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- タイラ
- 99年生まれ、沖縄県出身。コロナ禍で大学に通えない間「100日間毎日映画レビュー」を個人ブログで行いライターに。
P.A.WORKSによるお「仕事シリーズ」最新作となるアニメ映画『駒田蒸留所へようこそ』が11月10日(金)より全国上映中!
本作の舞台は、ウイスキーの蒸留所である駒田蒸留所。亡き父の後を継ぎ、社長となった早見沙織さん演じる主人公の駒田琉生が、製造中止になってしまった幻のウイスキー「KOMA」を復活させるために奮闘する姿と、WEBライターとして働き始めた小野賢章さん演じる高橋光太郎の葛藤、そして、お仕事とは何か、働くことで生まれていく繋がりを描いた作品になっています。
11月12日(日)にTOHOシネマズ 六本木ヒルズにて、本作の公開記念舞台挨拶が行われました。本舞台挨拶には、メインキャストを務める早見沙織さん、小野賢章さん、内田真礼さん、細谷佳正さん、堀内賢雄さん、井上喜久子さん、中村悠一さん、そして吉原正行監督の総勢8名が登壇。
舞台挨拶では、作品に関する様々なお話から、本作の題材であるウイスキーが、完成するまで最低でも3年もの期間を要することにちなみ、各キャスト陣へ「3年後の自分に向けた言葉」を尋ねるコーナーが行われ、盛り上がりを見せました。
登壇したキャスト陣は、仲睦まじく作品について語り合い、まるで劇中に登場したキャラクターたちの暖かな関係性を見ているよう。本作のメッセージが体現された舞台挨拶の様子をレポートします。
上映終了後の劇場内に、MCによって呼び込まれた早見沙織さんら登壇者たち。それぞれが自己紹介を終えると、早見さん、小野賢章さん(高橋光太郎役)より「収録から1年ほど経過し、熟成された本作が皆様の元に届いて嬉しい」と公開後の心境が語られました。
高橋を支えるキャラクター安元を演じる細谷佳正さんは、ご自身が若者を見守る役を演じる立場になった事を感慨深く思うと明かし「賢章のやりたいことがわからなくて鬱屈している若者の演技が素晴らしかったので、共感しつつも微笑ましく見守らせていただきました。やりたいことがわからない方は沢山いると思いますが、今いるその場所はあなたが求められているから実現しているのであって、そこに自信を持って欲しいです。その自信をつけていく様を演じた小野賢章は流石です」と小野さんを称えます。
そんな高橋について「凄い共感する部分が多く、見てくださる方もそうなんじゃないかなと思います」と小野さん。続けて、本当にやりたいことを実現するのが難しい世の中でも、新しい発見や自分にしかわからないやりがいを見つけることができる、そんな勇気が貰える作品でありキャラクターが高橋だ、と観客に語りかけました。
蒸留所の広報として琉生をサポートする河端朋子役の内田真礼さんは「自分のためではなく、琉生のために感情を表に出して、怒ることができる朋子が好きです。大人になるにつれて我慢をすることが多くなりますが、しっかりと怒ることができるように私もなりたいです」と演じるキャラクターの魅力について言及。
長年声優としてご活躍されてきた堀内賢雄さんは、琉生の父・駒田滉の「ウイスキーづくりという仕事を代々繋いでいく」という思いや駒田家への愛情に感情移入したとのこと。セリフ量が少ないながらも、仕事が受け継がれていく尊さをお芝居に込めたと打ち明けました。
滉は家族の中の原酒(ウイスキーの元となるお酒)のような存在だと語ったのは琉生の母・駒田澪緒役の井上喜久子さん。井上さんは「お酒が飲めない澪緒のためにKOMAを作っていたことがわかるシーンで泣いてしまいました。私も17歳なので澪緒と同じくお酒は飲めないんですけどね(笑)」と感動したシーンの紹介と共に会場の笑いを誘うと、澪緒の息子であり琉生の兄・駒田圭役の中村悠一さんから「おいおい!」とおなじみのツッコミが入ります。
そんな中村さんは「圭は悪意がないのにも関わらず、敵のようなポジションとして出てくるので演じるのが難しかったです。あと、圭はお父さんが残したとあるメモを持っていたはずなのに読んでなかったんですか?」と吉原正行監督に質問。
