「いろはちゃんとこむぎちゃんがペアであるように、私自身とお友だちがペアになったつもりで、お歌を届けたい」 プリキュアシンガーとしての進化が止まらない!『わんだふるぷりきゅあ!』オープニングを彩る吉武千颯さんインタビュー
作品を光らす存在・吉武千颯
――今日も音楽プロデューサーの井上さんが同席されているので、せっかくなのでレコーディングの裏話についてもおうかがいしたいです。吉武さんにどのようなディレクションをされていたんでしょうか。
井上:曲の解釈については、長いこと一緒にやらせてもらっていることもあって、細かく何かを伝えることはそんなに多くなくて、「こういう方向も良いんじゃない?」くらいです。吉武さんには指定はしません。ただ、僕自身も引き出しは日々増えているので、お互いにアップデート出来たら良いなと思っています。それは後本萌葉さんにも言えることではあるのですが、お互いに高めていくことで、声優、歌手どちらにとっての引き出しにもつながればなと。また、吉武さんは誰よりも踊れるので。そこは吉武さんのアドバンテージだと思います。だから、今回はめちゃくちゃ踊ります。
吉武:今まで担当されてもらっていたエンディングよりも踊っています(笑)。『全プリライブ』のリハの時に「TVサイズでここまできついのは初めてかもしれない!」と。
井上:普段ライブやオープニングの振り付けを担当してくださっているナナエ・モンジェラさんに「吉武さんはなんでもできますよ」と事前に伝えていて――。
吉武:そうだったんですか!?(笑)
井上:上がってきたものを見たときに「完璧!」と思いました。吉武さん仕様のダンスではありながらも、今の子どもたちは、しっかり真似できるんですよね。今後フルで披露する時には隙間のないダンスになるとは思います。
――井上さんは、吉武さんが「僕は吉武さんに将来のプリキュア音楽を担って欲しい」といったお話をされていましたが……。
井上:そうですね。「All for one Forever」の時に田中裕太監督とお話して、監督には「僕は吉武さんに将来のプリキュア音楽を担って欲しいんです」と直接伝えさせてもらって。それは田中 昂プロデューサー、村瀬プロデューサーにも伝え「All for one Forever」は吉武さんをセンターに置いて、先輩方が背中を押すような、そういう曲にしたいなと思っていました。その上で、このオープニングがあります。
20周年という大きな作品の次ということは、将来的に考えた時、もしかしたら影に隠れる可能性もあるかもしれません。でも、その20周年からの一歩が影に隠れる、ではなく光照らしてくれるのが、音楽にとっては吉武千颯の存在なのかなと思っているんです。
吉武:本当ですか……嬉しい。もう1回言って欲しいくらい(笑)。
井上:去年から年上のシンガーがいなくなって、本人の立ちまわりも変わってきているとは思います。今年は後本さんが入ってきて、2人を見ている状態になる。それは北川理恵さんも、あとから入ってきたMachicoさんもやっていたことで、それを今は吉武さんが担うことになります。
僕は吉武さんと同じくらいの期間、『プリキュア』シリーズの音楽に携わらせていただいていますが、こだまさんも、EFFY さんも、ヒゲドライバーさんも、もちろんキャストさんも、プリキュアシンガーも、マネージャーさんも……本当に皆さん愛を持って『プリキュア』シリーズに関わってくださっています。吉武さんも『プリキュア』シリーズにとても愛の深い方です。それってすごく大切なことだなと思っています。同じ歌手がそのシリーズを数年担当すること自体めずらしいことかもしれませんが、子どもたちはお姉さんの存在を覚えるので、続けてもらう意味はめちゃくちゃあると考えています。
――フルサイズのダンスも楽しみにしつつ……吉武さんは完成したものを聴かれた時、どのような気持ちになりましたか?
