『逃走中 グレートミッション』にお笑いトリオ「ハナコ」が出演! 本格的なアフレコに初挑戦して感じた、コントとアニメの演じ方の違いとは?/インタビュー
コントとアニメ、演じ方の違いとは?
――ハナコのみなさんは演技派コント師として定評がありますが、コントとアニメのアフレコで、どこが違いましたか?
菊田:「なにっ!?」とか「えっ!?」とか、一言で感情を表現しなきゃいけないところです。実際にやってみて、「声優さんって、めっちゃ大変だな!」と思いました。
――コントでも短いセリフ自体はあると思いますが。
菊田:コントは表情と身体の動きを使えるので、まだ伝えやすいんです。ですがアニメは声だけ。(アフレコで)どんなに動いても、どんなに顔を作っても伝わりません。声だけで感情を全乗せするのって、めちゃくちゃ難しいなと思いました。
秋山:うんうん!
菊田:一度「たじろぐシーン」があったのですが、たじろいでるさまを声だけで表現するのが、とても大変でした。とっても勉強になりましたし、いい経験をさせてもらったなと思いました。
秋山:そうだよね。何かを表現するときに、これほどに“声だけ”に集中することはありませんでした。僕はひとつのフレーズなのに、監督さんから「驚きながら、嬉しい気持ちも入れてください」と言われたんです。
――難しい!
秋山:そういうのはコントで考えたことはなかったと思います。声優のみなさんは、声だけでいろいろな表現をしてすごいなと思いました。本当に難しいです。
――岡部さんは、コントでは表情が大きな武器ですが、アニメの収録では使えませんね?
岡部:そうなんですよ(笑)。顔芸を封印されてしまったので、僕にとっては大きな痛手でした。しかも「自分だったらこうする」ではなくて、アニメには絵があります。キャラと自分の声を合わせていく作業が初めての経験でした。僕の声が強すぎて、絵と合っていなかったら浮いてしまいますし。いかに絵に合わせながら、そこに感情を乗せられるかが難しかったです。
――アフレコに先駆けて、事前に取り組んだ練習などはありますか?
秋山:それが……準備しようとしても、まったくわからないのでなにもできませんでした。なのでスタジオに入って、監督さんの指示を頼りに収録しました。
岡部:そうだよね。ブースのなかでダメ出しを受けながら録った感じです。
――収録で印象に残っていることはありますか?
菊田:あります! 自分のしゃべるタイミングで、画面に僕のキャラクターを示す「マフィアC」の文字(ボールド)が出てくるんです。
秋山:文字が出ている間にセリフを言わなきゃいけないアレね。
菊田:「表示された!」と思ってセリフを言ったんですが、「マフィアC」の文字がすぐに消えちゃったんです。ほんの一瞬でした。「この時間のなかで、このセリフを言わなきゃいけないのか!」と焦りました。
秋山:アニメだから、言わなきゃいけない尺が決まっているんだよね。
菊田:アニメのアフレコはいろいろ気にすることが多くて大変でした。時間を気にしながら演じなきゃいけないんです。
秋山:そうだね。セリフの尺が決まっているなんて、他の仕事ではあまりないからね。
――コントも尺が決まっていると思いますが、アニメとは違いますか?
秋山:コントだったら、1~2秒くらいずれてもあまり問題ありません。ネタ尺自体は多少前後してもいいですから。でも、アニメは台本に尺がしっかり決まっているので、とても緊張しました。
菊田:しかもリテイクで何回も同じセリフを録り直していると、ゲシュタルト崩壊じゃないですが、わけわかんなくなってきます! あるセリフで監督さんに「2個前がよかったから、あんな感じでお願いします」と言われたとき、思わず「2個前は覚えてないです」って言っちゃいました(笑)。
一同:(笑)
菊田:数えてないですが、あのときはたぶん10回以上やっていたと思います。めっちゃ疲れました。
――お笑いの単独ライブとアフレコ、どちらが疲れましたか?(笑)
秋山:さすがに単独ライブのほうが疲れますね(笑)。
菊田:そうね(笑)。でも、ライブとは違う不思議な疲れがきました。
岡部:菊田が一番セリフが多かったしね。ダントツに多かったよね?
秋山:うん。僕らのコントと真逆だね(笑)。
――アフレコを経験して、勉強になったことはありましたか?
