『響け!ユーフォニアム』は私の音楽史に欠かせない──TRUEさんの新曲「アンサンブル」発売記念イベントで6曲熱唱│イベントレポート&インタビュー
“会話”を大事に作ってきた
──今回、作曲・編曲を「サウンドスケープ」でもタッグを組まれた渡辺拓也さんが担当されています。
TRUE:大切なところでいつも曲を書いていただいている方です。すごく信頼していて、今回も拓也さんにどうしても書いてほしい、とお願いしました。
──TRUEさんからお願いされたんですね。
TRUE:そうなんです。新曲のお話をいただいてすぐにお願いしました。なので曲のリテイクもなく一発OKさせていただいて。
── 一発ですか!
TRUE:素晴らしい曲をいただいたので、そこから一緒にブラッシュアップして今の形になりました。
──どんな部分をブラッシュアップしたのでしょうか?
TRUE:もともとイントロ部分はアカペラではなかったんですよ。作品サイド、監督とお話をしながら、アカペラスタートが今回の劇場作品にふさわしいのではないか、となりまして。
『響け!ユーフォニアム』の楽曲は、毎回、いろいろな人たちのアイディアを持ち寄って制作しているんです。
──監督も曲作りに参加されるんですね。
TRUE:曲作りではないんですけど、お互いの作品に込めた思いを話し合っています。京都アニメーションさんは特に会話を大事にされているので、いっぱい言葉を重ねながらアイディアを出し合って、一緒に作り上げました。
今回、もともとストリングスアレンジはなかったんです。アレンジをしたとしてもあくまでもグラスブラスサウンドが前に出てくるようなイメージで。でも監督から「もっとエモーショナルなストリングスに」というお話をいただいたので、それをもとに仕上げていったりもしました。
だから監督が音楽制作をしているのかといえば違うんですけど、『ユーフォ』の音楽を一緒に作っているという感覚はすごくあります。
──『響け!ユーフォニアム』の中の音楽という側面が強いんですね。
TRUE:アニソンの作り方ってふたつの側面があると思っていて。タイアップのときはアニメの世界にふさわしい曲を作るべきであって、私もそれを目標としています。
でも私という人が作る以上は、“私である意味”が必要なんです。むしろ、そうでなければキャラソンであるべきなんですけど、私はキャラソンは歌わず、自分の言葉と意思を乗せるようにしていて。
──なるほど。
TRUE:両方の側面があるんですよね。監督の意思をたくさん組み込んだからといってアニメの曲というわけではないですし、『ユーフォ』に関しては8年間歩んできた信頼関係があるからこそできた部分もあって。
様々な作品と曲を作ってきましたけど、やっぱり京都アニメーションさん、特に『ユーフォニアム』は“会話”を大事に作ってきた感覚が強いです。
「監督、これどうですか?」という質問に「このアイディアはどうですか?」みたいに、ディスカッションを重ねていて。でもそれが自分の音楽じゃない、とは思っていなくて。作品と一緒にTRUEの音楽を作っている意識というんですかね。
──皆と一緒に作り上げているんですね。
TRUE:まさにそれがアンサンブルなんです。
MVは「アニメと私のちょうど真ん中にある存在」
──記事公開タイミングではMVが公開されています。ぜひ見どころを教えてください。
TRUE:今回のMVは黒板アート風の演出をしていただいています。そもそもMVってひとつの映像作品として完成していないといけないですし、アニメと私のちょうど真ん中にある存在なんです。
なので、今回のMVもすごく絶妙な着地点になっていて。『響け!ユーフォニアム』の世界観に寄り添いながらも、誰の心にもノスタルジックを感じさせる映像作品にしていただいたと思います。
──黒板アートに注目された理由はあるんですか?
TRUE:誰もが懐かしいと感じるものはなんだろう? と考えたとき、教室にある黒板やチョークが浮かびました。それとともに、これなら誰もが懐かしさであったり、自分が必死だった頃を思い返してくれると考え、黒板アートにたどり着きました。
──(取材時)まだ見れていないので楽しみです。
TRUE:ぜひ! ひとつの作品として楽しんでいただけると思います。