「公開中止になる前に見てほしい」!? 今回もいろいろとやりすぎで爽快な『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』麻実麗役・GACKT&桔梗魁役・杏インタビュー
初の男性役に思わぬ“後遺症”
――杏さんは本作で初めて男性を演じていますが、演じる上で特に意識していたことはありますか?
杏:立ち振る舞いを意識しました。ちょっとだけ大股で歩いたり座ったり。あとは何より声ですね。桔梗を演じたあとは低い声から元に戻らなくて。渋い声の後遺症がありました(笑)。
決起集会で<風に吹かれればすぐ止まる湖西線か!?>とみんなで涙を浮かべながら抱き合うシーンは、その状況もセリフもちょっとおかしくて。しかも、みんなが本気でお芝居しているのがさらにおかしい。演じていても「翔んで埼玉ワールドだな」って思いました。 差し入れにサラダパンが大量に来ていたので、みんなで裏でサラダパンを食べながら滋賀について語って「うおー!」という気持ちで演じていました(笑)。
――GACKTさんから見て、杏さん演じる桔梗についてどう感じましたか?
GACKT:ボクから見ても男性役を演じることは大変なんだろうなと。ただ、杏ちゃんは背が高いから並んだ時の画力が強いですよ。今回、一緒に逃げるシーンの尺が長かったから、映像の中のバランスや耽美な世界を表現するのに、バランスが良いと思います。
豪華キャストがちょい役で出演「隅々まで見てもらえたら」
――今作は杏さんをはじめ、片岡愛之助さん(大阪府知事・嘉祥寺晃)、藤原紀香さん(神戸市長)、川﨑麻世さん(京都市長)など関西メンバーには豪華なキャスト陣が集結しています。皆さんとの撮影はいかがでしたか?
GACKT:会ったのは台本読みの時だけで、撮影では会っていないんですよね。
杏:京都のキャストの方々とは会っていないんですよ。
GACKT:愛之助さんからは最初にお会いした時、「楽しみにしていました」と言われて。嘘で言ってんじゃないのかなと疑いましたけど……。愛之助さんとは今作が初対面だったのですが、実際に一緒にお芝居して仲良くさせていただいて、プライベートでも遊ぶようになりました。
紀香ちゃんと麻世さんはもともと知っているので出演すると聞いた時は「えええ!」と思いましたし、「本当に撮影で会わないんだ!」と。
杏:打ち上げもないですしね(笑)。
GACKT:ひどい話です……。
しかも、台本読みの後に決まったキャストの方たちもいるんですよね。なので、エンドロールに有名な役者の方たちの名前が流れているのを見て、「え? どこに出ていた?」と隣に座っていた人に聞いてました。「そんな無駄遣いしていたのか……なんてことしてくれたんだ」と思いました(笑)。
杏:皆さん、よく受けてくれましたよね……。
GACKT:ボクからしたら、杏ちゃんもよく受けてくれたなと(笑)。
杏:あはは(笑)。愛之助さんと紀香さんがいなければ台本が大きく変わっていただろうというくらい、お二人の関係性がシチュエーションすべてに放り込まれているすごい台本なので、それを許容してご夫妻でお受けになったことに懐の深さを感じました。
――関西メンバーを含め、今作の中で印象に残っている登場人物はいますか?
GACKT:愛之助さん演じる嘉祥寺晃。インパクトが強すぎですよ。撮影の時から「愛之助さんがこの役をやってくれるなら、絶対に映像が締まる」と思うくらい、とにかくお芝居が上手い。特に決めの演技がお上手で、愛さんが決めると必ずカットが割れるのが見えます。映像を見たら「やっぱりそうなったな」と実感が湧きました。「今回は大丈夫だ」と安心するキッカケにも繋がりました。
また、大阪・神戸・京都はかなりキツイ表現にしているところがあります。大阪なんて最初から最後まで極悪なイメージじゃないですか。「本当に大丈夫か?」と思ったんですけど、最後の嘉祥寺のシーンは、愛さん(愛之助さん)じゃなかったら成立しなかったと思うくらい、大阪の人のイメージを覆すお芝居でした。あれは愛さんだからできたお芝居なので、愛さんでなければ問題になっていたと思います(笑)。
杏:私はアキラ100%さんが印象に残っています。洋服を着ていたので、エンドロールを見た時に「やっぱりアキラさんだったよね!」となりました(笑)。
GACKT:ボクはアキラさんが出ていたシーンを言われても思い出せない……。
杏:私もエンドロールを見て、「え、あの人どこに出ていたの?」と思う人がたくさんいますよ(笑)。
杏:その当時に見ていたドラマ『だが、情熱はある』でオードリーの春日さんを演じていた戸塚純貴さんが白鵬堂学院の野球部の男を演じていたのもエンドロールで気づいて。あまりにも化粧が濃いから原型をとどめていないんですよ。「え、絶対に見たことあるんだけど!」とマネージャーと盛り上がりました(笑)。
なので、答え合わせをしにもう1回見たいですね。誰かと一緒に見に行って「あの人、どこに出ていたか気づいた?」と答え合わせの会話ができるすごく面白い作品なので、観客の皆さんにもぜひ隅々まで見てもらえたらと思います。