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『僕ヤバ』第2期:堀江 瞬✕岡本信彦インタビュー【連載第7回】

『僕の心のヤバイやつ』第2期 連載インタビュー第7回:市川京太郎役・堀江 瞬さん✕足立 翔役・岡本信彦さん|「市川自身も逃げずに(足立と)ぶつかり合っていて。彼の性格から考えてめちゃくちゃ大冒険だったと思います」

岡本さんと足立の共通点は「メンタルの」……

堀江:少し話が戻ってしまうんですけど、僕はさっきの、足立を演じるにあたっての心構えにまつわるお話を聞いた時に「やっぱり意識してやってたことなんだな、すごいな」と思って。下ネタというエグみのあるものを愛嬌で……と言いますか。「まあ足立だから」って済まされるレベルというのを意識した上で演じられていたんだって。それってすごいことですし、僕は勝手に、岡本さんって学生時代は足立みたいな人だったのかなと思ってて――。

岡本:あははは! ああ、でもそうなのかもしれない。あ、下ネタっていう意味じゃなくて、陰にも陽にもなれないキョロ充。どこの層とも付き合いがあった、というくらいで、仲良いまではいかない感じ。ぬらりひょんのような感じ。

堀江:そうした下地がありつつ、ご自身で「こうなればいいな」と思いながら足立を演じられていたとは知らなかったです。あの、どうしようもないエロガキ感。

岡本:あはははは。

堀江:女子からは「足立キモ」とか言われるけど、その女子たちが大人になった時に「なんだかんだ可愛かったよね、足立」っていう思い返され方をするような、そういう存在のように感じていたんです。実際、この座組の女性陣はほとんどの人が足立のことを好きだと思います。

岡本:それは意外だったんです。現場で「足立の雰囲気が好き」と言ってくださる方もいて、最初は「正気か?」って、ちょっと思って(笑)。でも女性声優さんたちは大人なので、足立みたいなタイプがかわいく見えるというか、母性的にカバーしてくれているのかなと。

堀江:リアルタイムで会ってたら「足立キモ」って言ってたかもしれないですけど。

岡本:言ってるよね?

堀江:はい(笑)。

岡本:ただでさえ、足立って言いやすいタイプだし、言われても気にしなそうだし。自分と似てるなって思うところの、もうひとつの部分は精神力が高そうなところ。メンタリティとしては強そう。まあ、泣いちゃってますけど……それでも普通のメンタリティならあまり言えなさそうな言葉というか。

堀江:確かに。

岡本:足立って女子の前でも下ネタをナチュラルに言ってるもんだと思っていたんです。乗りに乗ったら言えるけど、山田という好きな女の子が通りかかったときにマイクロビキニが言えないっていう(笑)。ああ、そこに意識があるんだって気づいてからは、なかなか彼のメンタリティって実は強い人なんじゃん?って。そんな常識的な部分を持っていたのによお言えるなって思いました。

堀江:それこそ23話の選手宣誓のシーンとかも、鋼のメンタルがないと……。

岡本:そうね(笑)。

堀江:絶対山田も聞いているはずだし。

――選手宣誓では結構なことをぶち込みましたね(笑)。

岡本:普通は無理です。学生なので、選手宣誓だけでも本来緊張するはずなんです。その中であれをぶち込み、誰も笑わず、シーンとしていて。それで最後にイキる。鈍感さももちろんあるとは思うんですけど、やっぱり強いんだなと。そこは共通点です。それと、さっき話した陰と陽になれない部分。

――アフレコ現場では堀江さんと羊宮妃那さんのお芝居を皆さんが見守られているような形だったとうかがっています。

岡本:それは信長くんも含めて、みんなそうで。やっぱり、応援したくなるようなふたりだなって思います。山田と市川って。

『僕ヤバ』って人間同士のドラマなんだなと

――さきほど選手宣誓のお話がありましたが、改めて23話のことについてうかがえたらと思うのですがどうでしょうか。

堀江:めちゃくちゃ熱い話だなって。

岡本:確かに。

堀江:心のやりとりをする対象が山田だけではなく、同性ともこういうことができるんだって意外性もありました。『僕ヤバ』って人間同士のドラマなんだなと改めて感じました。

思春期独特の友情、心の交流が描かれていて。その相手がナンパイたちではなくて、足立だったんだなというのも、すごく良かったです。市川自身も逃げずにぶつかり合っていて、彼の性格から考えてめちゃくちゃ大冒険だったと思います。今後の人生においての大切な経験を彼はしたんだろうなって感じるシーンでした。

