思わずニヤニヤしてしまう“ラブコメ”と作品に秘められた“冒険の予感”――『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?』ザガン役・小林裕介さん×ネフィ役・市ノ瀬加那さんインタビュー
「どんな状況でも、ふたりは真面目にラブコメをしているんです」
ーー出演発表時に、小林さんは「アフレコをやっていて恥ずかしくなる経験はなかなかに久しぶりでした(笑)」とコメントされていましたね。
小林:「大人になってから、小さい子のようなやり取りを真面目にやるのか……」という気恥ずかしさがありました。ザガンとネフィは、誰もが幼稚園のときに経験したような出来事を全く知らないと思うんです。駆け引きが一切ない、純粋なやりとりを後ろから見られつつ、ふたりでやっているんですよ。それが恥ずかしくもあり、面白くもありました。収録が終わった後、「どんな顔で振り向けばいいんだろう?」って。もし、イベントがあって「みんなの前で演じてほしい」と言われたら、断固として拒否しようと思っています!(笑)
市ノ瀬:ザガンは本音をモノローグでさらけ出しているので……。私は演じながら、ずっと「ピュアだなぁ」と思っていました。どんな状況でも、ふたりは真面目にラブコメをしているんです。それを振り切った結果の可愛らしさだと思うので、私自身に恥ずかしさはあまりなかったですね。男性と女性ではまた視点が違うのかもしれません。
ーー小林さんが恥ずかしそうにしているのは気づかれていました?
市ノ瀬:全く気づかなかったです!
小林:仮に僕のモノローグが流れるとしたら、めちゃくちゃ恥ずかしがっていたと思いますよ。「このシーンのアフレコ、早く終われ!」って(笑)。
ーー(笑)。そういったシーンに限らず、おふたりがザガンとネフィの掛け合いで大切にしていたことは?
小林:ネフィとの掛け合いに関しては、実際の距離感より、お芝居上の距離感が近かった気がしています。第1話でバルバロス(谷山紀章さん)と掛け合っているとき、「距離感を合わせてほしい」というディレクションがあったので、向こうの声にこちら側も合わせるように演じていたんです。ただ、ネフィはか弱い喋り方なので、実際の距離を意識したお芝居では、チグハグになってしまいます。そういう意味で、ネフィに合ったボリュームで喋ることは、常に心がけていました。
市ノ瀬:基本的に隣のマイクでやらせていただいたのですが、登場人物が増えるにつれて、マイクワーク(キャストが入れ代わりながら、声を入れること)が生まれてきます。マイクが離れているタイミングでザガンとの掛け合いがあると、他の現場よりやりづらさを感じていたんです。
ーーお互いが近くにいる方がより演じやすかったと。
小林:それはありますね。間に入っている人も重要で、もしバルバロスだったら……。
市ノ瀬:かき消されちゃう(笑)。ふたりの距離感が大事な作品なので、すごく難しい部分でした。「可能な限り隣に入りたい」と思っていましたが、マイクが離れたときは、より気持ちを近づける意識で演じました。
ーーやはりネフィとザガンの関係性や距離感の変化が、今作の大きな見どころになりそうですね。
小林:物語が進んでいくと、ネフィとザガンの距離が一気に近づくエピソードがあるんです。「ここまで長かったな」と思いつつ、ここからが本当のスタートという話になっているので、楽しみにしていてください!
小林さんと市ノ瀬さんが日常生活で“愛でているもの”とは?
ーーおふたりはこれまでも複数の作品で共演されていますが、改めてお互いの印象を伺えますか?
小林:未だによく分からないんですよ。他の方から聞く市ノ瀬さんの印象と僕から見た姿が全然違ったので……。
市ノ瀬:えっ!? どんな印象ですか?
