秋アニメ『シャングリラ・フロンティア』サイガ-0/斎賀 玲役・和氣あず未さんインタビュー|可愛い声でドスを効かす甲冑キャラクターの演技に苦戦!?
2023年10月1日(日)からMBS/TBS系全国28局ネットにて放送中のTVアニメ『シャングリラ・フロンティア(以下、シャンフロ)』。クソゲーハンターのサンラク/陽務 楽郎(CV.内田雄馬)が、神ゲーと呼ばれる『シャングリラ・フロンティア』に出会い、様々な敵に挑む冒険譚です。
第1話「貴方は何のためにゲームをしますか?」では、ゲーム屋の店員の真奈に勧められ、楽郎は神ゲー『シャンフロ』をプレイし始めます。早々に強い敵と遭遇しますが、クソゲーで培ったスキルを遺憾無く発揮し、見事討伐に成功!
一方、楽郎に片思い中の斎賀玲は、楽郎が『シャンフロ』を始めたことで、サンラクを初心者の街まで探しに行きます。
今回は、楽郎に恋するサイガ-0/斎賀 玲役の和氣あず未さんのインタビューをお届けします!
本作の見どころや面白さ、サイガ-0と玲の演じ方のギャップ、ハマっているゲーム、人には理解されない“良い”匂いについてなど、たっぷりと語っていただきました。
玲は、積極的な恋する乙女
ーーまずは第1話から振り返りますが、玲が楽郎に片思いしている姿がとてもかわいらしかったです。話したくても話せなかったりする玲を、和氣さんはどのようにご覧になってますか?
和氣:意外と積極的だなと思っています。玲ちゃんは雰囲気的に恥ずかしがり屋で奥ゆかしくて静そうなキャラクターに見えますが、学校でサンラクに「陽務くん」と話しかけに行っていて。結局、友達と話していて気づいてもらえませんが、意外と積極的に行動します。
この前録った話数でも、偶然会って最初は隠れてしまいますが、自分から声をかけたり、陽務くんが『シャンフロ』を始めたら、「私の出番だ!」と陽務くんが行きそうな街へ行って探すとか。
結構、積極的なところが多いのが意外ですが、すれ違っている姿が可哀想でかわいいヒロインだなと思います。
ーー『シャンフロ』をおすすめしてくれた真奈さんもファインプレーですよね。
和氣:真奈さんがいなければ、陽務くんは『シャンフロ』を始めていなかったかもしれないので、ナイスアシストです。
ーー逞しい甲冑姿(サイガ-0)なのに、かわいらしい声でサンラクを探している姿が健気でかわいいです。
和氣:健気なんですよね。玲ちゃんも元々ゲームスキルがあったわけじゃないと思いますが、『シャンフロ』では最強なので、陽務くんへの愛の力で頑張ったんだと思います。出会えるのを楽しみにしていてほしいです。
玲が演じやすく、サイガ-0が難しい理由とは?
ーー改めて、初めて原作や台本、オーディションの資料などを読んだ感想はいかがでしたか?
和氣:オーディションが最初の出会いでした。結構前にオーディションで『シャンフロ』を知って、玲ちゃんを受けました。
キャラクターがたくさん出てきますが、私は玲ちゃんがすごく演じやすいと感じていました。だけど、演じやすいと思っていた玲ちゃんは、本来の姿の玲ちゃんで、『シャンフロ』の世界のサイガ-0は難しいなと思いました。
資料を読んでいて、玲ちゃんはきっと普通の時とゲームの世界ではキャラクターも違うんだろうなと。もし受かったとしたらゲームの世界にいることが多くなるから、難しいキャラになるだろうなと最初は思っていました。
それから玲ちゃんの合格をいただき、たくさんお世話になっている講談社さんの作品にまた出演できて嬉しかったです。
ーー演じやすいと思った玲に比べて、サイガ-0が演じにくいと思ったのはなぜですか?
和氣:玲ちゃんはかわいらしくて、普段はお淑やかで優しい子ですが、サンラクの前ではオタク気味になったりするテンションの差が楽しそうなキャラクターだなと思いました。漫画を読んでいても、玲ちゃんは表情が変わるところがたくさんあるので、演じやすそうだなと。
逆に甲冑姿の玲ちゃんになると、表情が分からなすぎて難しいと思いました。ゲームの世界だとすごく強いキャラクターなので、少し喋るだけでもオーラを出さなきゃいけなかったりするんです。声質的に強そうな声やオーラを出せる声ではないので、この鎧姿になって迫力を感じられるお芝居の声は難しそうだなと感じていました。
ーーオーディションでも当時も玲とサイガ-0の両方を演じましたか?
和氣:オーディションの時も甲冑姿と通常バージョンを演じました。自分が思うままに演じたお芝居を今のアニメでもやらせてもらっています。「声を低くしてドスを効かせて」と音響監督(藤田亜紀子)さんに言われたので難しかったです。
ーーかわいい玲とドスを効かせたサイガ-0のギャップで意識していることはありますか?