岡本:ひとつ男が上がった感じがしましたよね。お互いだと思いますけど、特に市川が男らしかったですね。今まではモノローグで思っていた「ふざけるな!」って思いを全面に出してくるっていう。

堀江:確かに、それは初めてですね。

岡本:それはとっても素敵ですし、足立にも刺さっているところですし。見ている人たちにも刺さるところなのかなと思いました。特に後半のBパートのやりとりでは、思春期感もありつつ、真っ向勝負で言いたいことを互いに言い合っていて。足立の中では、いちばん青春したのがそこな気がします。10年後とかに、お酒を飲みながら語れそうな気がする。それくらい良い出来事だったのかなって。ただ、僕が23話でいちばん好きなセリフは山田のセリフなんです。

――ほお!

岡本:(台本をめくりながら)最後の最後の「きょう、カッコよかった」のところ。これ、音で聞くと「今日、カッコよかった」なのか「京(太郎)、カッコよかった」なのか、分からないダブルミーニングになっていて、絶妙にくすぐられてめちゃくちゃ良いなって。もしも後者だとしたら、名前を呼ぶってところも含めてニヤリとすると言いますか。漫画だとどちらかはハッキリわかる部分ですけど、音だからこそ、「どっちなんだろう?」と想像できる部分で、そこが良かったなって個人的に思っていました。

――あっ……お話を聞きながら鳥肌が立ちました。

堀江:皆さんがどういう受け取り方をされるのか楽しみです。市川自身は「カッコよかった」などの形容詞に気がいってたと思うんですけど、山田自身はどさくさに紛れて名前を言うチャンスだなといった照れ隠し的な部分はあったんだろうなと思っています。

――市川と足立の掛け合いはいかがでしたか。

岡本:アフレコ現場の話で言うと「お互いのセリフのテンポでやってください」と言ってもらえたことがありがたかったです。

堀江:わりとボールドも気にせず。

岡本:ほぼほぼ無視して、後半のBパートの掛け合いをやらせてもらってました。

――さすが赤城監督と小沼音響監督ですね。

岡本:皆さん素敵です。ただ、23話で土俵に上がったことで2人の大変さも理解することができました。しっかり作っているからこそ針の穴を通すような繊細な作業で、かつ、「こういうのが欲しいんだ!」というストライクゾーンがしっかりあるタイプの現場なんです。そこにスンと入れないとOKが出ない。そういうイメージです。

――ストライクゾーンが針の穴ほどの小ささ……!

岡本:赤城監督も、小沼音響監督にも、スタッフの皆さんにも、それぞれビジョンが明確にあるんだと思います。(ディレクションを)聞いている時も「あ、これは難しいな」って。

でも土俵に立っている役者のみんなが「どこがストライクか」と探しながら投げている姿もなんか良いんです。ああ、良い現場だなって思います。

――堀江さんもそういったことは感じられているんでしょうか。

堀江:そうですね。心をそのままに表現すればそれが市川だから大丈夫、といったことも言ってくださっているんです。でもたまに、「めっちゃ難しいなこのシーン」という場面もあります。それこそ23話も……どこかのシーンで何テイクか重ねたあと、ついに「堀江瞬だったらどういう反応になるかやってみて」と言われました。

――へえ! それは小沼音響監督から?

堀江:そうです。でもこれはオンエアー見るまで、どのシーンが使われるかは分からないんですけど。さすがに堀江瞬として反応してって言われたやつは使われないような気がするんですけど……。

岡本:どうだろう。それは分からないよ(笑)。

堀江:どうですかね(笑)。心底楽しそうな声でディレクションされていました。

岡本:「1期を取り入れた、“堀江瞬”なら」みたいなところはあるんじゃないかな。

堀江:シンクロしているはずだから、っていう感じですかね……?

――信頼度があるからこその。

堀江:だと良いんですけども(笑)。

――ところで23話もわん太郎もイマジナリー京太郎も登場しますね。

堀江:わん太郎がいるといないとでは、心持ちが結構変わってきて……。

岡本:あ、そうなんだ。

堀江:「ちょっと犬の喉を残しておかなきゃ」って。バウバウ系じゃなく、キャンキャン系なので……そういう難しさがあります。イマジナリー京太郎とはここまで、実は掛け合いはあまりしていないんです。2回くらいかなあ。

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