春アニメ『夜桜さんちの大作戦』川島零士さん(朝野太陽役)×本渡楓さん(夜桜六美役)が考える大人から子どもまで一緒に楽しめる作品の魅力/インタビュー
『週刊少年ジャンプ』にて好評連載中! 権平ひつじが描く愛と笑いのスパイ家族コメディ『夜桜さんちの大作戦』がTVアニメになって、4月7日から放送開始! 日曜の夕方5時から放送で、大人も子供も、一緒に楽しめるような作品になっています。
今回は川島零士さん(朝野太陽役)と本渡楓さん(夜桜六美役)に、子供たちにも人気が高いという本作の魅力について、語ってもらいました。
王道の熱い主人公と、物事を俯瞰で見てしまうヒロイン
――原作を読んで、面白いと感じた部分を教えてください。
夜桜六美役 本渡 楓(以下、本渡):子供の頃『週刊少年ジャンプ』を読んで夢をもらっていたので、出演が決まったときは、すごく嬉しかったです。
個人的に、1人1人が能力や特技を持っていて、それを活かして戦うのが、すごく好きなジャンルで、「わ〜、私もそれやりたい!」なんて思っていたら声優になっていたくらいなんです。そのくらいドンピシャな作品だったので、原作読んだときから携わりたい!と思っていました。
でも、私が演じる六美は、能力というよりは夜桜家10代目当主なので、ちょっと違うんですけどね。周りの兄妹が、カッコいい戦闘シーンを見せながら六美を守ってくれるので、アフレコ中は個人的に昂るものがあり、「いいなぁ、私もやりたいなぁ」ってちょっと思ったりはしていました(笑)。そういう戦闘シーンは、まず最初にグッとくるポイントでした。
朝野太陽役 川島零士(以下、川島):『週刊少年ジャンプ』って、僕らの脳の一部分を占めているじゃないですか。なので、ジャンプ作品の主人公をやれるとなって嬉しかったです。この作品は、すごくストレートな内容だと僕は思っていて、僕らが子供の頃に見てたような、いい意味で複雑すぎない、王道な感じがしたんですね。夜桜家のスパイのアイテムだったりも、ワクワクするようなものばかりだったので、そういう王道さは魅力だと思います。あと、子供の頃に感じたようなワクワク感を、どうやったら今のキッズたちに突き刺さるように演じられるんだろうと思いながら、台本を読んでいました。
――『週刊少年ジャンプ』では、どんな作品が好きだったのですか?
本渡:私は『NARUTO -ナルト-』が本当に好きでして……。我愛羅が一番好きなんですけど、あとは「暁」という抜け忍たちが好きで、どうやら闇を抱えた人が好きみたいなんです(笑)。子供の頃は『NARUTO-ナルト-』の世界に行けると信じていたし、中二病も出ちゃうぐらい好きだったので、もはや黒歴史とは思ってないぐらい、良い歴史というか。胸を張って「良い歴史」になっています。
川島:たくさんあるから何にしようかな……。『アイシールド21』は、中学生の頃にすごくハマっていた漫画です。友達の中でもめちゃめちゃ流行ってて、アメフトのボールを買って堤防でやっていました。結構ガチでやりすぎて、修学旅行前日に鎖骨を折ったんですよ(笑)。しかも、水泳部から転部してラグビー部に入って……。
本渡:いいな〜、忍者部があれば入ったのに。
――中学だと、アメフト部はなかなかないからラグビー部だったんですね。
川島:僕としては「デビルバットゴースト」(主人公・小早川瀬那の必殺技)がやりたかったんです。漫画と漫画の間のところに、どうやってステップを踏んだら「デビルバットゴースト」ができるのかっていうのが描いてあって そのステップを練習して、できてる!と思ったら、人を入れて練習するんですけど、だいたい捕まるんですよね。だから、あれはホントにできるのかな?って思っています(笑)。
本渡:真似たり、練習したりするよね! 私も砂を動かせると思ったけど、まず動かなかったので、念力の仕方を調べたりしてたなぁ。
――誰もが通る道ですね(笑)。では、お二人が演じているキャラクターについて、教えてください。
川島:朝野太陽は、家族を事故で亡くしているところから物語が始まっているんですけど、それに向き合おうと思っても、なかなか向き合えなくて、塞ぎ込んでしまうところがあったんです。でも、それを受け入れて、次また同じこと……つまり大切な人を亡くすという気持ちを味わうことがないように、っていう気持ちを軸に持っている、すごく優しい人だと思っています。
だから彼って、周りの人を傷つけないために強くなるんですよね。自分が強くなりたいから強くなるというよりも、守るための力を求めているので、優しい奴なんです。
本渡:最初は、本当に人見知りで、人と接するのが怖かったんですよね。自分の過去のこともあるから零士くんが言っていた通り「守りたい」だったり「これ以上大切な人を誰も失いたくない」っていう気持ちがすべてで、それがあるからいろんなことを乗り越えられるんです。だから本当に心が強いなと思いました。
川島:折れないよね。
本渡:折れない! それまでは失うのが怖いし、トラウマもあるから、大切な人を作りたくないとか、もう失いたくないっていう気持ちがあったけど、それを乗り越えたら、本当にどこまでも真っすぐで、熱い人でした。
――演じるときに心がけていたことはありますか?