秋山:声色だけで感情を表現できるようになったら、こんなに強いことはないと思いました。まぁ……僕らが会得できるかどうかは未知数ですが(笑)。この技術を持ち帰れたら、コントでも武器になるなと思っています。まだアフレコは続きますから、今後の自分に期待しています。
岡部:うんうん。声の出し方、感情の乗せ方を意識するってことは、コントに活かせるといいなと思いますね。
秋山:それに、ラジオコントをすることもあるので、声優の経験は直結するかもしれません。いままでは普段のコントと同じようにやっていましたが、今回の経験から表現の幅が広がるかもしれません。
――アフレコ中にアドリブを入れる余裕はありましたか?
菊田:僕は日常のリアクション的な意味のアドリブのパートならありました。
岡部:僕はトレネッテが焦っているシーンで、よりたどたどしくやってみたら、「それいいですね!」と褒めてもらえました。アドリブらしいアドリブはそれだけで、自発的に「アドリブを入れよう!」なんて余裕はぜんぜんありません(笑)。
秋山:いっぱいいっぱいだよね。
岡部:3人がアメリカを横断しきるまでに、どこかでアドリブを入れられたらいいなと思います(笑)。
――今後も声優をやってみたいですか? それとも、もうこりごりでしょうか?(笑)
岡部:「こりごりです」なんて言うわけないじゃないですか(笑)。お話をいただけるなら、もちろんやってみたいです。
菊田:難しいけど、楽しいよね。やりがいを感じます。
秋山:もしオファーをいただけたら、自信にもなります。めちゃくちゃ嬉しいです。
ハンターから逃げるヒヤヒヤ感が『逃走中』の醍醐味
――作品についてもお話を伺いたいと思います。本作の魅力はどこでしょうか?
岡部:逃げているときのアクションシーンが、迫力があるしハラハラさせられます。
秋山:物語と冒険の舞台のスケールの大きさが魅力だと感じました。
岡部:それと、アニメ版のハンターが、あんなにタフで強敵なところに驚きました。
秋山:そうね。リアルであんなのに追われたら……。ほんとに強敵だと思います。
菊田:バラエティー『逃走中』の魅力はハンターから逃げるヒヤヒヤ感なんです。
秋山:菊田は『逃走中』の大ファンだからねぇ(笑)。
菊田:それがアニメになって、ヒヤヒヤ感がより強く描かれていると思います。アニメって、何でもし放題というか、ムチャできるじゃないですか? 生身の人間じゃできないことを見せられると、「こんなことできるんだ!?」と驚きます。バラエティー『逃走中』ももちろん面白いですが、アニメ版はアニメ版ならではの楽しさがあるなと感じました。
――最後に、放送を楽しみにしているファンのみなさんにメッセージをお願いします。
秋山:初めてのことが多くて手探りでアフレコをしています。ハナコが一丸となって、一生懸命取り組んでいます! 僕たちの演じるマフィアの3人は、きっと魅力的なキャラクターになると思うので、放送を楽しみにしていただきたいです。
岡部:『逃走中 グレートミッション』は、自分が子供のときにワクワクしながら見ていた日曜日の朝のアニメ枠です。なので、ひとりでも多くの子供たちにワクワクを届けられたらいいなと思って演じています。お楽しみに!
菊田:僕は『逃走中』というコンテンツが大好きなので、アニメ版にも携われて嬉しいの一言です。声優初挑戦なので、作品の邪魔をしないように、頑張って演じさせていただいています。アニメファンはもちろん、『逃走中』のファンのみなさんに、ぜひ見ていただきたいです。よろしくお願いします。
作品概要
あらすじ
月面コロニーでは、あるゲームが大流行していた。
その名は『逃走中』。
限られたエリアの中に解き放たれた逃走者たちが、制限時間のカウントがゼロになるまで、追跡アンドロイド“ハンター”から逃げ切れば、高額賞金を得られるというエンターテインメントサバイバルゲームだ。
ある者は一攫千金を夢見て、またある者は自分の力を試すために、『逃走中』に挑む。
コロニーの下層エリアに住む少年・トムラ颯也(そうや)もまた、運命に導かれるように、憧れの『逃走中』の世界へと足を踏み入れる。
このゲームを手がける『クロノス社』の若きゲームマスター・月村サトシは、そんな颯也に興味を抱く。
いまだかつてない壮大なステージに転送された颯也は、襲い来る“ハンター”の脅威や過酷なミッションに取り組みながら、くせ者ぞろいの逃走者たちと共に、逃走成功を目指して“本気”で走り始める!
キャスト
(C)フジテレビ・東映アニメーション