和氣:玲ちゃんは気取らずにやらせていただいて、そのままかわいらしい高校生の女の子です。
ゲームのサイガ-0の状態は結構台詞の口調も“〜だ”と変わるので、たまに“〜です……だ、だ!”という風に、甲冑姿になりきっていますが、所々なりきれていない部分があって。
甲冑のオーラがすごいので負けないようなお芝居をしなきゃと意識しています。表情が全然見えないので、何を思っているか分からないミステリアスさと怖さをお芝居に乗せていこうと思っています。
甲冑姿の時はあまり感情を乗せずに淡々としている方が、ドッシリとしていて怖いもの知らずなイメージがあると思うので、声を荒げたりせず、常に自信と余裕を持って立っているというのを意識して演じています。
でも、サンラクの情報が耳に入ったり、サンラクを目の前にしてしまうと、つい素が出ちゃって、声が高い玲ちゃんが出そうになっちゃったりと、その塩梅が難しいんです。
あまり作りすぎても玲ちゃんらしくないので、所々玲ちゃんが溢れそうな様子を皆様に見ていただきたいです。
ーー恋してる乙女が溢れ出てしまうのがかわいいです。
和氣:自我を保ちたいけど保てないところがすごく女の子らしいですし、玲ちゃんの面白さだと思います(笑)。サンラクに早口になっているオタクっぽさもあったり。
焦って素が出て、最後まで格好付けられない玲ちゃんがとてもかわいいのでたくさん見ていただきたいです。
ーー少しアフレコのお話も出ていましたが、どのようにアフレコ現場は進んでいますか?
和氣:アフレコは本当に楽しくて、玲ちゃんを楽しくやらせてもらっています。甲冑姿の時は、ドスを効かせオーラを漂わせながら、ゲーム内の人と話をしていますが、「モノローグとか独り言を喋る時は素のままの玲ちゃんでいいよ」と言われました。
『シャンフロ』の世界ではボイスチェンジャーを使ってなくて、そのままお芝居をするので「玲ちゃんの声がガラッと変わっちゃって良いのかな?」と思っていましたが、柔道経験者で強い部分もあるので、結構変えています。
アフレコで大変だったのは、ナレーションです。サンラク目線のナレーションがあって、サンラクの説明や戦っているモンスターの説明をするのが大変で、玲ちゃんのチェックよりナレーションのチェックの方が時間がかかっていました(笑)。ナレーション、頑張っています。
ーー今回のナレーションは、どこが大変・難しいと感じましたか?
和氣:どのようなテンションでナレーションをしたら良いのかが分からなくて、難しかったです。報道番組とも違うし、CMでもないし……。今でもどう読むべきなのかなと思いながら読んでいます。
でも、ディレクションの藤田さんから「いいね〜!」と言っていただけた時は、安心します。
ーーでは、掛け合いした感想はいかがですか?
和氣:この前やっと内田さんと掛け合いしました。基本、玲ちゃんはひとりでいるか、ゲーム店の「ロックロール」の真奈さんと一緒に掛け合うことが多いです。
なので、アフレコ現場に行って皆さんの掛け合いを見ていますが、私はまだメインの方と掛け合いできてなくて。
一番大変そうなのはやっぱり内田さんです。サンラクの台詞量がとにかく半端ないのにツラツラとしっかりやられています。あんなに長くて、何ページもひとりで喋っている台詞を全然噛まないので、「ナレーションの5行くらいで噛んじゃダメだな」「私も頑張らなきゃ!」といつも思っています。
ーー先日内田さんにお会いしてお話を伺ったところ、ひとり台詞が多いから掛け合いが楽しいとおっしゃっていました。
和氣:そうなんですね。内田さんは、本当にモノローグから台詞、敵と戦っている時もずっと喋っているので、大変なキャラクターだなと思います。
ーー先ほど内田さんとようやく掛け合えたというお話でしたが、実際にやってみていかがでしたか?
和氣:やっぱりいつも以上にオタクっぽさを出せたと思います(笑)。玲ちゃんがひとりで空回って焦っているけど、サンラクは何も気づいていない鈍感な感じをより出せました。ふたりのテンション感の違いを早く見ていただきたいです。
好きな人を目の前にして嬉しい気持ちと逃げたい気持ちで、玲ちゃんがひとりで空回っています。通常の玲ちゃんには、乙女心とかわいらしさをたくさん乗せているので、玲ちゃんのギャップを楽しんでいただければなと思います。
『シャンフロ』の公式アンバサダーが、「シャンフロチャンネル」の思い出と作品の魅力を語る
ーー和氣さんがMCを担当されていた「シャンフロチャンネル」(マガジンチャンネルにて配信していた番組)も配信されていましたね。
和氣:オーディションに合格した後に、コミックスのPVなどを録らせていただいて、その時に内田さんと初めて一緒に録りました。PV内の玲ちゃんだけでなく、エムルたちの声も当てさせてもらい、色々なキャラクターのバーションでPVを録りつつ、「シャンフロチャンネル」もやらせてもらいました。
当時はまだ玲ちゃん役に決まったことを言ってなくて、「シャンフロチャンネル」の最終回に玲ちゃん役になったことを報告させていただいたので、たぶん「シャンフロチャンネル」をずっと見ていた方からすると「「シャンフロチャンネル」をやらせてもらっていたから玲ちゃん役なんだな」と思われているかもしれませんが、「しっかりオーディションしたよ」と伝えたいです(笑)。
ーー(笑)。「シャンフロチャンネル」の思い出は?