川島:すごく王道の主人公で、ど真ん中のど真ん中過ぎて、言ってしまえば、男性声優はみんなある程度太陽を演じることができると思うんです。一度は練習するし、ボイスサンプルにも絶対入れるやつなので。
だから、その役をいざ自分がやるとなったときに、作品も、すごくピュアで真っすぐだから、いろんな役者の方々を、「これは敵わんわ」と納得させられるような熱いものを出さなければいけないと思いました。
いろんなジャンプアニメを見てきて、吸収してきた中での、僕の思っている今の時代のど真ん中の主人公像、みたいなところを出すにはどうしたらいいのか。そこを、太陽じゃないですけど、折れずに苦悩して、少しでも前に進んでいくことを大事にしていきました。絶対に後ろに引かないぞ!っていうジャンプ主人公らしさを、重ね合わせながら演じていましたね。
――六美についてはいかがでしょうか。
川島:他の兄妹に特殊能力がある中、覚悟で戦ってるよね。
本渡:自分が当主であるということで、もちろん守られはするんだけど、守られるだけの人じゃない。覚悟とか心が強い人だなって思います。あとは太陽のことを支える! そうするっていう決意。そしてそれを実際に行動に移せる人なんですよね。でもやっぱり個人的に難しいな、簡単じゃないなって感じたのは、すべてをある程度俯瞰して見ていられる人であるところで。
たとえば、お話の最初のほうで、太陽と一緒にいるときに襲撃を受けるんですけど、太陽は最初の頃は、慣れていないからびっくりするんです。ただ六美は、ある程度日常のうちで、当主は周りから狙われる境遇だからこそ、すごく達観しているんですよね。ある程度物事を冷静に見ていられるところが、結構お芝居するとき、自分の中で難しくて……。
六美と同じように見ていたいなと思っていたんですけど、今までの自分のお芝居の仕方が、のめり込んで、素直にすべての感情をバンと投げるやり方をしてきていたんです。だから今回、六美とご縁があった中で、自分の中で新しいお芝居の仕方になるのかなと思いました。のめり込みすぎないというか、のめり込み過ぎてもいいんだけど、ちゃんとその場の他のものを視界に入れながらやるような感覚だったので、自分の中では実は挑戦だったんです。
――確かに、感情のままに突っ走る役のイメージはありますね。
本渡:六美ちゃんが、すごく尊敬する子なので、自分もそういう風に冷静になりたいなっていう気持ちもありました。
川島:立ち位置が、難しいよね。
本渡:全力で楽しむとかも、もちろん楽しんではいるけど、どこか冷静そうに感じるときがあるんですよね。学校の生活でも、友達と普通にしゃべりながらも、いろんなことに気をつけている。でも、別に楽しいのは嘘じゃない。うわべではないんだけど、本心過ぎるわけでもないというのが、すごく絶妙な子だなと思います。
川島:その前提って何なんだろうね。当主だからなのか、みんなを守るっていうスタンスがあるからこその俯瞰なのか……。
本渡:でも、ひとつの理由じゃないんだろうなって思います。自分の母親とか、それまでの人たちのようになりたいけど、自分はまだそこまでではないとか、いろんな気持ちがあるんだろうなぁって思います。あとは使命感とか。
――太陽は、六美を守りたいという思いがベースにあるんでしょうね。
川島:そうですね。ベースとして、太陽が立ち直れたのは、六美がずっと支えててくれていたことに気づいたからなので、だからこそ立って、今度は俺が六美を守る!っていうところを大きな軸としているし、もうそれがアイデンティティみたいなことになっているんです。
だから、もし六美が敵にやられてしまったりしたら、太陽はもう立ち直れないんじゃないかなって思うんですよね。最後のライフで、残機0の状態なんだろうなって。そのくらいの覚悟を持って、本気で守る気持ち。残機3ではなく、一度でも失敗したらゲームオーバーだというくらいの覚悟だと考えると、にじみ出てくるものも違うだろうと思っています。
――確かに、それくらいの気持ちがないと、あんなに強くはなれないですしね。
川島:そうなんです! あんなに強くならないですよ。本当にすごい。