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『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド』半田健人×芳賀優里亜インタビュー

乾巧は「自分にしかできない大役」。応援してくれるファンの期待応えたい――『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド』乾巧/仮面ライダーファイズ役・半田健人さん×園田真理役・芳賀優里亜さんインタビュー

時を経ても巧は巧でしかない

ーー20年ぶりの続編で巧、真理を演じるにあたって、大切にした点はありますか?

半田:僕がどう巧を演じたいかというより、みなさんがどういう巧を見たいかを大事にしました。この映画が実現した根底には、20年経っても応援してくれているファンの存在があります。その期待に応えたいという気持ちが大きかったんです。「タッくんはこうじゃなきゃ」という部分をどれだけ演じられるかが重要でした。

芳賀:私も「観てくれる方に喜んでもらいたい」という想いが一番です。大人になってから当時の映像を客観的に観る機会もあるなかで、「どういう続編なら、みんなが喜んでくれるだろう?」とキャスト全員で話し合いました。

半田:今回は、これまでにないほど大真面目に話し合いましたよ。

芳賀:でも、信頼という面では当時から変わっていません。他の男性キャストはみんな年上なのに、半田くんが一番落ち着いていて。主役がしっかりしてくれているから、私は身を委ねるだけで良かったんです。そういう意味では20年ぶりに集まっても、安心して現場にいられました。1年をかけてできた関係性は、本当に大きいなと。

半田:逆にメンバーが申し分ないからこそ、「これだけ条件が揃っている中で良いものが作れなかったら……」という気持ちはありました。

芳賀:そうですね。応援してくれるみなさんの期待もあるので、「555」の良さはしっかり出したいなと。

半田:自分たちよりも、観てくれる人がどう思うか。他の映画ではあまりない考え方かもしれないです。

一方で、巧は巧でしかないので変えられないという面もあります。髪型や服装は意識的に変えられますが、カメラの前に立つと他にやりようがないんです。年もとっているし、声のトーンも多少違いますが、変に考えすぎても遠いものになっちゃうなと。「巧をやろう!」という意識が強すぎたら、村上さんみたいになっちゃって……あっ(笑)。

ーー(笑)。村上さんは、今回も素敵な表情をされていましたね。

半田:草加雅人を愛しすぎた結果、大げさになるという(笑)。その点で、僕以上に自然だったのは真理でした。

芳賀:そうでしょうか……。元々そんなに考え込まないタイプなので、特に意識はしていないかもしれません。

半田:確かに、「メンバーが揃うとできる」という感覚はありますね。お互いの顔を見るとスイッチが入るというか。クランクアップの日、僕は芳賀さんに「園田真理という役が芳賀優里亜で本当に良かった」と伝えたんです。お芝居に関して僕がどうこう言う立場ではないですが、芳賀さんの女優としての実力や人間性も含めて、相手役が彼女で良かったと20年越しに心底感じました。

芳賀:ありがとうございます! 加えて、今回は井上さんが書いているので「真理ちゃんってこういうふうに話すよね」と改めて思うこともありました。「〜なのよ」、「草加くんもわかってるくせに」とか。日常では使わない独特な言い回しなんです。

『仮面ライダー555』という名の青春

ーー今作には、玲菜/仮面ライダーミューズ役・福田ルミカさんをはじめとした新キャストの方々も参加しています。

芳賀:改めて年齢を聞くとびっくりします(笑)。「私もこのくらいの年齢で真理をやっていたんだ」と不思議な気持ちになりました。

半田:僕はまだギリギリ社会に出る人もいる年齢だったけど、当時の芳賀さんの年齢は働くような年じゃないから。

芳賀:よく言っていますが、撮影現場は学校のようでした。『仮面ライダー555』で青春を体験させてもらったと思っています。

半田:今回の現場もスケジュールはハードでしたが、楽しかったです。「555」の現場に行くと、学園祭みたいなノリが出るんですよ。大人になるとそういう機会もなくなりますが、まるで学園祭の出し物の準備をしている空気感があって。「こんな時間がずっと続くと良いな」という気持ちになります。そういう無邪気さが出せる現場だからこそ、僕らも何年かに1回は集まりたいと思うんです。

芳賀:年齢差はありますが、基本的にみんな真面目なのでバランスが良いんです。学生のようなノリがありつつ、仕事に対しての真摯さもあります。今回の現場はとても心地良くて、私自身も昔に戻ったような気分になりました。

半田:撮影は真理の重要なシーンから始まったのですが、やはり他の作品とは気持ちの入り方が違いましたね。「自分にしかできない大役をやる」という心地良い責任感がありました。

芳賀:飛び降りるシーンの撮影から始まったのですが、私は高所恐怖症なんです。田﨑監督とは色々な作品でお仕事をさせてもらっているので、今回もきっちり対策がなされていました。打ち合わせの段階から、怖くないように柵を用意してくださって。「わかってくれてる!」じゃないですけど、そういう配慮も嬉しかったです。

半田:僕も当時、ジェットコースターに乗りたくなくて、高岩さん(高岩成二さん)に代わってもらったことがあります。あとで高岩さんから「俺はそういう役じゃない、スーツアクターだ!」と怒られました(笑)。

ーー(笑)。お話を伺っていると、雰囲気の良い現場だったことが伝わってきます。その中でも特に印象に残っているエピソードはありますか。

半田:風邪が蔓延したんですよ。僕を含めたキャストも順番に罹患していきまして……。芳賀さんも喉の調子を悪くしちゃったし。

芳賀:私の声が出なくなったので、次の日に休みをいただいたんです。その日だけは、撮影全体がストップしていました。

半田:でも、その休みがみんなを救ったんですよ。僕も体調がピークで悪くて、スタッフもキツそうにしていたタイミングだったので、撮休(撮影期間中の休日)が出たときに全員が「ありがとう!」と(笑)。あの1日を休めたおかげで、持ち直せました。芳賀さんも声が出ない以外は辛くなかったんだよね。

芳賀:そうなんです。本当に声だけが出なくて、初めての経験でした。

半田:”僕らに休みを与えるため”だったんじゃないでしょうか。真理のシーンの一部はアフレコになってしまいましたが、彼女はやっぱり上手くて。どこがアフレコなのかは分からないと思います。

<次ページ:自信をもって届けられる続編ができた>
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