『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』神谷明さん&伊倉一恵さんインタビュー|「今作はヒットする要因だらけなんですよ!期待した想像を超える作品に仕上がっています!」
神谷さん、伊倉さんが感じる『シティーハンター』の魅力
ーーお二人が感じる『シティーハンター』の魅力、多くの人から長く愛される理由を教えてください。
神谷:北条司さんが作った『シティーハンター』ワールドというものがあると思うんですけど、それが楽しいんだよね。僕もキャラクターを任せていただいて、与えられた役を楽しんでいる。ストーリーが自然に運んでいってくれるから、シリアスな場面も含めて、実は遊んでいる感覚があるんですよ。
香のトラップに引っかかるシーンなんて、もう楽しくて(笑)。あのシーンは楽しんではいけないんだけど、実は楽しんでいます。「いつ(トラップを)作ったんだ、これ~!」とか、(収録を)やっている時は、自分が半分獠ちゃんになっていますね。
伊倉:獠も痛みを感じながらも、楽しく罠にハマっている感じ。「こんなの作れんのかよ~」といった楽しさは、獠から感じます。
神谷:そうだよね。「ここ行ったら、来るな~」という感じ(笑)。それは今作でも感じます。前半は獠と香らしく、楽しくやっていたんですけど、途中からは自然にシリアスなストーリーの流れになって、自分でやっていても締まっていく感じがしました。クライマックスのアクションシーンで、アドリブを入れるんですけど、「あぁ、ここは画で充分見せてくれているから、アドリブはいらないな」と感じたところは入れなかったです。そのぐらい画と効果音と音楽で、緊迫した感じが出ています。
伊倉:アニメの中ではいろいろなことができますけど、『シティーハンター』は魔法を使うわけじゃない。困ったことがあったら、新宿にいる冴羽獠という人に頼みに行けば、何とかしてくれるらしい。ドキドキもするけど、みんな「冴羽獠が負けるわけない」と思っていて、安心して見ていられる。娯楽として楽しい作品なのではないかと思います。ところが、今作では大変なことになっていくので、見ている方も気が気でなくてずっと見てしまうんです。
神谷:そうだね。最初はいつものようにゲラゲラ笑って見ているんですけど、途中から真剣になって見ている自分に気付くと思います。
伊倉:スピード感がありますね。そういったことを含めて、この作品が長く続いてきた魅力かなと感じています。
1人も欠けず、みんなで喜びを分かち合うチーム
ーー冴羽獠、槇村香を演じる上で、お二人が大切にしていることを教えてください。
伊倉:香は普通の子なんです。狙撃が上手いわけでもないし、コンピューター技術に卓越したわけでもない。普通の人である香が強い獠の相棒になって、普段できない生活をしている。そういった香というキャラクターを演じられることが楽しいです。
私と香の共通点として、香と同じようにラッキーというのは持っているかなと思います。銃をめちゃくちゃに乱射するんだけど、運良く当たっちゃったというところとかね(笑)。狙っていないんだけども、生き延びていける。彼女自身も普通の人として心配をしているところが私はやっていて楽だと感じています。
神谷:基本的に香はかわいいからね。人間的にも素直で一生懸命で、魅力的な女性です。
獠は理想的な男性だと思うんです。強さと優しさ、それから面白い部分もあり、「もっこり」の部分は人間的な部分だと思っています。獠のかっこいいところは、自分の中にある一番かっこいい部分を注ぎ込み、優しい部分は、自分の持っている優しい部分を注ぎ込み、アホなところは自分の持っている一番ダメなところを注ぎこんでいます。キャラクターとして出ている部分が一色ではないので、演じていて楽しいんです。北条さんの作ってくれたキャラクターの幅を充分に生かして遊んでいる感じ。
40代の半ばで、ちょうど自分がいろいろなことをできるようになった時に、それを全部発揮できる役に出会えたというのが僕にとってはラッキーでもあるし、役者としてそういう人間はあんまりいないと思うんですよ。同時にいいチームに出会えてよかったなと思っています。
なおかつ、当時の作品で今も1人も欠けていない作品はなかなかないと思います。だから、顔合わせの時の喜びったらないんですよ。今回またこうやって一緒にできたことは、当時の自分として考えるなら、夢のようなことです
伊倉:ありがたいことです!
神谷:本当にファンのみなさんには大感謝だし、その期待を裏切りたくなかったから、今回もまたこんな素晴らしい作品を作っていただいて、本当に幸せだと思っています。こだま兼嗣総監督ともまた一緒にできているし、音響監督の長崎行男さんは、アニメの時は音楽ディレクター、プロデューサーで、挿入歌を歌った時のディレクターでした。
伊倉:ご縁がありますね。
神谷:みんなと一緒に作っている感じ。これだけいろいろなことが揃った作品というのはそんなにないし、スタッフの思いが肩に乗っかってくる。「これは頑張らなきゃ」って思います。多くの作品では本当にそういったことを感じたんですけど、今作でも感じました。
今回の作品はさらに期待をして来てくれると思うんですけど、その想像を超える作品に仕上がっていますので、充分楽しんでいただけると思います!
[取材・文/宋 莉淑(ソン・リスク)]
作品情報
あらすじ
新宿を拠点にパートナーの槇村香と様々な依頼を受けている。
新たな依頼人は動画制作者・アンジー。その依頼は…何と逃げた猫探し!
獠はアンジーの美貌に、香は高額の報酬に胸を躍らせる。
警視庁の野上冴子は海坊主と美樹の協力を得てバイオ企業ゾルティック社の発明について捜査する。それは謎の組織の依頼で作られた戦場の兵士を超人化する闇のテクノロジーで、かつて獠を蝕み、パートナー槇村秀幸を死に追いやった「エンジェルダスト」の最新型だった。
猫探しに奔走する中、アンジーの命が狙われる。
依頼の真意を語ろうとしないアンジーは動画に映る獠を見つめ、ひとり呟く。
「これがあなたの『最高傑作』なのですか?」
「エンジェルダスト」を求めて現れる暗殺者たち。
壮絶な戦いに巻き込まれていく獠たちを遠く見つめる男。
それは獠の育ての親・海原神――
海原がその銃口を定める時、宿命の対決が始まる!
キャスト
(C)北条司/コアミックス・「2023 劇場版シティーハンター」製作委員会