ふたりがプリキュアになるまで――「最初は信じられない気持ちでした」　わんだふるな軌跡「わんだふるぷりきゅあ！」キュアワンダフル／犬飼こむぎ役・長縄まりあさん×キュアフレンディ／犬飼いろは役・種﨑敦美さんインタビュー　

今だから明かせるオーディション秘話

――少し話が遡りますが、オーディションの時のことで覚えていらっしゃることはありますか？

長縄：私はこむぎとニャミーさんを受けさせていただきました。

種﨑：私は全部のキャラを受けさせていただきました。もちろん全てのキャラクターに全力で挑みたい気持ちはあれど、やはりシンパシーを覚えるキャラクターに力が入ってしまうところはあって。そんな中、ダントツでいろはちゃんに「ご縁があったらいいな」と期待していたので、とても嬉しかったです。

――いろはちゃんのどのような部分に惹かれたのでしょうか。

種﨑：「あなたの声をきかせて」というセリフです。想像じゃない、本当の声を聞こうとする姿勢に惹かれました。オーディションのときは具体的なストーリーは分からない状態ですが、「本当のあなたの声をききたい！　きかせて」という言葉からその気持ちを想像すると、今一番世界で大切な言葉なんじゃなかろうか……と思いました。「みんなもっといろいろなことを想像して、考えてみても良いんじゃないかな？」と、日々思っていたこともあって、その言葉に共感しました。

――長縄さんはこむぎの魅力をどのように感じていましたか？

長縄：オーディション用の台本からも元気いっぱいな雰囲気は伝わっていたのですが、オーディション会場で初めてこむぎちゃんの姿を見て、いろいろな想像が膨らみました。

1枚の絵にいろいろな表情が描かれていて「ここではこんな表情するんだ。だったらここはこうやって演じるのかな」と必死になって考えたのを覚えています。かわいくも演じたいし、犬らしさが先走ってしまって、キュートさが無くなってしまうかもしれないけど、犬ならではの感じも出したい！と葛藤もしていましたね。

オーディションの本番では、元気いっぱい！　嬉しい！と感じるような場面の言葉を演じたのですが、嬉しさが溢れたセリフだったのと、緊張から気持ちが高ぶってしまい……「もうちょっと落ち着いてもよかったのでは？」と終わった後に反省しました（苦笑）。その後「もっと落ち着いて演じられたかもしれない……」とマネージャーさんに弱音を吐いてしまいました。とにかく必死でしたね。

――こむぎはキュートなセリフが多いですよね。とてもピュアで、長縄さんがまっすぐに演じられているからこそ、きっとグッとくるものがあるんだろうなって思いました。

長縄：ありがとうございます。そういうピュアなセリフを素で言っているところがかわいいなぁと思っています。

――ところで、『わんぷり』ならではの衣装もとっても素敵で。今日の衣装のポイントも教えて下さい。

種﨑：担当カラーに合わせて、できれば（長縄さんの衣装に）似たものがあればなと思い、近い衣装にしました。

長縄：私が先に衣装を決めていて。シースルーのところもポイントです。4人とも衣装のリボンが印象的だったので、髪にもリボンを付けて、こむぎっぽくハーフツインにしました。

――種﨑さんはいろはの髪色に近いですね。

長縄：確かに！

種﨑：偶然ではあるのですが（笑）、今日は初めて皆さんの前で作品について語る場だったので、なるべくキャラクターに近づけたいという思いもありました。

わんだふるは止まらない！　

――第1話～第3話までの見どころやアフレコを振り返ってみるといかがでしょうか？

種﨑：第1話の見どころはこむぎが人に、そしてプリキュアになるところですかね。犬から人間に……。

長縄：形態がすごく変わりますよね（笑）。私としては、人になれることをまだ知らないこむぎちゃんの心情を「ワン！」や「クゥ～ン」といった声と息遣いで表現しているので見てほしいです。その時は人になれることを知らなかったからこそ、犬らしさを全面に表現しています。

他ですと、第1話をすでに知っている自分としては、変身シーンを楽しみにしていてもらいたいです。第1話の収録前に映像をいただいて見ましたが、こむぎが変身するシーンですごく号泣してしまいました。

――第1話では、こむぎが人間の言葉を喋り始めてすぐに変身して、名乗りもあげていて。

長縄：人間の言葉を話しはじめて、すぐに変身するんですよね。ほぼ同時くらいのタイミングで。名乗りをするのは第1話が初めてでしたので、最初は「大丈夫かな
できるかな」と心配もありました。

第1話はいろはちゃんを守りたい！という必死なシーンを除いては、こむぎちゃんの楽しい気持ちを表現するシーンが多かったので、自分自身も楽しく演じることができたのですが……その一方で、ドキドキもしていて。アフレコ中に「最後まで走りきれるのかな」と心配になることもありました。カッコよく「ワンダフルパクト！」と言いたくて。

種﨑：全部しっかりできていましたよ。全部できているのはもちろん、こむぎが1番わんちゃんらしかったのは第1話で間違いないですし、だからこそとても貴重な話数になった思います。しかも「えっ、犬がプリキュアにっ!?」という、新しい第一歩というか。20年築き上げてきたシリーズの、21作目の第1話。『プリキュア』シリーズが大切にしてきた信念は変わらず、でも新しいことに挑戦するための絵全部の第1歩が詰まっているなって思っていました。（長縄さんを見て）本当に、全部出来ていました。