冬アニメ『俺だけレベルアップな件』連載インタビュー第1弾:REDICE STUDIO ジョン・アギョル理事|小説だった『俺レべ』をWEBTOON化した理由と意識した点とは?
『ピッコマ BEST OF 2019』マンガ部門第1位を受賞した人気WEBTOON(縦読み電子マンガ)『俺だけレベルアップな件』が待望のアニメ化が実現! 2024年1月6日からいよいよ放送が始まりました。
先日放送された1話では異次元と現世をつなげるゲートの出現によりモンスターが侵入し、特殊能力を持ったハンターが撃退して報酬を得ていた。主人公のEランクハンターの旬は「人類最弱兵器」とバカにされながら家族のために、何度も命を落としそうになりながらモンスターと戦っていた。
しかしある日、D級ダンジョンを発見し潜入することに。ダンジョン内のトラップに命を落とすハンターたち。初回から緊迫感と絶望感に包まれながらの攻防が繰り広げられ、今後も目が離せません。
そんな『俺だけレベルアップな件』のアニメ化を記念して、当サイトではインタビュー連載をお送りしていきます。
今回は、コンテンツ制作をしており、『俺だけレベルアップな件』など多くのWEB小説をWEBTOON化(電子マンガ化)しているREDICE STUDIOのジョン・アギョル理事に、『俺レべ』のWEBTOON化からアニメ化の際にこだわった点、今後のアニメの見どころなどご紹介いただきました。
多くの人気コンテンツを輩出してきたREDICE STUDIO初のWEBTOON作品が『俺レべ』!
――『俺だけレベルアップな件』を生み出したREDICE STUDIOについて、ご紹介をお願いします。
REDICE STUDIO ジョン・アギョル理事(以下、ジョン):REDICE STUDIOは、出版、映像、ローカライズされた作品の輸入、配給、そして制作をしているコンテンツ会社です。2012年にREDICEとしてスタートし、その後2018年にはREDICE STUDIOに社名を変更し、現在に至ります。
作家のDUBU(チャン・ソンラク)さんがREDICEで活動していた当時、日本で作家のパク・ソンウさんと共に作業した『スペース★ダンディー』、『巨蟲列島』、『BEAUTIFUL LEGENDS』などの漫画の出版やWEBTOON(電子マンガ)の作品制作をしていました。
『俺だけレベルアップな件』は、韓国で初めて制作したWEBTOONです。REDICE STUDIO作品の特徴としては、洗練された線画や派手なアクション、そしてWEBTOON(電子マンガ)に最適化された演出などがあります。
――REDICE STUDIOでは多くのWEBTOON作品を制作されていますが、従来の横読みWEBコミックと違う、縦読みのWEBTOONのメリットと魅力、逆に特有の難しさはありますか?
ジョン:従来の紙の漫画を制作していた時は、カラーではなく、ただペンと墨で絵を描いていましたが、WEBTOON連載を始めてからは、カラーとよく調和した下絵が出るように線画段階から場面による線の太さや墨の使用範囲などに注意を払う必要がありました。
また、紙の漫画の読み方に合わせた演出をしてきましたが、上から下へと流れ落ちるWEBTOONの形式に合わせて演出スタイルも変える必要があり、そこも面白い試みであり、挑戦でした。
縦スクロールのWEBTOONの長所は、速く移動する視点に合わせて、その分、疾走感を生かしたスカッとしたアクション演出が可能だという点です。
逆に、それだけ視点移動や横型演出が制限されているため、読者の視点移動を考慮した自然な演出をするために多くの研究が必要な点が難しいと考えています。
小説だった『俺レべ』をWEBTOON化した理由と意識した点とは?
――REDICE STUDIOではWEBTOON作品を分業制で制作されているそうですが、なぜ分業制の形をとっているのか、またその過程のご紹介をお願いします。その制作する際、アニメ化まで意識されていますか?
ジョン:最近、多くのスタジオで分業を行っていると伺いますが、スタジオごとに分業方式が違うと思います。REDICE STUDIOでは大きく企画、演出、作画、編集などパート別に業務が分かれており、各パート別の専門家が自分の業務に集中して各作品の全体的な完成度を高めています。
まだWEBTOON(電子マンガ)を制作する過程でアニメーション制作までは意識をしてはいませんが、だんだんとアニメーション化を考慮する必要性が大きくなってきていると感じています。
――『俺だけレベルアップな件』は小説からのスタートでしたが、WEBTOON化することになったきっかけや理由を教えてください。
ジョン:Chugongさんの小説『俺だけレベルアップな件』にはストーリーを引っ張っていくような主要キャラクターが多数登場します。
また、主人公だけが持っているシステムを通じてS級ハンターに成長していく過程で体験する、たくさんのエピソードが魅力的だと思いました。膨大な世界観と個性豊かな主要キャラクター、そして豊富なエピソードなど、WEBTOON化すればより多彩で魅力的に描写できる要素が十分にあると考え、本作品を WEBTOONとして制作することになりました。
―― WEBTOON 化する時に意識されたことや難しかった点など教えてください。
ジョン:どうしても小説を原作とした WEBTOONなので、原作に傷をつけてはいけないという想いがあったため、制作に先立ち原作作家さんと脚色範囲について多くの話し合いをしました。幸い、原作作家さんが脚色部分の自由度をかなりもたせてくださったおかげで、非常に作業がしやすい環境でした。