「ラストシーンはとあるキャラクターの語りが本当に好きです」──映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』グリフィン・アルバレスト役 森崎ウィンさんインタビュー
2002年から2003年にかけて放送されたTVアニメ『機動戦士ガンダムSEED』と、その続編『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』。両作品に連なる『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』(以下、本作)が、シリーズ最新作として2024年1月26日(金)より全国公開されます。
アニメイトタイムズではその公開に先駆け、本作から登場する新キャラクターである、グリフィン・アルバレストを演じる俳優・森崎ウィンさんにお話を伺いました。
まだ物語やキャラクターの詳細は明かされなかったものの、取材前には森崎さんのアフレコを見学する機会も得られ、その際の演技についてや「機動戦士ガンダムSEEDシリーズ」への印象などを語っていただきました。
また、森崎さんとガンダムといえば、映画『レディ・プレイヤー1』が記憶に残っている方も多いはず。その点も踏まえた“ガンダム”やガンダムシリーズへの想いも話題に上りましたので、ぜひご一読ください!
自分を知ってもらえるきっかけになった“ガンダム”と、そのシリーズ作品出演への想い
――今回の映画で『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』グリフィン・アルバレスト役に抜擢されましたが、まずは参加するにあたっての感想をお願いします。
グリフィン・アルバレスト役 森崎ウィンさん(以下、森崎):より多くの方が僕を知ってくれるきっかけが映画『レディ・プレイヤー1』への出演だったのですが、その時に一番の接点になってくれたのが“ガンダム”でした。だからそのシリーズのひとつである『機動戦士ガンダムSEED』の最新作に出演できて本当に嬉しいです。
普段は声優の仕事をする機会が殆ど無いので、今回のグリフィン役を入れてまだ5作目になります。僕が収録した日は既に他のキャストのみなさんのアフレコが終わった後だったので、ベテラン声優のみなさんの声に乗っかる気持ちで演じました。
正直難しい部分はありましたが、普段はやらない仕事なので新しい発見もあり新鮮で。もちろん俳優のお仕事も新しい発見や新鮮さを感じることはあるのですが、純粋に楽しかったです。
――『レディ・プレイヤー1』への出演前からガンダムはご存知だったのでしょうか?
森崎:もちろん作品自体やアムロ・レイといったキャラクターの存在はなんとなく知っていましたが、ミャンマーで生まれ育ったこともあって、日本に来てからもガンダムを見る機会はすぐにはなかったです。
やはりちゃんと知るきっかけになったのは、『レディ・プレイヤー1』でガンダムに乗るかもしれないとなった時です。
「ガンダムを好きなキャラクターなら、あのシチュエーションでどういうことを言うのかな」と思って調べたんです。だからそこまで深くは知りませんでした。
――今回出演される「機動戦士ガンダムSEEDシリーズ」にはどんな印象を受けましたか?
森崎:実は2年前くらいに『機動戦士ガンダムSEED』を動画配信サイトで少し視聴する機会がありまして。何も知らずに見始めたのですが、めちゃくちゃ面白かったことを覚えています。
ただ、後々『機動戦士ガンダムSEED』は新世代のガンダムだと知ったことと、今回のお話をいただいたことから、シリーズの原点から知りたいと思い『機動戦士ガンダム』と『機動戦士Ζガンダム』を先に視聴することにしました。
やっぱり長い歴史のあるものは、最初から掘ってみたくなったんです。そうしたらハマりはじめてしまいました。
晩御飯を家で食べる時に「ガンダム」を見るのが日課になっていたので、まさかそのシリーズに自分が呼ばれるなんて想像もしていなかったです。
――ご覧になった『機動戦士ガンダム』と『機動戦士Ζガンダム』ではどのキャラクターがお好きでしたか?
森崎:そこなんだ!? と驚かれるかもしれませんが、僕はカツ・コバヤシが好きです。自分もやりたい、自分もやれるんだみたいに考えて周囲に噛みついてしまうところが可愛いと思います。後はウォン・リーですね。
――カツも驚きですが、ウォンですか……!?
