監督は次世代の庵野秀明!?『エヴァ』『ポケモン』『デジモン』『チェンソーマン』……愛が溢れるオマージュの連続! 僕たちが見たかったもの全てを見せてくれる傑作『ぼくのデーモン』を絶対に見て欲しい
2023年11月末に配信されたNetflixオリジナルアニメ『ぼくのデーモン』。原作・脚本に、ホラーから感動的で切ない作品まで幅広い物語を紡いできた天才・安達寛貴(乙一)氏。
アニメーションを手掛けたのは、タイの気鋭CGアニメーション制作会社「IGLOO STUDIO」で、本スタジオのCEOであるナット・ヨッサワッタナノン氏が監督を務めています。
核実験により荒廃した世界でひとりの少年とその相棒《デーモン》が、目的を達成するために旅に出る王道SFストーリーである本作。
少年と異形の相棒というバディものとしての面白さ、安達先生によるクールで後の展開が気になってしまう脚本、テーマ性、CGアニメーションならではのアクションシーン、こだわり抜かれたカメラワークなど非の打ち所がない傑作だと筆者は思います。
原作・脚本は #安達寛高(#乙一)書き下ろし!
— Netflix Japan | ネットフリックス (@NetflixJP) October 24, 2023
タイのアニメスタジオ・Igloo Studio制作。
Netflixシリーズ『#ぼくのデーモン』キーアートを公開。心優しい少年・剣斗とアナの冒険物語。#MyDaemon@igloocgofficial pic.twitter.com/jiCuGAfaIC
そして、特筆すべきは日本のアニメ・漫画カルチャーへの愛が感じられるデーモン達のキャラクターデザイン、能力などの設定です。
『ドラえもん』『ポケットモンスター』『デジモン』『チェンソーマン』『ゴジラ』『ジョジョの奇妙な冒険』……などなど日本が誇る名作たちを想起させるキャラクター、シーンや展開が多く登場。
まるで日本オタク四天王の一角と言われる庵野秀明監督が作る、過去作品のオマージュをふんだんに散りばめた情熱的な作品のよう。
デーモンたちを一目見るだけで「あの作品か?」と考えてしまいますし、彼らの生態や能力が、懐かしいながらも新鮮に描かれており、それだけで興奮してしまいます。
そのオマージュの量に、一見、闇鍋状態にも思えますが、本編を見ていただけると必ず伝わる日本のエンタメへの愛と情熱、現代社会を表したテーマが物語をしっかりと支えています。
筆者は、アニメファンのあなただからこそ、本作を絶対に見て欲しい。なぜなら、私達と同じような作品を楽しみ、コンテンツへの愛を持った方々が丁寧に作っている作品だからです。
全アニメ・エンタメファンが見たかったモノをたっぷりと描いたのが『ぼくのデーモン』なのです。
「IGLOO STUDIO」は東宝との業務提携を結んでいるとのことなので、これから面白い作品をバンバン制作してくれるかもしれません! あなたも筆者とこのスタジオの最古参にならないか?
『ドラえもん』✕『ポケモン』!? 完璧すぎる第1話を解説!
筆者は『ぼくのデーモン』の第1話を見た瞬間に、心をガッツリ掴まれました。
1話にて描かれるのは、
・ストーリー、世界観の概要説明
・少年が旅に出る動機
・現代社会に通ずるひとつのテーマ
・カッコ良すぎるデーモンデザインとアクション
という4点なのですが、説明過多にもならず、お説教にもならない、とにかくバランスが完璧であっという間に見終わってしまいます。
本作の舞台は、核実験後、世界に広がってしまった謎の粒子・デモニウムとその粒子から生まれた謎の生き物デーモンが蔓延る東京。
みんながデーモンを忌み嫌う中で、あまりにも可愛すぎるという理由で一匹のデーモン・アナを飼っているのが主人公の橘剣斗です。
剣斗はアナとお母さんの3人で暮らしており、アナも順調に育っていきます。ある日、アナには「生き物以外の物を異次元に収納できる」能力を持っていることが判明。
それからは、食べ物を収納させたり、外に出かけて色んな物を吸い込んでみたり、お母さんに関しては冷蔵庫替わりに使ったりとまるで『ドラえもん』の「のび家」の日常を見ているようでほっこりします。
かと思えば、1話冒頭ではTVのニュース番組が映され、アナウンサーや専門家のセリフを通して作品の世界観を説明します。
ニュース映像には、人間を襲うデーモンの姿、それを駆除する人間の姿が描かれ、「人間はデーモンに対し、魂の根源的な部分から禁忌的な感情を抱く、その感情こそが人間の証明とも言える」というアナウンサーのセリフが。
世界観を説明しつつ、上記のセリフを印象的に聞かせることによって物語のテーマ性(後述)をしっかりと伝えます。
中盤には、世界の平和を維持する特別組織から「収納のデーモンを捕獲したものに1億円を支払う」という通達がされ、デーモンに電流が流れる首輪をつけて使役する人々《デーモン使い》が存在し、彼らが賞金を求めてアナを探し始める様子が描かれます。
デーモン使いたちは、それぞれアナのような特殊能力を持った「〇〇のデーモン」を引き連れ、『チェンソーマン』のデビルハンターよろしく、剣斗とアナに戦闘を仕掛けてくるのです。
人間がデーモンと共に戦う(命令して、従わなければ電流で虐待)場面は、『ポケットモンスター』や『デジモン』のようですが、全然相棒ではなく主と奴隷に近い関係性になっています。ほぼロケット団の所業。
第1話にて、刺客として現れるデーモン使い草薙と、あらゆるものを透明化するデーモン・キャスパーのシーンは衝撃的。
完璧なキャラクターデザインと能力設定、アニメーションでしか表現できない戦闘シーン、凝ったカメラワークなどなど、本作のかっこよさが十分に楽しめる映像が続々と続きます。
その戦いの末、剣斗とアナにとって重大な事件が起こり、旅立ちを決意するところで1話が終了。
散りばめられたオマージュや、計算し尽くされた展開、クオリティの高いアクション、とんでもない密度で作品の全てが詰まった第1話です。
一度再生すると、全話いっき見してしまう勢いなのでお気をつけください!