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東映アニメーション欧州代表が語るアニメビジネスの現在地【インタビュー】

『ミラキュラス レディバグ&シャノワール』日本展開5周年記念 TOEI ANIMATION EUROPE 代表・河内隆次さんインタビュー|日本アニメを海外で成功させるために必要な条件とは?

 

『ミラキュラス』誕生の裏側

ーー『ミラキュラス レディバグ&シャノワール』の企画はどのような経緯で始動したのですか。

河内:最初に見たビジュアルにひと目惚れしたんです。

制作会社のZagtoon(ザグトゥーン)の社長(ジェレミー・ザグ氏)が、格好いいスチール絵を見せてくれました。

彼が、日本アニメのファンで、日本展開という目標を持っていたこともあり、自分たちも一緒に行動するパートナーを探していたので、「一緒にやってみましょうか」とスタートした感じです。

ただ、始めてみると、国ごとの意見の違いで様々な問題が発生したんです。当初は2D作品として企画が進んでいたのですが、途中で「3DCGに制作方式が変わる」という大きな転換点もありました。

 

 

ーー2Dから3Dに変更された理由は何だったのでしょうか?

河内:当時、Zagtoonは新しくできた会社でしたし、我々としても初めてのことが多かったので、各テレビ局へ一緒に営業してまわったんです。その中で、放送局から「3Dじゃないと作品を買わない」という意見を何度かいただきまして。そこで方針の変更があり、弊社の関わり方も大きく変わり3DCGの制作からは外れることとなりました。

ーーただ、制作から外れた後も、東映アニメーションと作品の関わりは続いていますよね。

河内:Zagtoonの『ミラキュラス』に関する初期の世界展開は、弊社も加わりながら、アニメ開始と同時に玩具が展開される戦略を一緒に練り上げました。最終的にディズニーとも組ませていただくことになり、今では作品自体もヒットして、ヨーロッパの子ども向けアニメの中で人気No.1の作品になっています。

一方、Zagtoonには「アメリカにも展開したい」という思いもあり、ニコロデオン(主に児童向け作品を放送するCATVチャンネル)でも放送して視聴率も非常に高かったのですが、諸般の事情により終了となってしまいました。昨年からアメリカのディズニー・チャンネルで展開されることになったので、ここから流れが変わるんじゃないかなと。

 

 

タッチポイントを増やすためにあらゆる手を尽くした

ーー2019年以降にスタートした日本展開についてはいかがですか?

河内:全世界で『ミラキュラス』が成功した後、日本展開の足掛かりとして、他の国と同様にディズニー・チャンネルでの放送がスタートしました。ただそこから商品展開が続く…ということはスムーズにはいかずでして。これまでアジアやヨーロッパでやってきた時間をかけて地道に活動するやり方を逆に日本に持ち込めればと考え、2022年4月より地上波テレビ東京系列での放送も開始しました。結果、ファミリーの皆さんに観ていただく機会は増えたのではと思います。

今後の戦略としては引き続きタッチポイントを増やし、長い時間をかけて多くの方々に作品を知ってもらうことが重要だと思っています。焦りがないわけではないですが、ゆったりとやっていきたいです。

 

海外アニメに感じる文化の違いと日本へのリスペクト

ーーいわゆる日本アニメと海外アニメの違いについてはどう考えてますか?

河内:海外の作品はセリフ量が非常に多いんです。加えて、『ミラキュラス』に関しては、放映局の厳しいチェックも入ります。放映に準拠した演出や表現に調整していく必要がありますし、子どもも見る作品なので、ふさわしくない表現はテレビ局からはねられてしまいます。

 

 

ーーしっかりとしたレギュレーションがあるんですね。そもそも海外アニメを日本で放映する場合、どのような工程が必要になるのでしょうか。

河内:日本のテレビ局は翻訳の設備が整っているので、テレビ局にダビングまでの作業を進めていただき、それを弊社が最終チェックをするという流れになります。もうひとつの方法としては、番組を購入した企業のスタジオで作る場合もあります。『ミラキュラス』は、前者のパターンで放映局に翻訳やダビング作業をしてもらっています。

ーーそういった工程を経て放映されているんですね。放映後のグッズや商品化については日本と海外の違いを感じる部分はありますか?

