『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』神谷明さん&伊倉一恵さんインタビュー|「今作はヒットする要因だらけなんですよ!期待した想像を超える作品に仕上がっています!」
『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』が、2023年9月8日(金)より公開中!
『シティーハンター』は、裏社会ナンバーワンの始末屋(スイーパー)であり、ケタ外れの女好きである冴羽獠と、彼のパートナー・槇村香の活躍をハードボイルドに、ときにコメディタッチで描く物語。
1985年より『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された北条司さんによるコミックスで、単行本の累計発行部数は5,000万部を超え。1987年から1999年までTVアニメも放送され、世界中で絶大な人気を誇っています。
また、TVスペシャルより約20年ぶりのアニメ復活となった2019年公開の『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』は観客動員数100万人を超える大ヒットを記録しました。
アニメイトタイムズでは、『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』の公開を記念して、冴羽獠役・神谷明さん、槇村香役・伊倉一恵さんにインタビュー。今作の見どころから制作裏話、そして作品への深い愛まで語っていただきました。
『シティーハンター』は幸運に恵まれた作品
ーー今作『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』の制作を聞いた時、どんなお気持ちになりましたか。
神谷明さん(冴羽獠役、以下神谷):まず、「やった!!」と思いました。(新作は)待ち焦がれていた部分もあったので、「来たか!」という思いで、本当に嬉しかったです。
ただ、この年になりますと、年々いろいろと落ちていくものですから「やってくれるなら、できれば早い方がいい」と思っていたんです。でも、よく考えると「前作の公開から4年というのは、いい間だったかな」とも思いました。
ーー4年前に『新宿プライベート・アイズ』が公開された時には、すでに今作のことはご存知だったんですか。
神谷:いいえ。『新宿プライベート・アイズ』が当たらなければ「次はないぞ」という気持ちでいたんですよね。だから、当時は受け入れてもらえるかどうか、すごく不安でしたが、ファンの応援や熱いメッセージが僕らのところにもたくさん届いて、ホッとしました。観客動員数も100万人を突破したものですから、むしろ当時としては「信じられない」という気持ちと、「良かった」という思いが交錯していましたね。
伊倉一恵さん(槇村香役、以下伊倉):アニメ30周年の時は何もお話がなかったので、「『シティーハンター』は、過去の作品になっちゃったのかな」とちょっと諦めていた気持ちもありました。それが32周年で『新宿プライベート・アイズ』をやると聞いて、嬉しかったです。
そして嬉しい気持ちと同時に、32年前にはじめて演じた槇村香というキャラクターを再び演じることについて、「私自身が大丈夫なのか」という不安もありました。そういった気持ちを持ちながらも演じて、いざ映画が公開してみたら、何度も映画を見てくれる人たちがいてね。劇場も4DXやMX4Dとか音がいいところとか、いろいろな工夫をして上映してくれました。
「何度も映画を見に行きました」という声もたくさん届いて、すごく長いこと上映してもらえて、舞台挨拶も何度かあったので、幸せでした。
ーー前作の大ヒットというのは、お二人が想像した以上のものでしたか。
神谷:はい! 「こうなったらいいな」という以上でした(笑)。ずっと上映してくれていたことがまず嬉しくてね。
伊倉:『シティーハンター』は、本当に運のいい作品だなと思いました。『シティーハンター』という作品自体が幸運を持っているんでしょうね。
神谷さん、伊倉さんが絶賛するキャスティング
ーー今作の脚本を読んだ印象や率直な感想をお聞かせください。
