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『響け!ユーフォニアム』の原作小説『飛び立つ君の背を見上げる』の魅力を徹底解説!

読んだら中川夏紀、吉川優子、鎧塚みぞれ、傘木希美がさらに好きになる!?『響け!ユーフォニアム』シリーズの小説『飛び立つ君の背を見上げる』を紹介

全国の映画館で上映中の『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト』。本作は2019年に公開された『劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』以来およそ4年ぶりのアニメ『響け!ユーフォニアム』シリーズ最新作で、主人公・黄前久美子が北宇治高校吹奏楽部の部長に就任した後の物語を描いています。

また、来年(2024年)春からTVアニメ第3期『響け!ユーフォニアム3』の放送が予定されており、以降の展開にも期待している方は多いことでしょう。

そんなワクワクした心境の時に読みたくなるのが、武田綾乃先生による原作小説。キャラクターたちの台詞が標準語ではないなどアニメとの差異はありますが、作品世界をより深く知ることができます。

筆者も公開初日の初回上映を鑑賞するために喜び勇んで映画館に向かったのですが、その後にやっぱり原作を読みたくなりました。中でも無性に読みたくなったのが、久美子たちのひとつ上の上級生たち、中川夏紀、吉川優子、鎧塚みぞれ、傘木希美を掘り下げる『飛び立つ君の背を見上げる』でした。

本稿ではその魅力をなるべくネタバレ無しでご紹介したいと思います。

中川夏紀の視点で3年間を振り返る

本作は、アニメシリーズでも印象に残るキャラクターのひとりにして、久美子の1学年上の先輩である夏紀の視点で、優子、みぞれ、希美と過ごした北宇治高校吹奏楽部での日々を振り返るような内容となっています。

久美子たちが入学する前の北宇治高校吹奏楽部や夏紀たちの中学時代も語られるのですが、この部分を知りたかったというファンの方は多いはず。

ここでその詳細を語ることは避けますが、後に顧問となる滝昇が赴任してくる前の北宇治高校吹奏楽部の空気、当時の3年生がどんな人たちだったのか、希美が吹奏楽部を一旦退部することになった経緯、希美が一度退部した後も何故夏紀は部活に残ったのかなど、本当に気になるところが本作で詳らかになっていくのです。

夏紀はアニメでも序盤は練習に熱心ではない様子がみられていましたが、そこまで部活に熱心ではない彼女が吹奏楽部に在籍し続けた真意を知ることで、見え方が変わってくる部分もあることでしょう。

また、久美子たちが入学してからのエピソードもいくつか存在しています。2年生の時のオーディションでコンクールメンバーに入れなかった時の心境や、田中あすかが夏紀を副部長に指名した理由などにも少し触れられるので、夏紀推しの方は要チェックです。

 

鎧塚みぞれと傘木希美にも変化が

加えて、夏紀の視点から引退後のみぞれと希美の様子も窺い知れます。このふたりといえばTVアニメ第2期序盤での希美の復帰とそれにまつわるエピソードや、映画『リズと青い鳥』のオーボエとフルートでの掛け合いの演奏や、卒業後の進路にまつわるエピソードでした。

本作ではそんな彼女たちのその後が見られるのです。ふたりとも『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト』でも一部シーンに登場。みぞれはTVアニメ第2期序盤や『リズと青い鳥』から成長を遂げた様子を少し見せていました。そんなみぞれに対する希美の心境も、また変わってきているようで……!?

加えて夏紀とみぞれ、夏紀と希美の関係性や夏紀からみた優子とみぞれ、優子と希美の描写などもあるので、本作を読むとこの4人組の関係性が本当に魅力的で濃いものである事が実感できます。

読み進めていくと本作も映像化して欲しいと切実に願ってしまうこと請け合いなので、ぜひ『リズと青い鳥』を見てまだ本作を読んだことのない方もこの機会にご一読を。

 

夏紀といえばやっぱり優子!