河内:自分の中で「話題になる」と「商売になる」には、大きな差があります。最近はコンテンツがとてつもないスピードで消費されていくので、商品化まで辿り着く作品が少なくなっているんじゃないかなと。日本で「缶バッチを作りましょう」という流れになっても、海外は商品自体が作られないとか。そういった市場環境の違いも感じます。日本には数多くのアニメグッズがありますね。

 

 
逆にそんな日本のマーケットだからこそ、海外の人たちは日本に作品を入れたがっているんです。私の知る限りでも、日本市場への参加ニーズの話はたくさん耳にします。ただ、やはり日本という特殊なマーケットのことをよく知らないんです。私が相談を受ける際は、広告宣伝や放送媒体の構造について説明しつつ、「日本を選ぶのか、アメリカを選ぶのか」という話をしています。それによって、作品のテイストが大きく変わるんです。

『ミニオンズ』のような世界レベルでの大ヒットコンテンツも稀に生まれますが、全世界で当たる作品というのは中々ないですよね。『ミラキュラス』に関しても、3Dに変わったタイミングで「日本は一旦諦めましょう」という話をしていました。

ーー 一方で海外アニメから、日本作品の影響を感じることも多いですよね。

河内:海外で2000年頃に『ドラゴンボール』や『セーラームーン』を観ていた人たちは、かなり作品に影響を受けただろうなと。30代、40代の人たちにはアニメ好きが多いイメージです。クリエイターの中にも、日本のアニメをリスペクトしている人たちがたくさんいて、日本のアニメの良いところを見習いつつ、自分たちの文化に取り入れようとしています。

 

最終的には“時間”が重要になる

ーー海外と日本におけるアニメファンの違いについては、どのように感じていますか。

河内:コレクターショップに行くと、日本のアニメ作品が多数扱われているので、それを主なファン層とするなら、そこまで違いはないんじゃないでしょうか。『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』のことも知っているし、「あの作品が熱いよね!」と話している内容はほとんど一緒です。

日本のアニメ市場は、ある程度上の年齢層がターゲットになっていますが、ヨーロッパ市場では、4歳〜10歳の子どもたちを狙っています。作品を成功させるにはマスマーケット(大手のショッピングモールなど)の開拓が大変重要になります。

ーーヨーロッパ市場において、子供向け作品以外がマスマーケットに入るのは難しいのでしょうか?

河内:そうですね。バイヤーに対して、「この作品が子どもに人気がある」とアピールする必要があります。4歳〜10歳が商品を買う状況にならないと、マスマーケットには辿り着かない。一方で、日本アニメーションの多くは、現地のバイヤーに16歳くらいが対象だと思われています。そういった作品は、ケーブルTVや衛星放送でしか取り扱っていただけません。逆に言うと、地上波入りができれば、よりマスマーケットに入れる可能性が高くなるという構造になっています。

 

 

ーー折角の機会なので、河内さんから見たヨーロッパ圏のマスマーケットの状況についても伺いたいです。

河内:現地のマスマーケットには、日本のコンテンツは数えられるくらいです。ただ、最近では日本のアニメーションも知名度が上がってきているので、日本アニメ・ゲームコンテンツ全体で「マスマーケットにたどり着けるか」という局面を迎えています。この局面を打破できれば、より日本産業全体として大きな展開がヨーロッパ圏でも可能なのではと思われます。

ーーキャラクター商品を手に入れやすい日本に住んでいると、実感しづらい感覚かもしれません。

河内:日本にいると、「キャラクターが近くに居て当然」という感覚になってしまいますよね。海外からの目線では、「市場全体で、よくぞここまでキャラクタービジネスを育てたな」と。日本は、世界的に見ても1、2を争う規模のマーケットだと思います。

ーー海外から見れば、日本のアニメ産業は未だに巨大な市場なんですね。

河内:大きいですよ。ただ、競合があまりにも多いんです。今は1作品に対して、3000個だった商品が分散して1000個になっている状況なので、ひとつひとつを見たら小さく感じてしまうのでしょうね。

 

 

ーー多岐にわたるお話をありがとうございます。最後になりますが、河内さんの今後の目標や海外アニメに対する夢について、お聞かせいただけますか。

河内:原点に戻って、その国にあったマーケティングや活動を展開していこうと考えています。一口にヨーロッパと言っても、国ごとの状況がかなり違うので、「各国に合わせてどうしていくのか」という悩みは深いですね。

やはり最終的には“時間”です。日本国内でもヒットする作品は一握り。そのいくつかが海外市場でもう一度戦うことになるので、ゆっくり育てていかないといけません。その時間を早めるために露出を増やしていくわけです。

日本における『ミラキュラス』も然り。今ミラキュラスを支えてくれているパートナーや応援して下さっている皆さんとともに、これからも時間をかけて育てていきたいと思っています。

 

『ミラキュラス レディバグ&シャノワール』BD-BOX シーズン3 発売 &「東映アニメチャンネル」にて配信開始予定!

