スポーツ作品に通ずる熱量! あまりの長セリフに鍛えられた実践的訓練ーー『シャングリラ・フロンティア』内田雄馬さん、日笠陽子さん、小市眞琴さんインタビュー
キャラクターの幅を引き上げる日笠さんのアドリブ力!
ーー全体的にアドリブが多そうだなと感じました。
内田:アクションのアドリブは多くいれています。それ以外でも会話のアドリブも結構必要になった気がしますね。
小市:そうですね。サンラクと一緒にワチャワチャしているときは画面外でアドリブを入れていたりします。
日笠:あるところはある、って感じだったよね。『シャンフロ劇場』はギャグ寄りのアドリブを入れたりね。
内田:『シャンフロ劇場』はそういう作品として演じてほしいと言われましたよね。
日笠:でも、アドリブを入れないといけないから大変、ということもなくて。一度キャラクターに入り込んでしまえば、少しアドリブを頼まれても問題ないんです。
内田:どんな状況なのか把握してさえいればやりやすかったり。
日笠:でも今日、5、6回くらいアドリブの録り直しがあって……。
小市:全部面白かったですよ!
内田:全部好きでしたけど、あれは“陽子”なんですよ!
日笠:違うの! 私もちゃんと考えてるの! そのときは低めのセリフに対してのアドリブだったから、高めにして調和を取ろうとしたの。それなのに“陽子”なんて言うから……。
一同:(笑)
内田:あれはちょっと、みんなの笑顔を狙い過ぎです(笑)。
日笠:えぇ!? でも私、的外れなアドリブを入れるときがあるんですよ……。
内田:いや、そこは日笠さんのすごいところで、思い切って踏み込めるからこそギリギリを攻めることができているんです。ギリギリだからこそたまに踏み込み過ぎてしまうのは当然で、むしろ、キャラクターの幅が引き上げられるんですよ。
日笠:ありがとうございます。
小市:しかも、あのアドリブはサンラクのセリフの裏でしたからね。そうじゃなかったらどれも面白いアドリブです。
内田:面白過ぎましたね(笑)。
小市:でも、ミキサー室のスタッフさんたちが笑ってたら「OK」みたいな風潮がありません?
内田:この現場はそうかもしれない。
小市:「こっちで笑いがあったのでOKです」みたいに(笑)。
内田:スタッフさんたちは最初の視聴者でもあるから、みなさんに楽しんでもらう上での第一関門とも言えるよね。
日笠:私、『シャンフロ劇場』で黒柳徹子さんのモノマネをしたとき、「面白かったのでそれでいきます」と言われたけど、「これOK出しちゃダメでしょ」と。
一同:(笑)
日笠:いつか消されるかもしれないです(笑)。
ベテランの引き算の芝居
ーーアフレコは大変だったとのことですが、現場は和気藹々とされていたのでは?
内田:そうなんです。いろいろ芝居を遠慮なく投げ合って作っているので面白い現場だなと。
日笠:(小市さんを見て)今度は近くに座ってね。
内田:そうですね(笑)。
小市:私、いつもドア前の端に座ると決めているんです。下積みが長かったせいか、未だにメインキャラのキャストが座る真ん中の席に抵抗があるんです。
内田:たしかに、小市ちゃんは端の印象がある。
小市:今度は日笠さんの近くに……! でもたくさん話しましたよね。
ーーアフレコはみなさん一緒が多かったんですか?
内田:そうですね。あとエムル(日高里菜さん)とサイガ-0(和氣あず未さん)が入るか、でしたね。
小市:雄馬さんも端が多かったですよね。
内田:そうだね。分散収録のときは入れ替わりがあったからね。
ーーヴァイスアッシュ役の大塚明夫さんとは掛け合いをされましたか?
内田:しました! もう、言葉の重みがすごかったです。
日笠:ベテランのみなさんは“引き算”の芝居なんですよね。
ーー引き算ですか。
日笠:我々のような世代は“積んでいく”段階なんですけど、ベテランのみなさんは捨てていくんですよ。
内田:必要なものだけを置いていくんですよね。
日笠:私もやっているつもりだけど中々できないんだよね。
内田:できないですよね。小さな穴に対して、強いエネルギーを面でぶつけるのではなく、エネルギーを凝縮して的確に通すようなイメージ。
日笠:説得力がすごいもんね。
内田:そうそう。説明過多に感じないんですよね。
日笠:セリフが立っていて不思議だよね。
内田:という風に、刺激もあるすごく良い座組です。毎回、みんなでしのぎを削り合うような熱さがありました。
ーー最後に、今後の放送を楽しみにされている方へメッセージをお願いします。
内田:墓守のウェザエモン戦は今までと比べて長い話数で熾烈な戦いが繰り広げられました。僕らも全てを出し尽くす勢いで収録に挑んだことをよく覚えています。
この作品は“遊び尽くした者・楽しみ尽くした者が勝つ”、そんな戦いの連続です。みなさんには今後も『シャンフロ』を楽しみ尽くしていただきたいと思っています。よろしくお願いします!
小市:とにかく死力を尽くして演じさせていただきました。そして放送されている分だけでも動きのすごさが伝わっているかと思います。個人的にカッツォが着地するところがヌルヌルし過ぎていて驚きましたが、アップの表情もちゃんとキマっているんです。こんなに動くのに表情が崩れないのは作り手の愛と情熱のおかげだと思います。みなさんには今後の物語もぜひ楽しんでほしいです。
日笠:『シャンフロ』はスタッフさん一人ひとりが気合を込めて、自分の仕事を全うしています。そして私たちも、100%の力でキャラクターを演じました。この3人……サンペンオイは……。
内田:サンペンオイ!?
一同:(笑)
日笠:サンペンオイは今後、「シャンフロ」の中でさらなる謎に向かっていきます。演じている私たちも、互いに絆を感じたり、背中を預け合うことができました。そして、その感覚はきっとサンペンオイも感じたはずなんです。
内田:サンペンオイを広めようとしてますね(笑)。
一同:(笑)
日笠:その感情は今後の物語に繋がるんじゃないかなって。視聴者のみなさんにはキャラクターの感情の機微を感じてもらえたら嬉しいです。今後ともよろしくお願いします!
【インタビュー MoA】
作品情報
あらすじ
ディスプレイを使用するゲームが、レトロゲームに分類されるようになった、少しだけ未来の世界。
この世界では、最新のVR技術に内容が追いついていない、いわゆる“クソゲー”と呼ばれる作品が大量にリリースされていた。
そんな数多のクソゲーをクリアすることに情熱を捧げてきた1人の“クソゲーハンター”陽務楽郎。
彼が次に挑んだのはクソゲーの対極、総プレイヤー数3000万人の“神ゲー”『シャングリラ・フロンティア』だった。
集う仲間、広がる世界。そして“宿敵”との出会いが、彼の、全てのプレイヤーの運命を変えていく!! 最強クソゲーマーによる最高のゲーム冒険譚、ここに開幕!!
キャスト
(C)硬梨菜・不二涼介・講談社/「シャングリラ・フロンティア」製作委員会