音楽
『天官賜福 貮』OPを飾るシド「面影」インタビュー

結成20周年イヤーを経て新たな季節へ――その幕開けを彩る『天官賜福 貮』オープニングテーマとなる「面影」で描いた、謝憐と三郎の愛の形/シドインタビュー

2023年に結成20周年を迎えたシド。昨年末にリリースされたトリビュートアルバム『SID Tribute Album -Anime Songs-』や日本武道館公演「いちばん好きな場所」が記憶に新しい中、待望の新作を今春リリースする。

アニメ『天官賜福 貮』日本語吹替版オープニングテーマとなる「面影」をタイトルに掲げた本作。パッケージ作品のシングルとしては実に約2年10か月ぶりとなる。また、トリビュートアルバムと同時にデジタルシングルとして先行リリースされた新曲「微風(そよかぜ)」もパッケージ。

どのような想いで「面影」に挑んだのかをマオ(Vo)、Shinji(Gt)、明希(Ba)、ゆうや(Ds)に聞いた。

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「いちばん好きな場所」での挑戦

――まずは『SID 20th Anniversary GRAND FINAL 「いちばん好きな場所」』の感想をお一人ずつおうかがいさせてください。

マオさん(以下、マオ):結成20周年の集大成となる武道館。ファンの皆さん、スタッフのみんなの期待感、メンバーのワクワク感が混ざり合って爆発して、最高のライブになったんじゃないかなと思っています。

――4月にはライブの配信と放送(2024年4月21日にWOWOWで独占放送・配信)がありますが、楽しみにしていてもらいたことはありますか?

マオ:武道館に来られなかった子もいたので、その子たちにあの日の感動を味わってもらいたいです。思い出を一緒に共有できるってとても素敵なことだと思うので、参加してくれたみんなと一緒に楽しんでほしいですね。

――Shinjiさんはどうでしょうか?

Shinjiさん(以下、Shinji):まずは楽しかったなというところで。自分で言うなよって感じではあるんですけども、シドって大きな会場で映える楽曲が多いなと改めて感じました。ライブハウスももちろん良いんですけど、やはりああいう広い会場だと自分も入り込むことができて。より一層入り込むことができましたね。

――特にそれを感じた曲というと?

Shinji:特にそれを感じたのが始まりの1曲目「紫陽花」です。シドはこの曲から始まることが多くて。最近は「紫陽花」から始まることがなかったんですが、久しぶりに1曲目に「紫陽花」をやると「帰ってきたな」と感じました。

――では明希さんにお話をおうかがいさせてください。

明希さん(以下、明希):アルバムの枚数だけで言ったら10枚以上出しているバンドが、限られた時間の中で、どういう曲をチョイスして、どういうステージを送れば良いのかなと。それは常日頃考えてはいるんですけど、結成20周年の締めくくりということもあって、いろいろなことを汲み取って、より色濃く残る日にしたいなと思っていました。例えば、先ほど話題に上がった「紫陽花」はインディーズ時代からシドの始まりの1曲として印象づいている曲です。だからこそ「紫陽花」をスタートに選んで、メジャーデビュー曲「モノクロのキス」などいろいろな景色を一緒に歩いてきた曲、幅広い人たちがシドを知ってくれたきっかけになった曲たちをメドレーにして。いろいろな要素を入れ込んで、なおかつウザったくしないというか。いろいろやりゃいいってモンじゃないっていうか。ストレートに楽曲を聴きたい人もいるし、そのバランス感覚は大切だなと思っています。

今回はメンバーのソロを4人ともやっていて。挑戦する姿勢を忘れない僕らの新しい形も、提示できたのかなって思っています。あと、完全サプライズの予定になかった「吉開学17歳(無職)」がきたりとか(笑)。インディーズの時の、あのめちゃくちゃな感じ。ライブハウスをかき回していた時のような感じというのも、20年経っても残っている。そういう意味で、みんなが好きなシドの欠片がしっかりと集まっていて、それが歪であれなんであれ、ひとつのオブジェになったライブだったのかなと思っています。

――挑戦と原点が詰まっているライブでもあったと。それはまさに、セットリストからも感じました。

明希:20年やっているとすべての作品の曲を網羅することはできないんですよね。新曲もしっかりと届けたかったので、新旧の楽曲を新たな演出を込みで見せるにはってところで、かなり時間をかけて準備しました。だから終わってホッとしたところも、やりきったな、と思うところもあります。いろいろな感情が入り混じった1日でしたね。ファンの子たちが「楽しかった」と言ってくれたことが、なによりも救いです。

――その感情は現在も残っています?

明希:ずっと残ってますね。ライブの熱が途切れないまま、「面影」を届けられるわけですし、このまま河口湖ステラシアターに持っていこうと思っています。

――ゆうやさんはどうでしたか?

ゆうやさん(以下、ゆうや):いろいろと考えてやったライブだったので、今振り返っても、すごく意味のある1日だったなと思います。ちょっと俯瞰的な意見ではありますけど。

――ゆうやさんはポジショニング的にも後ろから支えていらっしゃるので、より俯瞰で見られているのかなとも思います。

ゆうや:確かにそうですね。それで20年やってきているっていうのもあるし、その中でもこのポジションでしかできないようなこともいっぱいあると思うので。それをどう届けようかなっていうのをずっと考えていました。例えば、この日のために髪型を変えてみようかなとか、本当に些細なことから大きなことまで。ファンの方たちはライブ映像を何回も観てくださっていると思うので、あれがひとつの正解になると思うんです。その曲の中でやっている1コマの動きを改めてちゃんとやってみたりとか。そういう視覚的なところもしっかりと届けられたら良いなと思っていました。

――後ろからメンバーの背中を見ている時というのは、どのような思いだったのでしょうか。

ゆうや:いつも見ている背中ではあるんですけども、みんな生き生きしているなって。みんな出し切れてるなと思っていました。良い締めくくりだと思うんですよね。20周年もですけど、1年も終わりに差し掛かっている中だったので、出し切って、充電はゼロになりました(笑)。

―― 一度ゼロになった状態で。マオさんは武道館を経て、2024年のスタートをどのように迎えられたのでしょうか。

マオ:2023年は20周年に向かっていった部分が大きかったので、その大役は果たせたのかなと。途中のゴールテープは切った感覚がありました。また新しいゴールテープってどこなんだろうと模索しながらも、ただ模索してもつまらないので。1月、自分を高めながら、模索しているような感じでしたね。

――その中で発見というのはありました?

マオ:やはり1日で成し遂げられることってないんだなと、この20周年で学んでいて。コツコツと毎日やれることをやって積み上げていくことが、実は近道なんじゃないかなと思っていて。それをやっていくだけなのかなと。(何かをやる)そのきっかけになるのは、ファンのみんなの声のことが多いんですよね。いろいろな声が届くんです。昔はお手紙だったものが、今はSNSやファンクラブの中にはなっているんですけど、そのやりとりはずっと変わっていなくて。その中で、ファンのみんなの悩みを聞いて「そういう時は、こうして一緒に打破していけば良いんじゃないかな」と考えることがヒントになることもありますね。

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