「ラストシーンはとあるキャラクターの語りが本当に好きです」──映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』グリフィン・アルバレスト役 森崎ウィンさんインタビュー
収録では「他のキャストのみなさんの声に埋もれないよう」に頑張った
――今回演じられるグリフィンというキャラクターはどんなキャラで、どのように演じようと思われましたか?
森崎:僕の演じるグリフィンは、ファウンデーションという国のアウラ女王の親衛隊、ブラックナイトスコードの隊員です。
やはり声だけのお芝居になるので、本編が完成した暁には音楽やSEなど色々なものが最終的に合わさることになります。なので福田監督ほかスタッフのみなさんに、最初から「周りのキャラクターたちが濃いから、どんどん行ったほうがいい」と言われていまして。
だから演じる時は、その言葉を受けて他のキャストのみなさんの声に埋もれないよう頑張ったところはあります。
――グリフィンはモビルスーツのパイロットですが、戦闘シーンでは他のキャラクターも入り混じることになると思います。モビルスーツで戦うシーンは演じてみていかがでしたか?
森崎:リアルな想像をすると戦っている最中にあんなに冷静に喋っていたら、おそらく強烈なGがかかるので吐いてしまうと思うんです。しかも無重力空間となると上下左右に好きなだけ動けますし。やっぱりしゃべってはいられないと思ってしまいます。
そういう部分も声優さんたちは呼吸音とかで表現しているんですよね。アフレコでみなさんの声を聴きながら収録していたのですが、キャラクターの呼吸が聞こえてくるんです。
アニメを見ていて正直凄いなと思ったのが、実写では隣でお芝居をしている人の呼吸を感じるじゃないですか。けれどアニメではキャラクターの絵から呼吸を感じることはできない。
何も喋っていないけど呼吸だけしてくださいみたいなシーンでも、お腹も動かないしそこまで描くことはないじゃないですか。
けれどいざキャラクターたちが喋りだすと、呼吸の浅い人なんだとか、若い人なんだとか、どういう呼吸のキャラクターなのか理解できるんです。そういう呼吸は僕にはまだ出せないなって思いましたね。
――先ほどはアフレコを見学させていただきましたが、ご自分でリテイクをお願いしたシーンがあったように思います。どういった判断でリテイクをお願いしたのでしょうか?
森崎:まず最初にこんな感じでしょうか? と演じてみて、修正を受けたことがありまして。台詞の最後の部分の音が消えてしまいがちだから乗せてほしいという演出だったと思います。
いくら一生懸命演じても、音としてマイクに入っていなければ意味がないと福田監督もおっしゃっていました。
だからもう一回本番をやってみた時に、気持ちは入っているけれど音として台詞が乗ってないなと自分で感じた時にリテイクをお願いすることが多かったです。
ある意味舞台に近いようにも思ったりもして、こういう風に声を出せば僕はマイクに音が乗りやすいのかな? みたいに思う瞬間がありました。
でもそのレンジが本職の声優の方ほど僕は広くないので、それを理解した上で先ほどの台詞の最後の音を強く出すよう演じました。
――先ほどのお話以外にも印象に残ったディレクションはありましたか?
森崎:もちろんアフレコの最中は、もっとこうしてほしい、ああしてほしいという要望はありました。けれど僕は音楽もやっているので慣れているはずなのですが、ブースに入ると思ったより閉鎖的で段々と訳がわからなくなってしまって……。
ディレクションの意図に迷ってしまうこともありましたが、やっていく内に気づくことがあったんです。だからもらった言葉のひとつひとつを覚えているというよりも、その言葉を頼りにキャラクターに入り込んでいくような感覚でした。
狭いコクピットの中にいる自分のキャラクターの疑似体験ではないですけれど、今このキャラクターは「こういうことなのかな?」とか「こういう気持ちなのかな?」とか、そういう試行錯誤をするのが必要なのかもしれないと思ったんです。
自分でも何を言っているのだろうとか思うのですが、でもこうやっていく内にキャラクターにどんどん入り込んでいくことができました。だから声だけでお芝居をする上で、僕にはまだこういう作業が必要だったのでしょうね。
後は福田監督から、上から強く言っているつもりでも一生懸命過ぎると意外と弱々しく見えてしまうと言われたり、声を収録してから絵を描き直したり編集するから尺はあまり気にしなくていいとも言われました。
それからは意外とゆっくり喋ってもいいことがわかったので、尺やキャラクターの口の動きに囚われすぎるのではなく、気持ちを届けることに注力できたと思っています。
――俳優のお仕事と声優のお仕事の違いみたいなところはどこにあると思いましたか?
