お酒やバーの雰囲気はもちろん、人間ドラマも楽しめるアニメ――『バーテンダー 神のグラス』寺島拓篤さん×南條愛乃さんインタビュー|主人公・佐々倉溜はまさにカクテルのような“味わい深い”キャラクター
作中に登場したお酒で、お二人が気になったものは?
――まさにお酒を飲みながら見たいアニメといった感じで、キャストの皆さんも収録後に飲みたくなると思いますが、さすがに午前中からは難しいですよね。
南條:毎回おいしそうなお酒が出てくるから、もし夜の収録だったら、登場したお酒を飲みに行けたのに。
寺島:「確かめに行こうぜ」って。
南條:だからあえて午前中の収録にしたのかも?
寺島:そんなことあるかい!(笑) むしろ盛り上げるために夜のほうが良かった説もあるけど。珍しいお酒や聞いたことのないお酒も多かったから確かめたくなるよね。
南條:私、初めて「ブル・ショット」を知りました。
寺島:ビーフブイヨンとウォッカのね。
南條:飲んでみたくて、バーに行った時に「ありますか?」と尋ねたんですよ。そうしたら「作れますけど、ちゃんとスープをこだわって提供しているホテルのバーとか店舗で飲んだほうがいいですよ」と言われて、「そうなんだ」と。なのでまだ飲めていません。
寺島:佐々倉も上のレストランからもらっていたからね。ホテルだったらレストランもあるだろうし。
南條:(そのときに)有名なホテルを紹介してもらったのに忘れちゃった。
寺島:ダメすぎる(笑)。さっき別のインタビューでは帝国ホテルを勧められたよ。インタビュアーさんがバーの雑誌を作っていたそうで。飲めないのに(笑)。
南條:このアニメに関わる人はそんな人ばっかり(笑)。
――南條さんのように尋ねてくる人は通っぽくてバーテンダーも「おっ」となるのでは?
南條:でもお酒のオーダーを尋ねられた時、「甘いのがいいです」とか「さっぱりめで」とかざっくりしたことしか言わないので。
寺島:だけどバーテンダーの人は知識がある人よりむしろ嬉しいかもしれませんよ。会話の入口にもなるし。
南條:バーテンダーさんって横のつながりがすごいらしくて。「○○に行くならあのお店がいいですよ」と教えてくれて、実際にそのバーに行った時「誰々さんから紹介してもらいました」と言うと、結構良くしてもらえますとか。
寺島:この作品でも何人もバーテンダーが登場するから納得できる。
――アニメがオンエアされてから「僕、溜役やってます」と言ったらサービスしてもらえるかもしれませんよ。
南條:「僕、佐々倉やってるんですよ」って。
寺島:そんなセコいことしませんよ。それに「は?」って言われたらショックだし(笑)。
――アニメの中で登場したお酒の中で飲んでみたい、あるいは好きなお酒は?
南條:ブル・ショットです(笑)。
寺島:収録後に実際に飲んだお酒は、マティーニです。森川智之さんなど、事務所の人たちと一緒に地方に行くお仕事があって、森川さんがバーに行きたいと言われたので、「これはいいチャンスだ」と。飲んでみたら結構強くて、「アニメの通り、ご飯を食べないで飲んだらダメだ」とわかった時は衝撃的でした。
あと飲んでみたいのは、スレッジハンマーです。「ガツンと背中を殴られた気がする」お酒ってどんなものだろう?という興味があります。
――寺島さんはお酒が強いんですか?
寺島:強くはないけど、弱くもないです。いつも飲む時はウイスキーのロックかストレートなので。でも照明の暗さで眠くなってしまうので、限界を突破するまで飲んだことはないんです。どちらかというと味わいたいタイプで、ちょびちょび飲むから酔わないのかもしれません。
――南條さんいかがですか? (お酒好きで有名な)茅野さんと飲みに行くということは、強いのでは?
南條:「サントリー ザ・カクテルアワード2023」のゲスト審査員として呼んでいただいた後、まだちゃんとしたバーに行ったことがなかったので、一度見に行きたいなと思って、かやのんと一緒に行ったんですが、一人で何杯飲んだかな?……10杯弱くらい飲んで。
寺島:えっ!? めちゃめちゃ飲んでるじゃん。
南條:マティーニとか出してもらって。私が童顔に見えるからか、バーテンダーさんから「そんなに飲んで大丈夫ですか?」とすごく心配されて。「大丈夫です」と答えて、普通に飲んで、普通に帰りましたけど。
寺島:サラリとした強いエピソード(笑)。
南條:気になるのはさっき挙げたブル・ショットと、あと「山崎12年に水を一滴加えたら味が開く」というセリフがあって、私も試しにやってみたいんですが、バーに行って「山崎12年に水を一滴」とは言いにくいですよね。どうすればいいのかな?