神谷:むとうやすゆきさんのシナリオがめちゃくちゃ面白かったんですよ。ただ、シナリオにいろいろなアクションシーンがあるんですけど、その描写が文字で書かれていて、すごい分量なんです。だから、シナリオを読んでいて「これ、画にできるの?」という思い持って収録現場へ行ったんですけど、いざ収録する際の資料映像を見せていただいたら、「ちゃんとできている! すごい!」と思いました。作画のみなさんがものすごく努力されたと感じましたね。
ただ、ゲストキャラクターのアンジー(CV:沢城みゆき)は、難しい役で大変だなと……。ここから(伊倉さんに)変わりますからね(笑)。
一同:(笑)。
伊倉:では、続きを引き受けますね(笑)。とにかく脚本が面白いドラマになっているんですけど、「これは演じるのが大変だな」というのがアンジーなんですよね。アンジーは謎めいているキャラクターなので、ソフトなところからハードなところまで演じなくてはいけなくて……。脚本を読みながら「アンジーを演じるのは大変だな。どうするんだろう?」と思いました。
神谷:なおかつ、キャラクターの年齢が若いんですよ。ところが、アンジーは若い部分とすごく大人の部分とあって……。
伊倉:アンジー役が沢城みゆきちゃんになったと聞いて、「みゆきちゃんだったら、成功間違いなし!」と思いました。みゆきちゃんを尊敬していますし、「共演できて、嬉しい。勉強させてもらえる。ありがたい!」と思いました。
ーー沢城みゆきさんも収録は別収録ではなく、神谷さん、伊倉さんと一緒にしたいと熱望していたと聞きました。収録はいかがでしたか。
伊倉:収録の時も嬉しくて、みゆきちゃんと一緒に収録できると興奮状態でした。
神谷:非常にロジカルに役を捉えて、演じているということを一緒にやってみてわかりました。僕は冴羽獠という役を肌で感じたまま演じているというところがありますが、沢城みゆきちゃんは、きちんとしたお芝居を作ってこられた。そうした中で、演出と話しつつ、しっかり答えを出していく。自分だったら嫌だなと思うぐらい、アンジーはしんどいキャラクターだったんですけど、素晴らしかったですね。一緒にやっていて、緊迫感を共有しました。
伊倉:「みゆきちゃんだから、できたな」という感じはしました。アンジーは、すごくかわいくなる時もあるんですよ。
神谷:僕らも最初は理詰めでやっていたんだけど、だんだん感覚的に役を捉えられるようになって、もう(自分たちは)獠と香として理屈ではなく、作品の中に入って行くことができるんです。
でも、沢城みゆきちゃんも、(ピラルクー役の)関智一くんも、(エスパーダ役の)木村昴くんも、(海原神役の)堀内賢雄さんも上手に作品の中に入って来てくれて、いい芝居してくれたな~。キャスティングがピッタリなんだよね。
伊倉:そうなんです。それに、キャストのみなさんに遊び心があるんですよね。カップラーメンを食べるシーンの収録では、実際に食べながらやると、どうなるのかと試したりもしていました。楽しそうにやっているので、見ている私も「画に合わせて上手にやるねぇ~ よくできたねぇ~」と感心しました。
神谷:(堀内)賢雄さん以外のゲストの方たちは、『シティーハンター』を見ていた世代なんです。だから、今作の出演をすごく喜んでくれました。
伊倉:そうそう。(関)智一なんて、サインをもらっていましたね(笑)。
神谷:これはすごく嬉しかったですね。今をときめく(声優の)みなさんと最新の『シティーハンター』を作ることができて幸せだったな~。
今の時代にマッチする北条司の世界
ーー今作にも登場しますが、冴羽獠の「俺を呼んだのは君だろ?」というセリフを聞いて、テンションが上がりました。
神谷:前作でいいセリフを作っていただいたなと思っていたので、「あのセリフをもう1回言いたい」と自分からお願いして入れてもらったんです。
前作の舞台挨拶の時に、あのセリフを言うと、みなさんがすごく喜んでくれたんですよね。前作はかっこよく決めていたけど、今作ではサラッと映画の流れの中で言いました。
ーー今作はどんな作品に仕上がりましたか。
神谷:作品の仕上がりは言うことないです! むとうやすゆきさんのシナリオ、きれいな画、素敵な音楽、あとは声優も本当に素晴らしい演技をしていますので、自信を持って今回の作品をお届けできます。
