『青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない』劇伴を担当するfox capture plan・カワイヒデヒロさんインタビュー|「この展開は一連の流れで咲太の心情が現れるようにしたいと思いました」
2023年6月に公開された『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』に続く物語、劇場アニメ『青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない』(以下、本作)が2023年12月1日(金)より全国の映画館で上映中です。
本作は、鴨志田一先生の人気小説を原作とするアニメ“青春ブタ野郎”シリーズの最新作。2018年にTV放送された『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』から始まった、主人公・梓川咲太(CV:石川界人)の高校生編のエピソードがついに完結を迎えます。
その上映開始にあわせて、TVシリーズからアニメ『青ブタ』の劇伴を担当してきたfox capture planのカワイヒデヒロさんへインタビューを実施しました。
『ランドセルガール』での咲太を中心とした楽曲制作におけるこだわりは必読となっていますので、ぜひ鑑賞の際の参考にしてみてはいかがでしょうか。
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――2018年放送のTVシリーズから「青春ブタ野郎」シリーズの劇伴を手がけてきたfox capture planですが、『青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない』で高校生編が完結ということで、今のお気持ちはいかがですか?
カワイヒデヒロさん(以下、カワイ):このあと大学生編になって、音楽はどうなっていくのかな? というのは気になっているところですね(笑)。高校生と大学生では同じ学生でもテイストが違うというか、それに合わせて音楽も一新するのか、今の感じでいくのか、気持ちとしては来たる大学生編のことをぼんやり何か考えています。自分が書くとしたら、これまではTVシリーズからのモチーフを散りばめて音楽を作ってきたので、ここでひと区切りにして新たにメロディーを作るのもいいのかなとかちょっと思ったりはしますね。
――そんななかで高校生編の集大成となる『ランドセルガール』をご覧なった感想は?
カワイ:「青ブタ」ってこんなにハートウォーミングな、家族愛に溢れたお話だったんだって思いましたね。最初の頃は思春期症候群が中心にあったのが、今回は思春期の親と子のコミュニケーションのというのがテーマにあって。自分も思春期の頃はそういえばそうだったかな、親とも今と違うコミュニケーションをしていたかもしれないな、というのにちょっと気づかされたというか。
――fox capture planが「青ブタ」の劇伴を最初に手がけられたのが5年前の2018年。TVシリーズから一貫して、日常にリンクしたシンプルな構成のサウンドとなっていましたよね。
カワイ:そうですね。最初のTVシリーズのときは割とドラムやベースも入ったりいろんな楽曲があったんですけど、映画の1作目(『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』)のときに、岩浪(美和。音響監督)さんが、「もっとシンプルでいいんだよね」っておっしゃったんですよね。もっとシンプルに、透明感とかそういうな感じを大事にしたいっていう話を受けて、そこからピアノとストリングスをメインに、ちょっと木管楽器を使ったりとか、そういう編成になっていきました。なので、1作目の映画のときはすでにドラムとかベースはほぼ入ってなかったと思います。