森崎:演者の表情で伝えることができないことです。例えば台詞の上での言葉はそんなに強くなくても、発言しているキャラクターの表情から感情を理解しやすいのが実写の現場なのですが、アニメではその感情を声にのせなければならない。だから普段はやらないような台詞の発し方をしなければならなくて……。
視聴者として普通にアニメを見ている時は違和感がなかったのですが、自分で演じてみるとその点は凄く違和感がありました。マイクが目の前にあるのに、なんでこんなに大きな声で言わないといけないんだろうと考えてしまうこともあったくらいで。
けれどそういうことではないんですよね。声量を出してほしいという意味ではなくて、キャラクターの気持ちの音符を激しくといいますか、どんどん変調していってくれということだったんです。これを僕は同じ音階の中に収めなくてもいいんだという風に捉えました。
僕なりに自分はこうやって喋ると息が漏れがちなんだなとか、それが逆に良い時もあれば固く喋りたい時は違う発声方法を使ったほうがいいみたいなことがわかってきて。自分でここはこうやって声をあててみよう、みたいに考えられるようになっていったんです。
感覚のものなので言葉で上手く表現できないのですが、今回この現場では息が多いねと指摘されなかったので、前回の機会に比べたら成長できたのかなと思います。息が多すぎると滑舌よく台詞が聞こえなかったり、弱々しく聞こえてしまったりするんです。
だから今まで経験した色々なお仕事を経て学んだことが、今回にも繋がっているのかなと思いますね。
――最後にネタバレ無しにはなりますが、台本を読んだ感想や本作の見どころをお願いします。
森崎:スタッフのみなさんが気を遣ってくださって色々な資料をくださったのですが、その中に絵で各キャラクターの特徴や搭乗機が細かく書いてあるものがあって、それを車の中で広げながら台本をチェックしました。
絵のデータも貰っていたのですが、台本のト書きがそのシーンの絵を説明しているおそらくアニメーション特有のもので、いきなり見てもわからないと思ったんです。
とても面白い作品なのは間違いありません。本編の編集がどうなるか僕はまだわからないのですが、台本上でのラストシーンにある、とあるキャラクターの語りが本当に好きです。自分の家族だったり好きな人だったりに、あの部分だけでもカットして見せてあげたいくらいです。
僕は母親がミャンマーにいて喧嘩したりもするのですが、離れているからこそこの言葉って大事だよねと純粋に思いました。
――ありがとうございました。
機動戦士ガンダムSEED FREEDOM 作品情報
2024年1月26日(金)全国ロードショー
STORY
C.E.75、戦いはまだ続いていた。
独立運動、ブルーコスモスによる侵攻……事態を沈静化するべく、ラクスを初代総裁とする世界平和監視機構・コンパスが創設され、キラたちはその一員として各地の戦闘に介入する。
そんな折、新興国ファウンデーションから、ブルーコスモス本拠地への合同作戦を提案される。
CAST
キラ・ヤマト:保志総一朗 / ラクス・クライン:田中理恵 /
アスラン・ザラ:石田 彰 / カガリ・ユラ・アスハ:森なな子 / シン・アスカ:鈴村健一 / ルナマリア・ホーク:坂本真綾 / メイリン・ホーク:折笠富美子 /
マリュー・ラミアス:三石琴乃 / ムウ・ラ・フラガ:子安武人 /
イザーク・ジュール:関 智一 / ディアッカ・エルスマン:笹沼 晃 /
アグネス・ギーベンラート:桑島法子 / トーヤ・マシマ:佐倉綾音 /
アレクセイ・コノエ:大塚芳忠 / アルバート・ハインライン:福山 潤 /
ヒルダ・ハーケン:根谷美智子 / ヘルベルト・フォン・ラインハルト:楠 大典 / マーズ・シメオン:諏訪部順一 /
アウラ・マハ・ハイバル:田村ゆかり / オルフェ・ラム・タオ:下野 紘 / シュラ・サーペンタイン:中村悠一 /イングリット・トラドール:上坂すみれ /
リデラード・トラドール:福圓美里 / ダニエル・ハルパー:松岡禎丞 / リュー・シェンチアン:利根健太朗 / グリフィン・アルバレスト:森崎ウィン
STAFF
企画・制作:サンライズ / 原作:矢立 肇、富野由悠季 /
監督:福田己津央 / 脚本:両澤千晶、後藤リウ、福田己津央 / キャラクターデザイン:平井久司 /
メカニカルデザイン:大河原邦男、山根公利、宮武一貴、阿久津潤一、新谷 学、禅芝、射尾卓弥、大河広行 /
メカニカルアニメーションディレクター:重田 智 / 色彩設計 長尾朱美 / 美術監督 池田繁美、丸山由紀子 /
CG ディレクター 佐藤光裕、櫛田健介、藤江智洋 / モニターワークス 田村あず紗、影山慈郎 /
撮影監督 葛山剛士、豊岡茂紀 /
編集 野尻由紀子 / 音響監督 藤野貞義 / 音楽 佐橋俊彦
主題歌「FREEDOM」 西川貴教 with t.komuro
製作:バンダイナムコフィルムワークス 配給:バンダイナムコフィルムワークス、松竹
配給:バンダイナムコフィルムワークス、松竹
■公式サイト
https://www.gundam-seed.net/freedom
■公式 SNS
X(旧 Twitter):https://twitter.com/SEED_HDRP
TikTok: https://www.tiktok.com/@seed_freedom_official
【期間限定 OPEN!】※2024.3.31(日)23:59 まで
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