『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』総作画監督・池田和美さんインタビュー|成長による変化も入れつつ、「今までの久美子たち」でもあると思ってもらえるように芝居を付けた【スタッフ&声優 短期連載:第4回】
大人気シリーズ約4年ぶりの新作として、8月4日(金)から全国の劇場で上映中の『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』。
北宇治高校吹奏楽部の新部長・黄前久美子を始めとする、人間味にあふれた、個性豊かなキャラクターたちが魅力の本作で、総作画監督を担当したのが京都アニメーションの池田和美さん。『中二病でも恋がしたい!』『CLANNAD』などでキャラクターデザインを務め、過去の『響け!ユーフォニアム』シリーズにも作画監督や原画で参加してきました。
アニメイトタイムズのインタビュー連載企画第4弾では、池田さんに本作への思いなどを語ってもらいました。
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立場が変わった事で久美子たちの芝居付けも変化
――先に制作が発表されていた『久美子3年生編』(『響け!ユーフォニアム3』)に続き、『アンサンブルコンテスト』のアニメ化が決まり、本作で総作画監督を担当されることになった際の心境をお聞かせください。
池田和美さん(以下、池田):まず最初に思ったのは「これは責任重大だぞ」ということでした。すでにTVシリーズ2本、劇場版を挟んでスタッフや視聴者の皆さんそれぞれに『響け!ユーフォニアム』のイメージが根付いていると思います。皆同じようでいて同じでないイメージがある中で、いかに皆さんに納得していただける絵作りが出来るか、過去シリーズのさらに先にあるものとして受け入れてもらえるものが作れるかどうかが重大だと思いました。
――本作の制作をスタートするにあたって、監督陣からは、作画に関しての何らかの方針などを伝えられていたのでしょうか?
池田:改めてここを変えていこう、というようなことはほとんど無かったと思います。ただTVアニメ第3期となる『響け!ユーフォニアム3』、いわゆる『久美子3年生編』も含めると、この先、作画面でのアイデアの模索は出てくると思います。過去作品での表現を超えていきたい、という声はスタッフからもあります。
――『響け!ユーフォニアム』の登場キャラクターたちの、デザイン面での魅力を改めて教えてください。
池田:体温と体重がしっかり感じられて実在感があるところです。ぽっちゃりしているといった話ではなくて、ただ立っているだけの絵でも、骨があって肉があって、しっかりと地に足がついている、という感じがするんです。瞳や髪などはカラフルでキラキラしていてアニメ的だけれども、この「重み」の部分が演技と相まってキャラクターの存在感を増幅させていると思っています。
――池田さんご自身は、どのようなことを特に大事にしながら、本作の制作を進めたのでしょうか?
池田:今まで描いてきた久美子たちに続くものとして、説得力のあるものが作れるかどうか、ということです。過去のシリーズを通して、(キャラクターの)成長に合わせて意図的に変化させてきたもの、意図せず変化してきたもの両方あると思います。今回、基本設定は前作『誓いのフィナーレ』(『劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』)を踏襲していますが、立場が変わった事で久美子たちの芝居付けも次第に変化していきます。その変化も入れつつ、「今までの久美子たち」でもあると観た人に思っていただけるだろうか、と思いながら制作していました。