冬アニメ『休日のわるものさん』わるものさん役・浅沼晋太郎さんインタビュー|この作品は「何か起きそうで何も起きない」!? 温かい飲み物でも飲みながら見て、ほっと一息ついてほしい
地球侵略を目論む悪の組織の幹部の休日の過ごし方を描いた“ヒーリングコメディ”作品『休日のわるものさん』(森川 侑原作、「ガンガンpixiv」にて連載中)。本作のTVアニメが2024年1月7日(日)より放送スタートとなります!
悪の組織の幹部で“将軍”と呼ばれる主人公「わるものさん」は、地球侵略のため、地球防衛組織「レンジャー」と日夜激しい戦闘を展開中。そんな彼にとって休日は激務に疲れた心身を癒す大切な時間。普段とは違うのどかな1日を送り、レンジャーのメンバーと遭遇しても休戦。そんなわるものさんの癒しのひとときや人との交流を描いた作品です。
放送開始を記念し、わるものさん役・浅沼晋太郎さんに、作品の印象や見どころなどを語っていただきました。
わるものさんは心の声で「オン」と「オフ」が細かく切り替わるキャラ
――原作を読んだり、演じてみて感じた作品の印象をお聞かせください。
わるものさん役・浅沼晋太郎さん(以下、浅沼):悪側を主人公として描く作品は「こちら側なりの正義もある」といった主張があったり、ヒーロー側を悪として描きがちですが、この作品は登場するすべてのキャラが愛らしいところが魅力なんじゃないかなと思います。あと、わるものさん自身が、僕らがしたくてもできない理想の休日を過ごしているところがいいですよね。
――演じるわるものさんの印象をお聞かせください。
浅沼:「愛情深いところが隠しきれていない」という印象です。地球人をせん滅すると言いながらもパンダを愛でていたり、帰り道の途中にあるコンビニにずっと通い続けていたり。せっかくの休日を寝て終えてしまう人が多いなか、わるものさんは決してそんなことはなく、朝はきちんと起きて、洗濯機を回して、コーヒーをハンドドリップで入れて、朝食を作って……。アンニュイな雰囲気からはとても想像しにくい几帳面さで、丁寧な暮らしをしているところもとても魅力的です。
――演じる際に意識された点や、収録前、収録中に受けた印象的なディレクションをお聞かせください。
浅沼:「オン」と「オフ」の状態によって、演じ方や声のトーンを変えているのですが、頭の中で考えていること、いわゆるモノローグについて細かくディレクションをしていただきましたね。「ここだけオンでお願いします」とか「最初はオフから入って徐々にオンになってください」とか。またオンとオフ、両パターン録って、その後、全体のバランスを見てハマったほうが使われるなんてことも。とにかく、いろいろなパターンを試して作り上げていった印象です。
――オンとオフの切り替えが多いと大変そうですね。
浅沼:『サイボーグ009VSデビルマン』で演じさせていただいたデビルマンと不動明みたいに、悪魔の時と人間の時で姿形がガラッと変わるようなことがあれば、どちらで演じればいいのかが明確に判断しやすいのですが、今回のように同じ姿のままで細かい演じ分けをする、というのはなかなか骨が折れました。
同じ組織のメンバーといても、相手によって立ち位置が変わる
――様々な個性的なキャラが登場しますが、わるものさんと特に関係が深い、同じ悪の組織のルーニー(CV.斉藤壮馬)と、ヒーロー側のアカツキレッド(CV.石橋陽彩)との関係についてどう思いますか?
浅沼:ルーニーは、会社や学校で例えるなら「生意気な後輩」。日常的にイジってくるから煩わしいけれど、決して嫌いなわけではなく、仲がいいからこそのイジりイジられ関係で。実際、ルーニーに危険が迫ればすぐに駆け付けちゃいますし。でもプライベートで電話をかけて来られるのは嫌で。わるものさんは、ルーニーといる時はツッコミ役だけれど、トリガーといる時はボケ役になるのが面白いところですよね。相手によって立ち位置が変わって、オンオフとは違う二面性が見られます。これって現実世界では珍しいことではなくて。例えば、会社では上司として毅然としているくせに、家庭では家族によく突っ込まれてるお父さんがいたりする。
僕の場合も、イベント出演した時なんかは、共演するメンバーや作品・状況によって立ち位置が変わります。新人さんが多い場合は、前に出るタイミングを掴んでもらいやすいようイジり役になったり、逆に信頼できるいつものメンバーだったら、安心してすべて委ねてボケてみたり。ですから、わるものさんとルーニーとトリガーは、リアルで親しみやすい関係性だと思ってます。
レッドに関しては、とても共感できる点が1つあるんです。それは極度の方向音痴という部分。過去に何人も「僕も方向音痴なんです」と言う方とお会いしていますが、負けたことがありません(笑)。わるものさんとの関係性は……現実世界ではめったにない関係性かもしれませんね。
変身した姿の時は命がけで戦っているのに、休みの日に会った時は戦わないどころか親切に道まで教えてあげる、なんて。強いて言うならプロレスでしょうか。リングの上ではバチバチに戦って、試合後の控室ではカメラに向かって「次やる時はぶっ殺してやるよ」なんて啖呵を切っておきながら、普段は一緒にトレーニングもしていて、移動のバスも一緒で、なんなら試合後の打ち上げでは隣で飲んだりする。勝手な想像ですけど(笑)。