寺島:「この人、何だろう?」と思うだろうね。
南條:作品に出てきたお酒は全部飲んでみたいけど。『バーテンダー』メニューを用意してほしい。
寺島:コラボレーションメニューをね。ハイボールは普段飲まないので本当のおいしいハイボールはまだ飲んだことがなくて。なので溜が「おいしいハイボールです」と言っていたものも飲んでみたいです。
南條:佐々倉さんが本当にいたらいいのに。
――南條さんなら第1話から最終話までに登場したお酒を1日で全部飲めてしまいそうですね。
寺島:確かに。
南條:私も全部飲んでみたい(笑)。「サントリー ザ・カクテルアワード2023」で審査員をさせていただいた時も、「全部飲んでしまうと酔ってしまうので、口にふくむだけでもいいですよ」と言われたんですが、美味しくて普通に飲んでました。さすがに一杯まるまる全部飲んでしまうと酔ってしまうかなと思って、少しずつ飲んでいましたが、全部飲んで審査が終わっても「まだ飲めたな」と。
寺島:それはもう飲みに行っているじゃん。
南條:飲みに行きました。ただおいしいお酒を飲みに(笑)。
――もし佐々倉が実際にいるとしたら、どんな悩みを相談しますか?
寺島:難しいですね。普段から人に悩み相談をするタイプではないので。でも佐々倉が相手だったら話してしまうかもしれない。
南條:こういう職業だから、自分のこと、ワンチャン知っている可能性があると思うと、悩み相談しにくいですよね。
寺島:まずは「僕のこと、知ってますか?」から入って。でも佐々倉は知らなそう。
南條:確かに佐々倉さんはアニメ業界に疎そう。
寺島:僕は悩み相談よりもお酒のことを聞きたいです。人の話を聞きたいタイプなので。タクシーに乗っていても運転手さんにめっちゃ話を聞くんですよ。「この道ってどうなんですか?」とか。
――でも「自分に合うお酒を」とは頼んでみたくなりますよね。
南條:佐々倉さんは、お客様が入店する時から細かく見ているから、寒そうだったら温かいお酒を出してくれるし。なので何も言わずにお酒を出してほしいです。
寺島:急に?
南條:急に。私にぴったりのお酒を(笑)。バーテンダーさんが一番困る注文と言われているのに。
寺島:言うのもちょっと恥ずかしいよね。「僕にピッタリのお酒をお願いしてもいいですか?」って。「どんな心積もりで言っているんだ」と自分にツッコミを入れてしまうと思う(笑)。でも確かにどんなお酒を出してくれるのかは興味がありますね。
南條:「何系の感じで」とオーダーしたら何を出してくれるのか。
寺島:でもさっきの話で南條さんがバーテンダーさんに言われたみたいに、パッと見ではわからないわけじゃん。
南條:「大丈夫ですか?」と言われちゃったくらいだから(笑)。
寺島:人は見かけによらないので、少ない情報からどんなお酒を出してくれるのかは興味がありますね。
お酒が飲める、飲めないに関わらず楽しめるアニメ。佐々倉のバーに行った気分で癒されてほしい
――最後に、皆さんへメッセージをお願いします。
寺島:お酒を飲めない方でも人間ドラマや、アニメーションとしての美しさを楽しめると思います。お酒が好きな方は、お酒の知識に「へ~」って思ったり、自分の想い出と重ね合わせながらカクテルを楽しめると思います。いろいろな方に楽しんでいただいて、お酒やバーに興味を持っていただくきっかけになれば嬉しいです。ぜひ楽しんでください。
南條:私も最初はバーというと洗練された大人の人しか行けない場所というイメージがあって、興味はありつつも、気軽に行ける場所とは思っていませんでした。でもこの作品がきっかけで、バーに足を踏み入れたら、すごく居心地がいいし、おいしいお酒と楽しいお話があって、「ふらっと行っていい場所なんだな」という発見があり、そこから自分の世界も広がった感じがします。
この作品をきっかけに、「自分もバーに行ってみようかな」とか「アニメで出てきた、このお酒はどんな味かな?」と思ったら、実際にバーに行ったり、お酒を飲んでみてください。あっ、お酒は20歳になってからですよ(笑)。
寺島:そこは大事だね。
南條:この作品はバーの雰囲気も見事に表現されていると思いますし、夜に放送されるので、美和たちと一緒に、佐々倉さんのバーにいるような気分で、癒されてほしいなと思います。
作品概要
あらすじ
⼀⽅、東京に開業したホテル・カーディナルでは、オーナーの来島泰三がカウンターバーに⽴つバーテンダーの人選に拘り、相応しいバーテンダーが⾒つからずオープン出来ずにいる。泰三の孫・美和を含む営業企画部のメンバーはバーテンダー探しに奔走。佐々倉に出会い、彼こそが相応しいとスカウトするが、はぐらかされてばかり・・・。
はたして、カーディナルのカウンターバーはオープンできるのか、溜の決断とは・・・。
キャスト
(C)城アラキ・長友健篩/集英社・Bar hoppers