小林:「感情表現がハッキリしている方」と聞いていました。ただ、現場で会った際は物静かな印象が強かったです。
市ノ瀬:確かに、仲が良い人には「イェーイ!」みたいなノリかもしれません。現場ではなかなか難しいですね。加えて、もともと人見知りなので、日によって心の開き方も違うと思います。でも、小林さんは良い感じのテンションでいてくださるので、とても話しやすいんですよ。
小林:ありがとうございます。
市ノ瀬:かなり自然体でいられるなと。でも、この作品の現場終わりに、カフェで小林さんを見つけたのですが、話しかけられなかったです……。
小林:つまりはそういう距離です!(笑)
ーー(笑)。そういうシチュエーションって、話しかけていいのか考えてしまいますよね。
市ノ瀬:そうですね。テンション感が難しいです。
小林:声をかけた後、「空いてるよ?」と言うのも変ですし……。市ノ瀬さんもひとりになりたかったと思うので、良かったんじゃないでしょうか。あ、そういえば市ノ瀬さんと現場で使っているペンが一緒だったんですよ。
市ノ瀬:そうでした! ……実はあのペンは失くしてしまいまして。
小林:えっ!? 俺も失くしたよ!?
一同:(笑)
市ノ瀬:2〜3ヶ月前に失くしたのですが、かなりショックでした。
小林:「言いづらいな」と思っていましたが、まさか市ノ瀬さんも失くしていたとは……。
ーー折角なので、作品タイトルにちなんだ質問も。おふたりが日常生活で“愛でているもの”があれば、教えていただけますか。
小林:3歳の甥っ子がいるのですが、すごく僕のことを好いてくれているみたいなんです。母親から「裕介に会えなくて寂しがっていたよ」と聞いて、「可愛いやん!」って。久々に会ったときは、思いっきり可愛がりました。クリスマスプレゼントをあげたときも大はしゃぎで、会うたびに沢山遊んでいますね。少し職業病ですが「小学生ってこういう反応するんだ」と楽しみつつも、勉強になったりもして。
市ノ瀬:私は、毎日自分の家の猫を愛でています。最近は朝起きたら、私の肩に頭を乗せて寝ているんです。
小林:可愛い!
市ノ瀬:本当に可愛くて、毎朝癒されています! ただ、一緒に布団に入ったら、10秒くらいでいなくなるので、夜は一緒に寝たくないみたいです。そういう気まぐれなところも「猫だな」と感じます。
ーーお話ありがとうございます。最後に、放送を楽しみにしている読者に向けて、一言ずついただけますか。
小林:大別すると、今作はラブコメに入る作品だと思います。そういった要素が分散していくなかで、キャラクターたちの抜けている部分や可愛らしい一面も見えてくるので、色々な“ニヤニヤ”を体験できるんじゃないでしょうか。個人的には、冒険の予感を秘めたファンタジーとしての物語にも期待を寄せているので、ニヤニヤと冒険を楽しみたいみなさんにぜひ観ていただきたいです。
市ノ瀬:キュンとするような要素が詰まっていて、ふたりの心の距離の縮まり方が素敵な作品になっています。良い意味で初々しさが出ているふたりの心理描写にも着目していただきたいです。今後出てくるキャラクターたちも個性的なので、ぜひそちらも楽しみにしていただけたらと思います!
[取材・文・写真/小川いなり]
『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?』作品情報
あらすじ
悪の魔術師として人々に恐れられているザガン。
不器用で口の悪い彼は、今日も魔術の研究をしながら領内の賊をぶちのめしていた。
ザガンは、悪友のバルバロスに誘われて参加した闇のオークション会場で、魔王の遺品として出品された白い髪のエルフの少女ネフィと運命的な出会いを果たす。
全財産をはたいて、ネフィを自身の城へ連れ帰ったが、これまで人付き合いをすることのなかった口下手なザガンは、ネフィにどう接していいかわからないまま、まともな会話も出来ず狼狽えるばかり。
これからはじまる二人の共同生活の行方は如何に―。
口下手な魔術師と美少女エルフのじわキュンラブコメディ。
キャスト
(C)手島史詞・ホビージャパン/まどめ製作委員会