声優・茜屋日海夏さんが30歳を前にして思うこと|群像劇映画『30S(サーティーズ)』出演キャストインタビュー
2時間を超える大作
――カッコいいセリフもあって、良いお父さんでしたよね。茜屋さんは完成されたフィルムをご覧になっていかがでしたか?
茜屋:撮影中は、自分のシーン以外は見ないので、台本とは違って映像があるとこうなるんだなって感動しましたし、通しでストーリーを観るとより共感できましたね。この作品に携われていることが光栄だなと。
――2時間を超える映画で、内容の濃さはもちろん、ボリューム的にも見ごたえがありましたよね。
茜屋:そう。見てみると、2時間に感じなかったですね、見どころがどんどん来るから、次どうなっちゃうのって感じで。
――途中からの展開は目を見張るものばかりでした。茜屋さんから見て、特に印象的なキャラクターはいますか?
茜屋:悩むな〜。本当にみんなキャラが立っていて魅力的なんですよね。寄り添えそうな気がするのは長嶺蓮香(財田ありささん)ですかね〜。
――彼女は、想像していなかった展開になってビックリしました。どの部分に共感できますか?
茜屋:なかなかの人物ですよね(笑)。ふわふわしていながらも、闇を持っているというか。私もそういう役をやってみたいなって。
――生々しい人生の描写がありますよね。
茜屋:ある種攻めにくいようなところも描いてますよね。
――そうですね。
茜屋:あと中古車屋さんに来たギャルの子の役(久住 演:當山美智子さん)やりたい! ああいう爪痕残す役って良いですよね。
――登場時間は短いですが、印象深いです。男性キャラクターは気になる方います?
茜屋:最後の方でタケルに気づきを与えるミュージシャン・蔵野賢治(窪田翔さん)とか。全体的に落ちている展開で、爽快感のある役だなと。
誰かが29の壁って言ってたんですけど、30になれば良い意味で諦めが付いて取捨選択がスパッとできるようになると思うんですけど、この年齢だと色んな道があるというか、悩む時期だなと感じています。私も蔵野を見ると、こういう人になってみたいなって思います。
自分が仕事柄いろんなことをしてきたというのもあって、音楽一本でやっているのに憧れますね。何か一本で頑張っている人に憧れるんですよ。
このご時世いろんなことにチャレンジできていい時代なんですけど、逆に一本突き詰めている人もカッコいいと思いますね。個人的には蔵野さん、おすすめです。
――ありがとうございます。改めて『30S』という映画の魅力はどういうところだと思いますか?
茜屋:ストーリー自体も踏み込んだシーンや、寄り添えるところもありつつ、参加させてもらって感じたのは映画が好きな方が集まっているなと。オーディション時からそれが伝わってきて、絶対この役やりたいな、皆さんと一緒に映画を作りたいなと凄く思いましたね。
撮影中でも、カメラが回ったらグッと集中して、撮影外では和気あいあいとされていて、その雰囲気も含めて映画ににじみ出ていると思います。
――特にどんな人に映画を見てもらいたいですか?
茜屋:このインタビューを読んでくれる方って私のファンの方が多いと思うんですけど、私の今までにない姿とかも映画に出ていると思うので、こういう顔もするんだなって思ってもらいたいですし、同世代の悩みを持つ方は共感しながら楽しめると思いますし、若い方はこれからの選択のヒントにしてほしいです。
30歳を超えた方々も、自分にもこんなことあったな〜って懐かしく思えて、全世代に刺さる映画だと思います。
茜屋日海夏、29歳
――ちなみに、茜屋さんも来年30歳になるということで、何か感じることありますか?
茜屋:このくらいの年齢になると、周囲ははやく30歳になりたいって声の方が多いんですよ。でも私は29歳をしっかり充実させてから30歳になりたいですね。なんか寂しいですね、もう20代って言えないんだなって。
――ご自身の芸能活動は11年目になると思いますが、振り返ってみていかがでしたか?