夏紀たちが2年生の時にあったオーディション時、紆余曲折あって高坂麗奈と中世古香織がソロパートを争うことになり、部内の雰囲気が一時期混迷を見せたことがありました。

その際、ある意味で台風の目となっていたのが優子でした。本作では先述した通り久美子や麗奈たちが入学する前の北宇治高校吹奏楽部が描かれるので、最終的に麗奈がソロを担当することになり丸く収まったとはいえ、どうしても香織にソロを吹いてほしいと願っていた優子の心情が理解できてしまう部分も。

そんな優子を後に副部長として支えることになるのが夏紀ですが、そんなふたりのじゃれあうかのような掛け合いは本作でも健在。むしろ、本作が一番それを楽しめるといっても過言ではありません。

特に本作は引退後ということで、ふたりから部長と副部長という肩書が外れています。ふたりの信頼関係に裏打ちされたあけすけで遠慮のないやりとりや、部活を頑張っていた頃のこれまで描かれていなかった場面も見られます。

読み進めれば読み進める程に心の底からアニメで見たいと思ってしまうくらいなので、まだ未読の方はぜひ読んでみてください。ここでネタバレするのは無粋過ぎるのでもう読んでください以外に言うことがありません。そしてアニメ化への希望を繋ぎましょう。

そして彼女たちの卒業式や、卒業後の関係性も……!?

また、夏紀、優子、みぞれ、希美の卒業式当日の様子が描かれる部分も。卒業式というとTVアニメ第2期最終回の久美子とあすかのシーンなどが思い返されますが、夏紀の卒業時に久美子とどんな話をしたのかなども気になるところではないでしょうか。

 
彼女たちの卒業式というと、『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話』には本作と同名の短編エピソード「飛び立つ君の背を見上げる(Fine)」と「飛び立つ君の背を見上げる(D.C.)」が収録されているのですが、こちらを本作とあわせて楽しむと物語の深みがさらに増します。

「飛び立つ君の背を見上げる(Fine)」と「飛び立つ君の背を見上げる(D.C.)」は、「『響け!ユーフォニアム5th Anniversary Disc ~きらめきパッセージ~」でドラマCD化も果たしているので、アニメと同じ声優陣によるお芝居で楽しむことも可能です。ちょうど宝島社から本作の文庫版も発売されたばかりですので、あわせてチェックしてみてはいかがでしょうか。

文庫版はハードカバー版とは表紙絵が一部異なる(※これがまた良い)ほか、『リズと青い鳥』の脚本を務めた吉田玲子さんによる解説、ハードカバー版の特典となっていた希美視点の短編「記憶のイルミネーション」も収録されるとのことです。

以上、『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト』とあわせてチェックしたい小説『飛び立つ君の背を見上げる』の紹介でした。

久美子3年生編となるTVアニメ『響け!ユーフォニアム3』の前に、チェックしたいエピソードが満載の本作。ぜひ『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト』とあわせてチェックして、夏紀、優子、みぞれ、希美の世代にも想いを馳せてみてはいかがでしょうか。

作品情報 

特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~

あらすじ

新部長・久美子を待っていたのは、アンサンブルコンテスト――通称“アンコン”に出場する代表チームを決める校内予選だった。

無事に予選を迎えられるように頑張る久美子だが、なにせ大人数の吹奏楽部、問題は尽きないようで……。様々な相談に乗りながら、部長として忙しい日々を送っていた。

部員たちがチームを決めていくなか、肝心な久美子自身はというと、所属するチームすら決まっていなくて──。

キャスト

黄前久美子:黒沢ともよ
加藤葉月:朝井彩加
川島緑輝:豊田萌絵
高坂麗奈:安済知佳
塚本秀一:石谷春貴
釜屋つばめ:大橋彩香
中川夏紀:藤村鼓乃美
吉川優子:山岡ゆり
鎧塚みぞれ:種﨑敦美
傘木希美:東山奈央
久石 奏:雨宮天
鈴木美玲:七瀬彩夏
鈴木さつき:久野美咲
剣崎梨々花:杉浦しおり
滝昇:櫻井孝宏

(C)武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
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