ファンが見たい“おそ松さんらしさ”が詰まった『おそ松魂伝』のスタッフ陣にインタビュー! 山口ひかるさん(監督)×橋本由香利さん(音楽)×西浩子さん(エイベックス・ピクチャーズ)が語る、音作りと6つ子への思い
アニメ『おそ松さん』の最新作となるアニメ『おそ松さん~魂のたこ焼きパーティーと伝説のお泊り会~』(以下、『魂伝』)。
本作は、昨年の『おそ松さん〜ヒピポ族と輝く果実〜』に続く劇場公開作で、同シリーズ6周年を記念した完全新作アニメ。これまで演出として本作に関わっていた山口ひかるさんが監督を務め、6つ子たちの日常をにぎやかに、軽快に描き出しています。
そこで今回、山口監督と橋本由香利さん(音楽)、西浩子さん(エイベックス・ピクチャーズ)による鼎談を実施。『魂伝』の音楽周りの制作秘話を中心にお話を伺いました。
山口さんが監督を務めることになった経緯とは
――絶賛公開中の『魂伝』(※取材時)ですが、お三方の手応えはいかがですか?
山口ひかる監督(以下、山口):先ほどまで別件で、見返していたら「あ、ここはもっと別の見せ方にすればよかったな……」と思うところがどうしても見つかるんですよ。ものづくりのゴールの無さを感じました。ですが、お客さんの反応を見ているとすごく楽しんでいただけているのが伝わってくるので、本当にありがたいです。
橋本由香利さん(以下、橋本):私は……完全に視聴者目線でしたね。ひたすら楽しんでいました。「可愛い〜」「面白い〜」って(笑)。
――橋本さんもガッツリ関わっていたかと思いますが、完成してからは意外と客観的に観ているんですね。
西浩子さん(以下、西):私は、『魂伝』に関してはどんなお話にするかという話し合いの段階までと、出来上がりのダビング以降に参加したので、関われていない期間が結構長いんです。なので、私こそ客観的に観られたかもしれません。「こんなにも心にグッと来るお話を作ってくださるとは……!」と思いながら観ていました(笑)。今までの『おそ松さん』にない、新しい道を切り開いてくださったなと感じています。
――確かに、監督が変わると見え方がガラッと変わるんだなと感じる部分もありました。意図的に変えようとしていたのでしょうか?
山口:いえ、そういう考えはなかったですね。事前に、藤田(陽一)さんに「今回は私が監督をやります」というお話はしていて、当初は胸を借りるつもりでいたんですが、藤田さんが「自分のフィルムだと思って作りなさい」と仰って。そこからは「自分にできることをやろう」っていう気持ちでやっていました。
――そういう思いが山口さんらしい『おそ松さん』を作り上げたのでしょうね。ちなみに、山口さんが監督を務めた経緯というと?
西:「劇場アニメを2作品作りましょう」と「ぴえろ」(studioぴえろ)さんとお話させていただいたとき、「監督はどうしましょうか?」という話になったんですが、そこでお願いしたいと名前が挙がったのが山口さんでした。というのも、第1期から『おそ松さん』に関わる中で、「今回のお話、すごく素敵だったな」と思ったエピソードのコンテや演出にだいたい山口さんのお名前があるんですよ。
『えいがのおそ松さん』(2019年公開)で、山口さんが担当されたパートもめちゃくちゃ素敵で! 「まるまる一本、山口さんが作った『おそ松さん』も観たいな」という気持ちがずっとあったんです。なので、富永さん(studioぴえろ プロデューサー)にダメもとで「山口さん、お願いできませんかね?」と何回かお願いさせていただいて、受けていただきました。お返事をいただいたときは、やったー!って感じでした(笑)。本当に感謝しかないです。
山口:うわぁ……そんなことがあったんですね。私はずっと「ぴえろ」とお仕事をしているので、話をいただくときは絶対に富永プロデューサー経由なんです。西さんから直接こんなに熱い思いを聞いたこともなかったので、今ちょっと照れてます(笑)。
西:富永さんには熱く伝えました(笑)。
山口:ありがたいです!(笑)