この記事をかいた人
- タイラ
- 99年生まれ、沖縄県出身。コロナ禍で大学に通えない間「100日間毎日映画レビュー」を個人ブログで行いライターに。
何と言っても本作の1番の見どころは、デーモン達のデザインと戦闘シーン! 日本のアニメや漫画に登場する怪獣・モンスターたちからの影響を色濃く受けており、作り手の熱量を感じます。
使役されているデーモンはもちろん、人間たちとは共に暮らしていない野良のデーモンたちも魅力的。美しい造形だけではなく、その特徴や生態をも細かく描くことによって戦闘により没入し物語を楽しむことができます。
例えば、アナは目がたくさん付いていて、なんでも異次元に収納ができるので筆者は『ウルトラマン』に登場する怪獣・ガンQを思い出してしまいます。
物語中盤で登場する大型デーモンは、『ゴジラ』シリーズに登場する怪獣たちを彷彿とさせるようなスケールの大きさで、特撮への愛もバシバシ感じます。
ただの模倣ではなく、オリジナリティ溢れるアレンジがされているので、どのキャラクターも新鮮に楽しむことができますし、アニメ・特撮ファンの方であればあるほど、ワクワクしながら視聴できること間違いなし。
デーモンたちは、人間と一緒に戦うことが多いので、彼らのイカした能力を巧みに操る戦闘シーンも本作の魅力です。
そこでも様々なコンテンツへのリスペクトは忘れておらず、『ジョジョ』のスタンドを使ったバトルや、『NARUTO』『テラフォーマーズ』の戦闘を彷彿とさせるようなオマージュがたっぷり。
また、デーモンたちを、移動手段として使ったり、自己強化として使ったり。戦闘・捕獲・追跡……などなど、能力をうまく活用しながら、かっこよく魅せるアイディアの数々に屈服させられます。
バトル少年漫画で育ってきた筆者は、能力バトルものとして圧倒的な完成度を誇る本作の戦闘シーンに興奮しっぱなしでした。
また、それを支えるカメラワークが凄まじい!「かっこいい映像ってこれでしょ!」と監督の声が聞こえてくるような迫力満点のカメラワーク、ハンディカメラで撮ったかのような長回し風アクションなどケレン味のある映像に痺れます。
アクション・キャラデザも素晴らしければ、現代社会を映したような重厚なテーマも魅力的な本作。
物語の発端にもなっている核兵器や戦争へのカウンターはもちろん、「デーモンへの嫌悪感は人間の証明」と言い切ったこのセリフからは、様々な形で広がり続け、いつまで経っても無くならない差別感情・レイシズムへの意識が感じられます。
序盤に登場するシスターというキャラクターは、デーモンたちのことを徹底的に嫌っており、デーモンを使って生活をしているデーモン使いに対しても職業差別的な発言や行動をバンバン行います。それを行っているのが"シスター"という存在なのがまた苦しい。
タイのアニメスタジオ Igloo Studio制作の『#ぼくのデーモン』。核災害後の世界で、東京から西へと向かう旅路で描かれる、荒廃しながらも美しい風景にも注目👀
— Netflix Japan | ネットフリックス (@NetflixJP) December 1, 2023
少年とデーモンの冒険物語『ぼくのデーモン』はNetflixにて独占配信中!#MyDaemon pic.twitter.com/JdOqnx7kat
人間はなぜ争うのか、ひとつの惑星に住むものとして、全ての人間・生物・自然と共に生きることは不可能なのか。このような問いを剣斗とアナ、登場する人間たちとデーモンの関係を通して投げかけているのではないか、と筆者は思っています。
劇中で何度も叫ばれる、デーモンを愛する剣斗の一途な想い。そして、彼らの姿を見て少しづつ変わっていく人々。作中のキャラクターたちやそのセリフ、描かれる物語の中に、あなたが何を感じるのか。
正解の解釈など存在しないですし、視聴者のあなたが抱いた気持ちのひとつひとつを大切にしながら、本作を楽しんでみてください。
異なる種族間での愛と絆、心震えるふたりの冒険、そして、母親に固執する剣斗の行末は一体どうなったのか。
大きな物語の中で、平和に共生するための方法を模索した『ぼくのデーモン』。
少年とデーモンの壮大な旅、そして導き出される答えをぜひ見届けてください。
IGLOO STUDIOの次回作、そして、これからも作られ続けるであろう熱量の高いオリジナル作品と出会うのが楽しみです!
99年生まれ、沖縄県出身。コロナ禍で大学に通えなかったので、「100日間毎日映画レビュー」を個人ブログで行い、ライターに舵をきりました。面白いコンテンツを発掘して、壁に向かってプレゼンするか記事にしています。アニメ、お笑い、音楽、格闘ゲーム、読書など余暇を楽しませてくれるエンタメや可愛い女の子の絵が好きです。なんでもやります!