驚きあり、笑いあり、涙あり……「感情がジェットコースター」という言葉がピッタリな映画――『ホーンテッドマンション』日本語吹替版で心霊写真家ベンを演じる八代 拓さんにインタビュー!
驚きあり、笑いあり、涙あり……まさに「感情がジェットコースター」のような映画
――今回の映画の映像を見たり、演じてみて感じた作品の印象や魅力を感じた点などをお聞かせください。
八代:すごい完成度だなと思いました。登場人物がまず個性的で、ひとクセもふたクセもあってひきつけられますし、ゴーストたちも999人いるので、いろいろなタイプがいて。おどかしてくるゴーストもいれば、「あれ? 味方なのかな?」と思わせるゴーストもいたり、何も考えてなさそうなゴーストもいて(笑)。コメディチックで楽しい瞬間と、すごく怖いシーンのバランスも素晴らしくて。それこそがこの映画の魅力であり、『ホーンテッドマンション』というアトラクションの魅力なんだなと。
――エンターテインメントの要素がすべて詰まったような映画だと思いました。
八代:そうなんです! アトラクションに乗って出発すると、驚いて「わーっ!」と叫んだり、「わはは」と笑っていたかと思えば、気が付いたら涙が頬を伝っていて。すごく感情を揺さぶられる映画で、よく作品を例える時に「感情がジェットコースターのような」と言いますが、まさにこの映画の表現としてピッタリだなと思います。
あと、登場人物それぞれが、物語が進んでいくと心境が動いたり、変化していくことで、引き込まれるし、感情移入できるのだと思います。
監督のジャスティン・シミエンさん自身が元々、ディズニーランドのキャストだったこともあって、『ホーンテッドマンション』への愛が詰まった作品だなと改めて実感できました。
ベンは素直で温かいけど、ちょっとひねくれた人。演じる時は素のままの自分で
――演じるベンの印象とご自身と似ている点、共感できる点などお聞かせください。
八代:ベンは幽霊を信じていない心霊写真家で、根本の性格的には素直で温かい人なのに、少し心がすさんで、ひねくれてしまっていて。最近引っ越してきた屋敷にゴーストがいるみたいなので、確認してほしいとシングルマザーのギャビーに依頼されて引き受けますが、ベン本人はまったくゴーストを信じていなくて、「適当にやって報酬だけもらって、サヨナラしよう」と思ったらあれよあれよと巻き込まれてしまって。
素直さや温かさは最初から最後まで、いろいろなシーンで感じられるキャラクターで、割とフラットに物事を見ているという点では、お客さんの視点に一番近いかもしれません。なので親しみを感じてもらえると思いますが、少し頑固なところが玉に瑕で。そんな自分の主張を曲げない、折れないところは「僕と似ているかも」と思いながら演じていました。
――ベンはウィットに富んでいて、人前では明るく振舞っていますが、ふと悲哀を感じさせる表情や仕草を見せる瞬間が何度もありました。
八代:ものすごく深いキャラクターで、作中でも丁寧に描かれていると思います。元々はそれほど社交性があるタイプでなく、明るい性格でもなくて、それに加えて世間や自分に対しての“あきらめ”みたいなものを最初のあたりで感じました。
――実写でベンを演じているラキース・スタンフィールドさんが繊細な部分まで演じられていたので、吹替えをする時もかなり難しかったのでは?
八代:お芝居を拝見して、すごく難しいなと思いました。でも、「きっと自分のパーソナルな部分とベンのパーソナルな部分で共通しているところがあるから選んでいただけたのかな」と思ったので、あまり取り繕わず、素のままの自分でベンの想いを表せたらいいなと。ベンは思ったことをストレートに口にできる人だし、起きた出来事に対しても素直に受け取ることができるので、後半に行くにつれて、どんどん心をさらけ出して演じられたらいいなという心構えで演じました。
そうやって収録が進んでいくと自然と呼吸感が合ってくるんですよね。ベンを演じているラキースさんのお芝居や呼吸感、間が段々と自分の体の中に入ってきて、どんどん吹替えするのが楽しくなってきて。最初は難しくて、いろいろ悩みましたし、音響監督さんと相談しながらでしたが、最終的には楽しんでできたかなと思います。