森崎:『機動戦士Ζガンダム』の作中には“修正”という言葉がかなり登場するじゃないですか。僕はあの台詞が凄く深いなと。今の時代だと絶対にダメなことだと前置きはしますが、僕としてはそういう時代があったことは事実として認めるべきだと思っていて。
僕らが子供の頃なんかは、約束した時間通りに物事をやらなかったり、宿題をやらなかったりで、子供ながらに悪さをしていたら大人から怒られるのは当たり前だった。けれど怒られる行為をどう捉えていいのかわからなかったんです。
それを今更ながらに叱ってくれていたんだと理解できるところがあったので、僕はプラスに捉えたんです。
だからある種のネタになっているキャラクターではあるようですが、そういう意味でもめっちゃ良いな……と。もちろん今は時代にあわせて変化していかないとですが、いい台詞だと思います。勉強のために見ていたはずなのに、純粋にハマってしまったくらいなので。
――ちなみに、気に入ったモビルスーツはありましたか?
森崎:Ζガンダムですね。最初はガンダムMk-Ⅱが主役なのでCMに入る時のアイキャッチではカッコよく出てくるけれど、中々本編には出てこなくて。だからようやく出てきた時は凄く感動しました。先に他の変形する機体がいくつか登場してからのタイミングだったので、余計にΖガンダムの登場が待ち遠しくなっていました。
――かなりお詳しいなと驚いています。
森崎:そこまで詳しい訳ではないです。僕はやると決まった仕事に関して勉強したに過ぎません。
僕自身も飛行機が大好きだから、話している相手がただ飛行機が好きだと言っているだけの人かどうかわかってしまうところがあって。やっぱり本当に好きな人がみたら、その人の熱量がわかってしまうと思うんです。
仕事のために少し勉強したからある程度は詳しくなったかもしれませんが、やはりまだまだ勉強が足りないと思っています。だから、そこはガンダムファンのみなさんをリスペクトしたいところです。
――先ほど『SEED』もご覧になっていたと伺いましたが、キラたちとの掛け合いは演じてみていかがでしたか?
森崎:詳しい内容が言えないのが残念なのですが、作中のキャラクターとしてキラの名前を呼ぶだけでもちょっとした興奮がありました。
台本を読んでいる段階では「僕が“キラ”って言うんだ!」みたいなことを考えてもいましたし。けれど現場ではそれどころではなく、収録のタイムリミットがあるから失敗できないと焦ってしまったこともありましたね。
――『SEED』をご覧になった時の印象も教えてください。
森崎:『機動戦士ガンダム』や『機動戦士Ζガンダム』とは全然違うなと。最初の印象としては、「なんだこの美男美女は!?」みたいな感じでした。もちろん昔の作品のキャラクターたちも可愛いですけれどね。
後は『SEED』を経てから『機動戦士ガンダム』や『機動戦士Ζガンダム』を思い出すと、声のお芝居も全然性質が違うといいますか。その時代での言い回しとかもあると思うのですが、それを含めても凄く印象に残りました。
――ありがとうございます。森崎さんにとってガンダムはどんな存在になりましたか?
森崎:今以上に知らなかった頃は一種のロボットアニメとして見ていて、子供たちに夢を与えてくれるワクワクするエンターテインメントのひとつだと思っていました。
けれど自分で見るようになってからは、世界中で起こっている悲惨な出来事をシリーズの初期から予想していたように見えました。
人類は本当に小さなところで戦い合っていますが、その舞台が大きくなったから争いがなくなるかといったらそんなことはない。『機動戦士ガンダムSEED』の世界でいうナチュラルとコーディネイターの対立や差別みたいなことは現実でもおきている。
本当にメッセージ性が含まれた作品だと思います。子供が見てもわかりやすい台詞回しや言葉選びが勉強材料になるものだと改めて知れたのも発見でした。
俳優としては、『レディ・プレイヤー1』という映画でガンダムに乗り、あの映画で日本語の台詞が出てくるのはあそこだけだという、誰も真似できない経験をさせてもらえました。
日本はアニメでどんどん世界に出ていくべきだと思うくらいです。なにせあのスティーブン・スピルバーグ監督の映画で使わせてくださいと依頼があるくらいですから。そこでガンダムに乗る人物を演じられたことは、本当に僕の人生を変えてくれたと思っています。