秋アニメ『シャングリラ・フロンティア』サンラク/陽務 楽郎 役・内田雄馬さんインタビュー|内田さんはゲームのために“超”早寝早起きをしていた!?
WEB小説の累計PV数が5億超え、TVアニメ化とゲーム化が同時発表された『シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜』(著者・硬梨菜先生)。
クソゲーハンターの陽務 楽郎(ひづとめ らくろう)が、神ゲーと呼ばれる『シャングリラ・フロンティア(以下、シャンフロ)』に出会い、様々な敵に挑む冒険譚です。
本作のTVアニメが、2023年10月1日(日)からMBS/TBS系全国28局ネットにて、ついに放送スタート!
今回はサンラク/陽務 楽郎 役の内田雄馬さんのインタビューをお届けします!
本作の見どころや面白さ、サンラクの演じ方、内田さんの好きなゲーム、一風変わった昔の習慣についてなど、たっぷりと語っていただきました。
“クソゲーハンター”という裏付けがサンラクの強さの証明
ーー初めて資料や台本などを読んだ時はどのような印象でしたか?
内田:僕は、オーディションの時に『シャンフロ』を知りました。オーディションの資料からゲームの世界で旅するお話だと知り、個人的にもゲームが好きなので楽しそうな作品だなと思いました。
最初にサンラクを見た時は、「鳥の顔してる(笑)。どういう人なんだろう?」と思いましたが、楽郎を見て「なるほど、アバターか!」って腑に落ちました(笑)。
ーー(笑)。クソゲーばかりプレイしていたサンラクが神ゲーの『シャンフロ』に出会い、戦闘力の強さを遺憾無く発揮するという設定が面白いです。
内田:サンラクはゲーマーで色々なゲームを経験しているので、楽郎自体の経験値がすごく多いんですよね。“なんか強い”ではなくて、サンラクにはちゃんと強い理由があって。
数多あるクソゲーをプレイして、どんな劣悪な環境でも攻略しきってきたから、自分の想像する動きを完璧に再現してくれる『シャンフロ』という神ゲーに出会った時により輝く、その理由がすごく分かります。
断片的な情報より、どんなゲームでもやるクソゲーハンターという裏付けの元に、サンラクが神ゲーをプレイするから、見ている側も入りやすいです。バトルを仕掛けていたり、「このスキルを試してやろう!」とか、とても楽しそうに攻略するサンラクが見られます。
そのプレイがすごいので視聴者の方は「サンラクのプレイすげえな!」と、ゲーム実況で良いプレイを見てテンションが上がるみたいな感覚になると思います。
サンラクがいかにゲームを楽しんで自由に攻略していくかが、見せどころであり面白いところだと思います。
ーー台本を拝見したら、ほぼ内田さんの台詞だけで物語が進んでいくのに驚きました。
内田:はい、台本を見た時に震えましたね(笑)。ちなみに、今1クール分を録っていますが、基本ずっとひとりで喋っています(笑)。エムル(CV.日高里菜)とは割と喋りますけど、ほぼサンラクがひとりで喋っていることが多くて。
しかも第1話は物語の導入なので、『シャンフロ』をプレイしながら、独り言でゲームの動作などを確認していくシーンがあります。
モノローグと口に出している台詞が混在しているのが、結構大変でした。脳内で分析している時と、脳内で理解してからぽろっと口に出して言っている独り言の尺が、かなり早くて(笑)。特に冒頭はそうかもしれません。
『シャンフロ』は細かく作られているので情報量もすごく多くて、その分短い尺に入れ込むため、短距離走をガッと走るように集中してやっています。
作品内のサンラクはゲームを楽しんでいますが、演じている僕は結構ハードです(笑)。その分、ギュッと集中するのは楽しいですけどね(笑)。
だから、サンラクの勢いが伝わり、見ている方も楽しく見れるんじゃないかなとか想像しながら収録しています。
ーーハイテンポなので見ていてとても楽しかったです。それだけテンポが早く、台詞量が多いとやはり準備は大変なのでしょうか?
内田:正直、大変ですね(笑)。尺もテンポも早くて細かいので、チェックが大変です。相手の台詞があると受けている間にまとめられますが、第1話と第2話はひとりで話が進むので、心の整理を自分でつけないといけなくて。
だから試されているな、かなりチャレンジだなと思いました。でもチャレンジできることは嬉しいので、役者として一歩ステージが上げられるように気合いを入れて収録をさせていただいています。
サンラクの演技の足し算引き算
ーー予告動画などの完成した映像を見た感想はいかがですか?
内田:アニメーションの作画が本当に丁寧に制作されているのが印象的で、動きの細かさが尋常じゃないですよね。
『シャンフロ』はVRの神ゲーなので、没入感も映像美もすごいという表現をアニメで入れなければいけないからこそ、かなり丁寧に制作されているなと思います。
声を録ってる段階では色が付いていませんでしたが、アクションの動きがすごく細かくて「色が付いてないのに、ここまですごいと完成したらどうなるんだろう」と放送が楽しみです。
それだけ画が動くので、僕らもどこにアクションを入れるのか入れないのかをしっかり考えないともったいないなと思い、「これだけ動くなら体の動きが伝わる音にしたいな」「ここは声や息がない方が良いな」と考えました。
色がない段階でも作画の細かさを僕らが感じるくらい丁寧に作られているので、アクションに期待していただいて良いんじゃないかなと思います。
ーー内田さんはアクションに声を入れる、入れないをどのように考えて演じられていますか?
