『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』音楽・松田彬人さんインタビュー|成長していく久美子たちを表現するために、劇伴も“新しさ”を追及!【スタッフ&声優 短期連載:第3回】
大人気シリーズ約4年ぶりの新作として、8月4日(金)から全国の劇場で上映中の『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』。
主人公となる、北宇治高校2年生の黄前久美子は、3年生の部活引退により新体制となった吹奏楽部の部長に就任。冬から春にかけて開催される小編成のコンテスト「アンサンブルコンテスト」に向けて、代表チームを決める校内予選が行なわれることになったのですが……。
アニメイトタイムズでは、本作のスタッフ&キャストへのインタビュー連載企画を実施中。第3弾は、テレビシリーズ第1期から音楽を担当し、劇伴だけでなく、劇中で演奏されるオリジナルの吹奏楽曲も制作してきた松田彬人さんにインタビュー。「新しい方針での第一弾」になった本作の音楽全般について、語ってもらいました。
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成長していく久美子たちを表現するために、劇伴も“新しさ”を追及
――松田さんは、第1作から『響け!ユーフォニアム』シリーズの音楽を担当されてきましたが、今回の『アンサンブルコンテスト』の音楽の作業はどのように始まったのでしょうか?
松田彬人さん(以下、松田):最初に話を聞いたのは2年くらい前で、その時はTVアニメ第3期となる『響け!ユーフォニアム3』、いわゆる『久美子3年生編』の前にアンサンブルコンテストの話を制作すると聞いて、実際の映像などを観たりして勉強をはじめました。
――本作の音楽についてのお話の前に伺いたいのですが、吹奏楽部がテーマの『響け!ユーフォニアム』シリーズの音楽を制作するにあたっては、このシリーズならではの独特の魅力などはあるのでしょうか?
松田:吹奏楽の曲を書くことは、すごく珍しいことなので、とてもワクワクする仕事だし、やりがいもあります。もちろん、そのためには、いろんな作品を聴いて勉強をする必要もあるんですが、楽しさはすごくあります。
――劇伴(BGM)に関しても、『響け!ユーフォニアム』ならではのポイントはあるのでしょうか?
松田:これまでの『響け!ユーフォニアム』シリーズの曲に関しては、「このシーンでこういう風にしたい」みたいな具体的な内容のオーダーは無くて。印象に残る良いメロディーの曲を作ることがメインだったんです。
でも、今回からそれが変わりました。鶴岡(陽太)音響監督からは、「今までと同じように作ると、ずっと同じ感じにしかならない。(3年生が部活を引退して)主人公たちが最年長になったし、これから3年生にもなっていく。その上で、成長していく主人公たちを表現するために、音楽も一転させて新しくしたい」というオーダーがありました。その上で、「いろいろなことを覚悟の上で、絵のことを考えず、新しいことをやって欲しい」と言われましたので、絵にしっかり合わせようとは思っていなくて、新しいテクニックで作っていたりしています。
――そのオーダーを聞いた時には、「これは面白いな」と思いましたか? それとも「これは大変だぞ」と思いましたか?
松田:正直、どっちもありました(笑)。一回聴いて「新しいな」と思ってもらうためには相当変えないといけないし、それは相当多くの引き出しがないとできないことなので、現代音楽と呼ばれるちょっと複雑な音楽も含めて、いろいろな音楽を聞きました。『アンサンブルコンテスト』(の音楽)は、新しい方針での第一弾みたいな形になっていますが、テレビシリーズ第3期の『久美子3年生編』でも、それが主流になっていくはずなので、もっといろいろと勉強して新しいところを探していけたらいいなと思います。