『シティーハンター』の導入としては、楽しく、笑っちゃうような感じでいくんですけど、気が付くと、すごく集中している自分がいて、そのまま最後まで息もつかせず突き進む感じです。アクションシーンも充実しています。カーアクション、戦うシーン、それと、お待ちかねの香のトラップを獠がクリアしていくアクションシーンなど、本当に面白いです。
今回の作品は『天使の涙(エンジェルダスト)』の世界。もともと北条司さんの世界なんですけど、それが見事に今の時代にマッチする形で作られていますので、その世界を味わってほしいですね。
それにそれに、今作も「前売り券を何枚も買いました」というお話も聞いています。前作にも増して、何度見ても面白いと思いますね。1回では見逃すところもあるんじゃないかと思うんだよね。
伊倉:そうそう。それから、東京近郊のいろいろな場所も出てくるので、「これはどこだろう? この場所じゃない?」と想像するのも楽しいと思います。
ーー今作ではOP、EDテーマをはじめTM NETWORKが挿入歌を担当されているのも話題を呼んでいます。
神谷:TM NETWORKの音楽がすごかったです。僕らは収録前に資料映像を渡されるんですけど、音楽だけ何曲か入っていたんですよ。今回の作品は、OPテーマ『Whatever Comes』も書き下ろしだし、途中の音楽を聞いていって、最後に『Get Wild』(EDテーマ)が入っていて、もう泣きそうになりましたよ。本当にいい曲ですよね。
収録が終わった後で、届いたばかりのクライマックスの曲「Angie(アンジー)」を聞かせてくれて、「小室さん、ズルい! どれだけ泣かせればいいんだ!」と思いました(笑)。
一同:(笑)。
神谷:やっぱり作品にピッタリの曲なんだよね。今回の作品は、前作から4年という月日が流れているので、「レギュラー声優陣は大丈夫かな?」と思うところもあったんですけど、前作よりもみなさんがパワーアップしています。一番パワーアップしていたのが伊倉さんです!伊倉さんはかわいらしくて、香そのもの。伊倉さんのお芝居を見ていて、感動しましたね。
伊倉:ロジカルなところは1つもないですけどね(笑)。
ーー今作のタイトルにもある「エンジェルダスト」というワードは、作品のキーワードの1つだと思います。
神谷:原作を知っている方はエンジェルダストもさることながら、海原神(CV:堀内賢雄)が出てくるのを待ち望んでいたと思うんですけど、また上手な出し方をしています。その(堀内)賢雄の声をひと声聞いただけで、ズルいんだよね(笑)。
(堀内)賢雄さんがね、アニメを見返したんだって。「そうして見ている間に、(別の役で)俺が出てた」と話していました。でも、今回の作品で賢雄さんの声を聞くと、実に海原神でしたね。
『シティーハンター』を今まで知らなかった方でも、ずっと作品を応援してくれていた方でも、充分に楽しめる作品になっていますね。エンジェルダストに関しては、底辺には流れていますけど、それよりもそこに至るまでの運びがすごくいいので、むとうやすゆきさんのストーリーに身を委ねているだけで、充分楽しめます。
伊倉:そうですね。香は獠と海原神の関係を知らないところから始まっているので、逆に今作で新しい冴羽獠を見る感じなんです。今作では過去のことを掘り起こして、1つのドラマになってくるんですけど、そうなると、他の人の過去も気になってくる。海坊主(CV:玄田哲章)、美樹(CV:小山茉美)、野上冴子(CV:一龍斎春水)、アニキ(槇村秀幸CV:田中秀幸)の過去も気になってきて…。是非見てみたい。こりゃ、元気でいなきゃ~
神谷:チラシに「最終章の幕が上がる」と書いてあるんだよね。結果的にはそうなんですよ。言えないんだけど、「えっ?」って感じで……。とっても嬉しいんだけど、年齢を考えると、「えっ? 4年経つと、俺はいくつだろう?」って……。だけど、その年齢で野沢雅子さんは、『ドラゴンボール』(孫悟空、孫悟飯、孫悟天の3役)をやっているよなと……。
伊倉:野沢雅子さんは、夜中でも平気であの声が出ると言っていましたよ(笑)。
神谷:だから、年のことは言えないんだよ。素晴らしい先輩がいるからね。
伊倉:いい目標になりますよね。