和氣:「シャンフロチャンネル」は、約1年間で全50回やらせていただきましたが、最初はどうしたらいいか分からなかったです。
最初から50回とは聞いていたので、「50回も『シャンフロ』の魅力をお届けしたら、めちゃくちゃ『シャンフロ』のこと知れるじゃん!」と思っていました。
けれど、緩やかな番組内容で、動画を撮ってくれているプロデューサーさんとゲームで対決したり、私の先輩の鈴木絵理さんをゲストにお招きして『シャンフロ』の魅力を伝えたり、『シャンフロ』が好きなオーイシマサヨシさんをお呼びしてお話するとか。『シャンフロ』を絡めてはいますが、全く関係ない企画をやったりしていました。
講談社の社内で主に撮っていたので、編集長の椅子に座らせてもらったり、講談社さんにいっぱいお世話になっていました。、私の出ている作品の編集者さんにグッズもらうとか(笑)。
緩やかながらも『シャンフロ』の魅力をたくさん知ることができた良い番組だったなと思います。
ーー『シャンフロ』の公式アンバサダーである和氣さんが伝えたい『シャンフロ』の魅力とはどのようなところでしょうか?
和氣:有り過ぎます。ずっと『シャンフロ』のコミックスの担当編集者さんが「硬梨菜先生は頭の中ですごく色々な設定を作り込んでいる」と言っていて、硬梨菜先生とお話したことが1番思い出に残っていますが、本当に細かいんです。
設定集だけでも何十ページも作れるくらい設定が細かくて。硬梨菜先生にお話を聞いたら、先生も「すごくゲームが好きだから(設定を)考えるのが捗る」と言っていました。
私もゲームが好きなので、全部を設定集に集めてほしいと思うくらい、まだまだ世に出ていない設定がきっとあるんだろうなと思いました。
そういう細かいところも原作や漫画に載っています。そういう設定の細かさが『シャンフロ』の魅力です。
ーー見えないところまでこだわりを感じます。
和氣:そうなんです。深堀りできすぎるくらいで、私も設定の意味を考えたりしますが、紐解くと意味が分かるのが楽しいなと思います。
ーー設定がこだわっているからこそ、物語やキャラクターも魅力的に映りますよね。
和氣:よくあるゲームの世界に転生するのではなく、ただゲームをプレイしているので、サンラクもゲーム中は命懸けですが、精神を保っていて、負けても辛いより悔しい方が勝っています。
ゲームの世界に入り込んではいますが、ゲームをプレイしている人間だというのが時々見えてきます。私もゲームをやっていて気持ちが分かるので、すごく共感できるポイントです。
ーーサンラクたちが楽しんでいるのが良いですよね。
和氣:そうなんですよ。第一に楽しんでいるのがすごく良いなと思います。
あと、ゲームはやり込めばやり込むほど楽しいけど、私はゴールが近づいてしまうと「終わっちゃうな」と寂しくなっちゃうんです。
でも『シャンフロ』には、七つの最強種という超強いユニークモンスターたちがいます。出会うのがレアで誰も見たことないモンスターもいて、ゴールが見えなさすぎて、お話が続いて終わりがみえない感じがすごくワクワクします。
なので、私はとってもこのゲームをやりたいなと思います!
ーー『シャンフロ』を見て、ゲームしたくなる方は多いと思います。
和氣:オンラインゲーム上でリアルな友達とも遊べるし、全く知らない人たちとも友達になれます。ゲームの進め方も本当に強いチームを作って進める人も、かわいいモンスターを集めるエンジョイ勢もいたり。
色々なプレイスタイルの中で、サンラクがクソゲー仲間の友達と一緒に「最強種を倒そうぜ!」とみんなで集まる展開が熱いです。
みんなクソゲーマニアですし、中にはプロゲーマーもいて元々ゲームスキルがとても高い人たちがタッグを組んで、より強いチームになる熱い展開と、私が演じる玲ちゃんもその一員になれるのかという展開に注目です。
玲ちゃんとサンラクのすれ違いもすごく面白いです。まだ1話では、すれ違って会話もできていませんが(笑)、強いサンラクチームたちと玲ちゃんがどう絡みあっていくのかを楽しみにしていてほしいと思います。
ゲームの中ではバチバチですが、リアルでは普通の少年少女で、ふたつの世界線が楽しいのでご注目ください。