茜屋:今はもういろんなところで言ってますけど、それこそ最初の頃はアイドルやりたくなかったんです。でも気づいたらずっと続けていて、楽しくなってて(笑)。
昔の人生設計になかったことを11年も続けているって人生どうなるかわかりませんね。数年前に後悔したなと思っていたことも、今となってはいい経験だなとポジティブに捉えられるようになってきて、今までやってきたことを活かしてこれから何ができるか楽しみです。
――思い出深い仕事はありますか?
茜屋:舞台の千秋楽をお昼に終えた後に、『プリパラ』のライブに出演した日ですね。傍から見たら無茶でしょって感じだと思うんですが、私は忙しなく活動している方が性に合っていて、凄く楽しい日だったんです。改めて仕事好きだなと思いました。
――なるほど、この10年で凄く良い経験をされたんですね。 女優としての茜屋さんの魅力ってどんなところでしょう?
茜屋:もう少し若い時は真っ直ぐなヒロインの役をさせていただくことが多かったんですが、20代中盤辺りからちょっとふざけた役も増えてきました。
それを演じることによって繋がりも増えてきて、茜屋が居てくれると舞台が盛り上がるっていう見方をしてくださる方も居て。逆にシリアスなお芝居も好きで、先輩の俳優さんにもシリアスなイメージがあるって言われたこともあってそちらも楽しいですし。割りと柔軟に演じることができるかなと思います!
――ありがとうございます。最後に映画を楽しみにしているファンの方に一言メッセージを頂いてもよろしいでしょうか。
茜屋:ストーリーはもちろん素敵で、観ていただいた方の年齢や生き方で感じ方が変わる作品です。いろんなお仕事をされている方とか、共感できるキャラクターもいると思いますし、回数を重ねても違った楽しみ方、見方があると思います。映画が大好きな方が集まって作った作品なので、その愛も感じながら楽しんでいただけると嬉しいなと思います。
――本日はありがとうございました。
最後に少しだけ。
「30S」は非常に素晴らしい映画なのだが、現状では鑑賞できる映画館が少ない。こうした映画が広く届くためには作品を視聴した方からの「口コミ」が本当に大事だったりする。
もしも、あなたの心に「30S」が残ったのであれば、周りの方やSNSなどで、感想を共有したり、投稿してみて欲しい。
いい作品が必ずヒットするとは限らない。ただ、ヒットする作品は必ず誰かの「応援」から誕生している。
青春から生まれた青春群像劇映画。この素敵な作品が多くの人に届くことを願いつつ、本日は筆を置きたい。
[取材・文/川野優希 撮影/小川遼]
映画「30S」作品情報
主演 小野匠
出演 財田ありさ 新田桃子 真田佑馬
野元空 窪田翔 難波なう ラブ守永 内藤聖羽 伴優香
宮城大樹 當山美智子 山崎さやか 長谷川公彦 諸星翔希(友情出演)
茜屋日海夏 山口太郎 など
脚本・監督 佐藤克則
あらすじ
30歳の誕生日を数日後に控えた向井タケルのもとに、大学時代に同級生だった、御手洗甲からメッセ ージが届く。それをきっかけに、タケルは大学時代の"ある言葉"を思い出す。
10年前の10月31日。
向井タケル、長嶺蓮香、御手洗甲の20歳の誕生日。
「俺達3人が生まれた日はガリレオ・ガリレイが嘘つきじゃなくなった日だ!
彼の死後、350年後の1992年10月31日に、地球が太陽の周りを回ってる真実をローマ教皇が認めたんだ。いいか、これは凄いことなんだよ!30歳になる時も集まろうな...」 熱弁をふるう御手洗を見て笑うタケルと蓮香。
それから10年。タケルに御手洗の妹・薫から電話が入る。
「兄が失踪したんですが、居場所に心当たりはありませんか?」
御手洗の失踪を合図に、それぞれの人生の歯車が動き出す。
原案・プロデューサー 真田佑馬
制作・配給 株式会社 STUDIO CARNET
製作 「30S」製作委員会
公式ホームページ https://movie30s.com
公式 Twitter@movie30S https://twitter.com/movie30S/