても、思わず吹き出してしまうはず。そしてなんと……とあるシーンで喜多ちゃんがミュージカル風の歌を歌唱! 舞台ならではのはっちゃけた喜多ちゃんを、ぜひその目で確かめてみてください。