内田:アニメーションは画なので情報量として何があると現実の感覚に近いものを視聴者に届けられるのかを僕は考えています。
画がたくさん動いていると、画だけで状況の説明ができるんです。例えば、画や音楽の情報だけでスピード感が表現できそうな場合は、攻撃したり蹴り上げる時の息がない方が勢いあるように見れるんじゃないかなと思う時があります。
基本的には息の情報を入れて「重たいものを持っているな」とか「飛んだな」とかをわかるようにしますが、『シャンフロ』は動きが細かいので息などの演技がない方がスピード感が伝わるんじゃないかなと。
現場では基本的に指示がないので、自分が入れた方が良いと思う箇所に息を入れて、必要に応じて足し引きの指示をもらっています。僕は家で映像を見て、入れた方が良いと思う場所にマークして、現場のテストで判断してもらっています。
ーーアクションシーンがとても面白かったのですが、サンラクから楽しむ余裕があるように感じました。
内田:これだけ激しいアクションをしていると「勝つぞ! 倒すぞ!」とハードな感情に寄ってしまいますが、『シャンフロ』はゲームですし、サンラクはかなり経験値が多いゲーマーなので楽しむ余裕があるんですよね。
バトルシーンもどちらかと言うと、キツイ表現よりキメの表現、軽快に決めるアクションが多いかなと思います。特に冒頭はキメのアクションが多いですね。
ーーサンラクが楽しんでいる姿を見ると、見ている私たちもゲームをプレイしてみたくなりますね。
内田:このお話はゲームをどう楽しんで攻略していくかなので「ゲーム楽しそうだな」、「『シャンフロ』やってみたいな」という気持ちになってもらうのが一番大事ですし、そう感じてもらえるのはとても嬉しいです。
もちろん強い敵もいますので、余裕で戦っていたサンラクがどうアプローチするのかも面白いところだと思います。
ーー戦っている姿が非常に格好良いサンラクですが、ゲーム内の街でひとり叫ぶシーンなどはギャグ度合いが高くて、振り幅がとても面白かったです。
内田:サンラクの独り言やノリツッコミなどには、ノリ感を大事にしています。現実世界の街中で大声で叫んでいたら気になりますが、ゲームの中なら叫んでいる人がいても変ではない世界観と言いますか。
サンラクの経験値が多いからこそ、MMOとか対人ゲーム内で普通に喋る感じで、あまり気にせずにノリで言うのも大事かなと思います。
ーー逆に楽郎役はどのように作りましたか?
内田:楽郎は普通の学生なので、サンラクの肉体のような雄々しさよりも、素直にゲームを楽しむ学生という感じに役を作ったのを覚えています。
ーー楽郎は学校でとても眠たそうにしていますが(笑)。
内田:そうですね(笑)。学校でのんびりとしていますが、ゲームの話になるとすごくテンションが上がります。やっぱりゲームのことを考えていていたり、ゲームしているのが一番好きなんだと思います。無気力に見えますけど、ゲームにだけめっちゃ気力がある、面白い人です。
ーー第1話のタイトルが「貴方は何のためにゲームをしますか?」ですが、楽郎がそれほどまでにゲームにのめり込んでしまうのは何のためだと思いますか?
内田:僕がお答えできることではないことかなと思いますが、やっぱり突き詰めると“好き” “楽しい”からなのかなと思います。
だからこそ、これだけゲームに集中しますし、のめり込むことに説得力があります。なにより楽しんでゲームをする楽郎に良いなと思えるんでしょうね。
単純にクソゲーでも、サンラクの中には「すごく面白いゲームをやりたいな」という思いがあるんだと思います。本物のゲーマーですね。
ーー真のゲーマー魂を感じます。アフレコはどのように進みましたか?
内田:まだ分散収録ですが、『シャンフロ』は登場人物がそこまで多くないので、メインキャストで話数ごとに録っています。この現場は掛け合い重視で、一緒に出ているシーンの人たちで分割しているので、基本掛け合いながらの収録ができています。
第1話での楽郎がゲーム屋さんの店員・真奈との会話も一緒に録っています。その後はずっと独り言なんですけど(笑)。
ーーやはり掛け合いがあると?
内田:めっちゃ嬉しいです! お芝居としてひとりで喋るのも楽しいですけど、掛け合いのコミュニケーションがあって生まれるものはいっぱいあるので、やっぱり楽しいです。人と一緒に録る方が僕は好きです。
ーーより掛け合いの良さを実感されていたのですね。
内田:だいぶ人に助けられているなとすごく感じます。
また難しいのが、エムル(CV.日高里菜)とヴァイスアッシュ(CV.大塚明夫)との会話です。『シャンフロ』はゲームで、あくまでその二人はNPC(ノンプレイヤーキャラ)なので、エムルが言ったことに対して「あーゲームの仕様ってこういうことか」と解釈した言葉をボソッと言ったりするんです。
エムルたちとの会話に完全に入り込むのではなく、サンラクはあくまでもゲームの中の一部として解釈しているのが面白いなと思います。