それを受けた監督は「圭は悲しくて見れなかったんだと思います、最初から琉生に会社を託すつもりだったかもしれませんね」と応えます。また、中村さんが続けて、堀内さんの最後のセリフが素晴らしかったと言うと「もうさっきからみんなで褒め合っちゃってさ〜」と照れくさそうに笑う堀江さん。
そんな、家族同士の称え合いを見守っていた早見さんには家族同士のシーンでのディレクションがあったという。「お兄ちゃんには、もっと冷たく、お母さんやお父さんと話す時は娘に戻っていいよ、という風にディレクションがあって、家族の描き方にこだわった作品でもあると思います」とアフレコ当時を振り返りました。
MCより「ウイスキーという題材にした理由は」と尋ねられた吉原監督は「若者の群像劇をやりたくて、最低でも3年間熟成するウイスキーの特徴に目をつけました。成果物になるまで時間が掛かるのは仕事も同じで、"自分で選んだ仕事と、どのように向き合っていくのか"という登場人物たちの姿を観客の皆さんに見て欲しいな、と思いこの題材にしました」と作品の根幹となるテーマについて語ります。
まるで劇中のキャラクターたちのようなに言葉をかわす登壇者の面々。来場者の方々は、長い時間をかけてひとつの作品を作り上げたキャスト陣・吉原監督のトークに真剣に耳を傾けていました。
続いて、ウイスキーの熟成期間にちなんだ「3年後の自分に向けた言葉」を登壇者に発表してもらうコーナーへ。皆さんが事前にフリップボードに書いた言葉を披露し、クロストークが展開されていきます。
「まだ17才?」と書いた井上さんは「辞め時がわからないんです……」と告白し会場はまたもや笑いに包まれます。早見さんは「3年って一瞬でしたよね? 先のばししないで即行動しよう」とご自身の性格がうかがえるお言葉を披露し、小野さんは「好きなもの変わってないですか?」と好物であるラーメンを愛し続けているのか尋ねたいと語りました。
早見さんの言葉を引用しながら行動していきたいと言う細谷さんのボードには「止まるんじゃねぇぞ。」との文字が! 続く、中村さんは気に入ったものを衝動買いしコレクションしてしまうと話し「まだ子供部屋ですか?」、お仕事と向き合い続けているのか問う内田さんは「つづいていますか」という言葉を披露。
「まともに書きすぎたな……ふざければよかった」と後悔する吉原監督は「自分が出あえたステキな大人にあなたはなれていますか?」と記し、「沢山のステキな先輩に支えてもらってここに来ています。そういう人になれているかどうか問いたいですね」とご自身のこれまでを回顧します。
作品にぴったりな「熟成」を選んだ堀内さんは「僕は17才ではないので、歳を取るたびに熟成していきたいですね。もっと良い役者になって樽から出ようと思います」と言い「まだ樽にいるんですか!?」とツッコミが入ります。
それぞれの特徴が垣間見えた「3年後の自分に向けた言葉」の発表とクロストークを終えると、最後に登壇者を代表して早見さんからご挨拶。
「上映後に皆様の前で、作品について語り合うことができて幸せです。この物語は、駒田琉生と高橋光太郎を主軸に展開していきますが、ふたり以外にも、共感できるキャラクターが見つかる作品です。本作もウイスキーのようにどんどん熟成して、見るたびに味わい深くなっていくと思いますので、劇場に足を運んで何度も見ていただけると嬉しいなと思います。」と結び、作品、そして仕事と向き合う登壇者の皆さんの魅力を味わうことができた、舞台挨拶は閉幕となりました。
早見沙織さん
小野賢章さん
内田真礼さん
細谷佳正さん
堀内賢雄さん
井上喜久子さん
中村悠一さん
吉原正行監督
99年生まれ、沖縄県出身。コロナ禍で大学に通えなかったので、「100日間毎日映画レビュー」を個人ブログで行い、ライターに舵をきりました。面白いコンテンツを発掘して、壁に向かってプレゼンするか記事にしています。アニメ、お笑い、音楽、格闘ゲーム、読書など余暇を楽しませてくれるエンタメや可愛い女の子の絵が好きです。なんでもやります!