アニメ「ミラキュラス レディバグ&シャノワール」シーズン3が待望のブルーレイボックス化!2024年7月24日発売予定!
映像特典として、TVスペシャル「ミラキュラス・ワールド/ニューヨーク ユナイテッド・ヒーローズ」と 「ミラキュラス・ワールド/上海 レジェンド・オブ・レディドラゴン」を収録!
また、2022年に発売したアニメ「ミラキュラス レディバグ&シャノワール」シーズン1&2が早くも全話いっき見ブルーレイで、2024年8月&9月に再登場予定です!

さ・ら・に!見放題サービス「東映アニメチャンネル」にてシーズン1の配信を開始予定!

◎BD-BOX商品情報
「ミラキュラス レディバグ&シャノワール」BD-BOX シーズン3
■発売日:2024年7月24日(水)予定
■価格:税込13,200円(税抜12,000円+税)
■商品販売ページ
https://www.animate-onlineshop.jp/pn/pd/2441328/

「ミラキュラス レディバグ&シャノワール」全話いっき見ブルーレイ(全2巻)
■発売日:シーズン1 2024年8月23日(金)予定
     シーズン2 2024年9月27日(金)予定
■価格(各巻):税込9,900円(税抜9,000円+税)
■商品販売ページ
・シーズン1
https://www.animate-onlineshop.jp/pn/pd/2441329/

・シーズン2
https://www.animate-onlineshop.jp/pn/pd/2441330/

◎配信情報
■見放題サービス『東映アニメチャンネル』
■「東映アニメチャンネル」サイト:
https://www.amazon.co.jp/gp/video/storefront/?benefitId=toeianimejp&ref=dvm_ptm_off_jp_ac_c_toeianimejp

■配信スケジュール:
Season1_2024年7月1日(月)~ 予定

「AniBirth」店舗にて新商品発売&ノベルティ配布開始!

AniBirth渋谷PARCO店・AniBirth心斎橋パルコ店にて6月7日(金)よりミラキュラス新商品発売&ノベルティ配布開始いたします!

「おてだま」シリーズにマリネット、アドリアン、レディノワール、キャット・ブランが新登場!
ミラキュラスグッズを含む2,200円(税込)お買い上げ毎にAniBirth限定ステッカーをランダムでプレゼントいたします。
さらに、ミラキュラス公式オンラインストアにて販売中の「ミラキュラスぬいぐるみ」がAniBirth店舗にて発売開始いたしますので、この機会にぜひお越しください!

◎開催概要
■開催期間:2024年6月7日(金)~
■ノベルティ:ミラキュラスグッズを含む2,200円(税込)お買い上げ毎にAniBirth限定ステッカーをランダムでプレゼント!
すべて集めると裏面が1枚のイラストになります!
※お渡しの柄はランダムとなります。お選びいただけません。(全9種類)
※なくなり次第終了となります。

◎新商品情報
「ミラキュラスおてだま」(マリネット、アドリアン、レディノワール、キャット・ブラン)
■価格:990円(税込)
■サイズ:約60×60×80mm

「ミラキュラスぬいぐるみ(海外販売品)」
■価格:2,310円 (税込)
■サイズ:高さ約24cm
※ミラキュラス公式オンラインストア(https://miraculous.official.ec/items/79383274)でも販売中の商品となります。

■AniBirth公式サイト:https://www.toei-anim.co.jp/anibirth/
■開催店舗:
AniBirth渋谷PARCO店
〒150-0042
東京都渋谷区宇田川町15―1 6F

AniBirth心斎橋PARCO店
〒542-0085
大阪府大阪市中央区心斎橋筋1丁目8―3 6F

営業時間:
営業時間につきまして各店舗HPにてご確認ください。
渋谷PARCO
https://shibuya.parco.jp/info/access/

心斎橋PARCO
https://shinsaibashi.parco.jp/pnews/#information

作品概要

■あらすじ
ごく普通の高校生、マリネットとアドリアン。だが2人は邪悪な影からパリの街を守るスーパーヒーロー。善良な市民をヴィランへと変える邪悪な生物・アクマをとらえるため、クワミ(妖精)の力でレディバグとシャノワールに大変身。パリの街を守るためパートナーとしてともに戦う2人だが、その正体は誰も知らない。 当の本人さえお互いの正体を知らず、マリネットはアドリアンに、シャノワールはレディバグに片想いをしている。

■キャスト
マリネット/レディバグ:奈波果林
アドリアン/シャノワール:逢坂良太
ティッキー:長縄まりあ
プラッグ:高坂宙

 

(C)2022 ZAGTOON– METHOD – TOEI ANIMATION.
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