吉武:いろいろな気持ちになりました。どの曲にも言えることなのですが、完パケしたものを初めて聴いたときは、いろいろな気持ちになるんです。放送前に完パケをいただくのですが、主題歌の場合は、テレビだけではなく、ドリームステージ、プリティストア、街の中、いろいろな場所で流れるじゃないですか。聴いてくださる方が、どんな場所で、どんな思いで受け取ってくれるのかなと想像すると、嬉しくて、幸せで。最初は泣きながら聴いていました。私は完パケを聴くとき、いつも泣いているんですけどね(笑)。
――そうなんですね。
吉武:家などの他の音が聴こえないところでイヤホンをして、全集中をして、最初は聴きたくて。曲によっては、レコーディング時はオケはラフという状態のこともあるので、改めて完成したものを聴くといろいろな気持ちになります。
――でも私もオープニングを見たときに、思わず号泣してしまって……。
吉武:私もです(笑)。ヤバかったです。それこそ『全プリライブ』のメイク中に、『わんぷり』のプロデューサーさんと井上さんたちが来てくれて「初披露の前に見てみて」って、まだ色がついていない状態のオープニング映像を見せてくれて。
――それは間違いなく号泣しますね。メイクが……!
吉武:もうぼろぼろ泣きました。それでメイクさんを困らせてしまったんですが(苦笑)。CDとして聴ける音源ももちろんなんですが、ライブでは、その時にしか聴いていただけないような、ライブならではの楽曲に毎回なったら良いなって思っているんです。よりイメージがひろがった状態で初披露を迎えられたことは自分の中で嬉しかったです。先日2話が放送されましたが、その時も泣いてしまいました。一体いつ慣れるんだろう?(笑)
――(笑)。お互いを思い合う気持ちに本当にグッとくるものがあります。しかも、こむぎが「いろはを守るため」という気持ちで1人目のプリキュアに変身したのも驚きつつも感動して。
吉武:分かります。わんちゃんがプリキュアになるよとは聞いていましたが、一人目がこむぎちゃんという展開に驚きましたし、今までにない展開だなって。しかも「人を守りたい」という気持ちで変身していて。こむぎちゃんを見ていると、自分のペットと重なってしまって「頑張れ〜!」って気持ちになります。それと「自分がいない時は、そういう気持ちだったんだね」とか、いろいろと重ねてしまって……。
――分かります。朝、いろはが出かけるのを見送るときも……。
吉武:そうそう! そうなんですよね! 私の親も毎週楽しみに見ているのですが、やはり重なってしまうようで「毎回泣いてしまうんだけど!」って連絡がきます(笑)。もうどうしよう。毎週感情が大変です!
――きっとこだまさんの歌詞が、毎週さらに深まっていくんだろうなって。
吉武:そうなんですよ! こだまさんには何曲も書いていただいているのですが、1話がはじまった時、改めて歌詞を見直して「確かに!」とまた納得するものがありました。毎回「すべてを知っているのかな?」と思ってしまいます。一度お話させてもらった時に「どこまで聞いて歌詞を書いているんですか?」と聞いたことがあるのですが、ストーリーの展開についてはほぼ知らないそうで、本当に驚きました! すべてを知って書いているものだと思ったので……。
ちょっと話が変わってしまうんですけども、『ひろプリ』最終回は監督、スタッフ、声優さん、みんなで集まってみたんです。みんなで泣きながら見ていて、本当に温かいチームだったなと思いました。その時に監督とお話させてもらって……戦闘シーンがはじまる直前のソラちゃんの「私たちはひろがるスカイ!プリキュア !」というセリフは「Dear Shine Sky」の〈We're Precure〉から取ってセリフを考えさせてもらいました、と聞いて。それに私、もうぶわーーーっと泣いてしまって。いろいろつながって最終回につながっていったんだと。そういうこともあるんだなって思いました。
これからも進化が止まらない
――タイトルも素敵ですよね。evolution!!という言葉は21周年目にもぴったりだなって。
吉武:歌詞を見ているだけでも想像が膨らんでいきますが、進化という意味であることを知って「いろいろな進化が込められているんだろうな」と思っていました。
――吉武さんはエンディング映像をご覧になられた時はどのような印象がありましたか?
