冬アニメ『俺だけレベルアップな件』連載インタビュー:監督 中重俊祐|監督2回目ながら出来上がったものも想像以上で、とても刺激的な仕事に
『ピッコマ BEST OF 2019』マンガ部門第1位を受賞した人気SMARTOON(縦読み電子マンガ)『俺だけレベルアップな件』のアニメも先日、謎と今後への期待を膨らませたまま幕を下ろしました。
先日放送された12話では、転職クエストでの戦闘中に大きなダメージを負った旬の前に、最弱と呼ばれた頃の自分の姿をした幻影旬が現れる。かつての自分の幻影に惑わされながらナイトとの苦戦も続く中、旬はデイリークエスト未完了という知らせと共にペナルティゾーンの砂漠に転送され、間一髪で絶体絶命の難を逃れた。
砂漠に出現した巨大ムカデたちとの戦闘でさらなるレベルアップを遂げ、HPも回復させ装備も整えた旬は、ペナルティゾーンの制限時間が0になったところで、またナイトたちが待ち構える転職クエストに戻された。
パワーアップした旬だったがナイトを倒しても手応えを感じないことに違和感を覚え、ナイトたちを操っているのは魔法使いだと見破る。そして次々と魔法使いを倒し、ついに転職クエストを終えた。
転職クエストの結果、与えられた新たな職業は「ネクロマンサー」だった。旬は熟考の末に受け入れると、更に転職クエストで得た大量のポイントによって、「影の君主」へと二次転職を果たした。
死亡したものからマナを抽出し、召喚できる「影の抽出」のスキルを会得した旬は、苦闘を繰り広げた紅血のイグリットの「影の抽出」に成功。同じように「影の抽出」によって従えた影のナイトや影の魔法使いが旬の前にひざまずく。
一方旬が激闘を繰り広げている間に、架南島威力偵察作戦が決行され、最上や雫たちが架南島上空に到着していた。海に浮かぶアリ型のモンスターに羽が生えているのを目の当たりにし、架南島のアリたちが進化していることに衝撃を受けるのだった。
『俺だけレベルアップな件』のアニメ化を記念して、インタビュー連載をお送りしてきましたが、こちらも今回で最終回。今回はご登場いただいたのは、監督の中重俊祐さんです。アニメを制作される際に意識されたことや制作上の裏話、印象に残っているエピソードなどご紹介いただきました。
前回の記事
ハイエンドな映像が求められていると思い、実写映像的な構図や色味・撮影処理を使うよう意識
――『俺だけレベルアップな件』の原作を読んだ感想や魅力を感じた点をお聞かせください。
監督 中重俊祐さん(以下、中重):すべてのページがフルカラーのカッコいい絵で描かれていることに驚きました。それに反して重くなりすぎずサクサクと軽快に読み進められるのが魅力かと思います。
――『俺だけレベルアップな件』の監督をされることになった経緯や決まった際のお気持ち、そのとき感じたことなどお聞かせください。
中重:A-1 picturesの金子(敦史)さんとは以前から仕事のお付き合いがあり、そのタイトルでの仕事内容から「この作品が合うのではないか」とオファーをいただきました。お話をいただいた際は「監督2回目にして、ここまでのアクション作品は重いなぁ……」と思いました。が、蓋を開けてみればスタッフの皆さんのモチベーションが非常に高く、出来上がったものも想像以上で、とても刺激的な仕事になり、よかったです。
――『俺だけレベルアップな件』をアニメ化する際に意識されたことや制作スタッフと話したことについてお聞かせください。
中重:この作品では昨今流行りのハイエンドな映像が求められているのかなと思いました。なので漫画的な表現は極力排し、実写映像的な構図や色味・撮影処理を使うよう意識しました。
ですが、それではどうしても作業カロリーも映像自体も重たくなり過ぎますし、それぞれのセクションの持ち味を殺しかねません。そこの折り合いをつけるために各セクションのスタッフ様方とは打ち合わせの場や映像チェックの場では話し合いを重ねることになりました。