吉武:かわいい! とにかくかわいい! ハートを撃ち抜かれました(笑)。あみちゃんの掛け声もめっちゃかわいいし、萌ちゃんの声もかわいいし、振りにワンちゃんポイントがたくさん入っていて! クレヨンで描いたような質感の映像にも温かみを感じました。何回も見てしまいます。
――吉武さんはプリキュアシンガーになって6年目。吉武さん自身はどのような進化を遂げながら、『わんぷり』と共に過ごしていきたいですか?
吉武:なんだろ〜! 進化していきたいことはたくさんあるんです!それこそお歌はずっとevolution!!していきたいですし……
今年萌葉ちゃんがあみちゃんとエンディング主題歌を歌っていて。主題歌を3人で活動するのは『デパプリ』(『デリシャスパーティ♡プリキュア』)以来になります。ふたりとはまた違った空気感があるので、3人の絆もevolution!!していけたら良いなって思っています。
1年間あみちゃんと過ごして「こんなにも仲良くなるとは思わなかった!」というほど仲良くなっているんです。私は萌葉ちゃんに出会って8年くらい経つので、萌葉ちゃんが入ってきて、どんな関係性になっていくのか楽しみだなって。3人だからこそ出せるお歌の力みたいなものを出せるように、みんなで絆を深めていきたいなと思っています。
――まさに〈仲良しキズナが 進化中〉の3人になりそうですね。ところで絆と言えば「KIZUNA◇ダイアモンド」。1月末には『ひろがるスカイ!プリキュア』ボーカルベスト ~KIZUNA◇ダイアモンド~もリリースされました。
吉武:「KIZUNA◇ダイアモンド」は練習中に泣きすぎて、泣かずに最後まで歌うのに時間が掛かったくらいで。5人を思い出しながら歌えば歌うほど涙が止まりませんでした。本当に素敵な楽曲をいただきました。いつか生で届けられる日がきたら良いなって思っています。
――『わんぷり』の3人のこれからのステージも期待しています。
吉武:なんとなく、今年は小さなお友だちと距離が近いイベントが多くなるような気がしているんです。それもすごく楽しみです。お互いを思い合ったり、敵には浄化をしたりと、本当に温かな作品なので……はじめてワンちゃんがプリキュアになったということもあって、いろいろな大切さを教えてくれるんじゃないかなと思っています。私も会いにきてくださるお友だち、お歌を聴いてくれているお友だちに、いろいろな温かさを伝えていきたいです。
いろはちゃんとこむぎちゃんがペアであるように、私はイベントだと、私自身とお友だちがペアになったつもりで、お歌を届けたいなって思っているんです。みんなのプリキュアが好きな気持ち、『わんぷり』が好きな気持ち、それぞれのペット・動物が好きな気持ち……みんなのいろいろな“好き”を集めて、わんだふるがひろがっていくような1年になったら良いなって思っています。
[インタビュー&文・逆井マリ]
リリース情報
『わんだふるぷりきゅあ!』主題歌シングル
好評発売中!
【CD+DVD】
品番:MJSS-09366~7
価格:2,200円(税込)
【通常盤】
品番:MJSS-09368
価格:1,320円(税込)
<CD>
1.わんだふるぷりきゅあ!evolution!!
歌:吉武千颯 作詞:こだまさおり 作曲・編曲:EFFY
2.FUN☆FUN☆わんだふるDAYS!
歌:⽯井あみ&後本萌葉 作詞:マイクスギヤマ 作曲:ヒゲドライバー 編曲:⽯塚玲依
他、各楽曲カラオケ・TVサイズを含む全6曲収録
<DVD>
TVオープニング・エンディングノンテロップ映像を収録
■初回特典:
・キャンバスブロマイド(スーパーアート6⾊印刷)
・「どうぶつおせわがた~っぷり!あつめておせわしよ♥キラニコトランク」 専⽤⼆次元コード(キュアワンダフルからのおてがみ)
・「ライブイベント」のCD購⼊者先⾏応募券
●関連リンク
『わんだふるぷりきゅあ!』オフィシャルサイト
https://www.toei-anim.co.jp/tv/precure/
プリキュア音楽&映像商品公式X(旧Twitter)
https://twitter.com/precure_marv