テーマは“儚くも美しい”。重厚な“静”をまとったロックバラードを『デート・ア・ライブV』OPとして〈あなた〉に届ける――富田美憂さん 5thシングル『Paradoxes』インタビュー
「私がついているから一緒に頑張ろう」とエール
──カップリングの「Golden Rain」も富田さんの中で新しいタイプの曲ですね。
富田:いくつか候補をいただいた中で「絶対にこれが良い!」と伝えた曲です。すっごくキラキラして聴こえてきたんですよね。リズミカルなテンポ感で、ライブで手を横に振ったり、一緒にリズムを取ったりしながら、グルーヴを楽しめるんじゃないかなって。そして、歌詞もすごく前向き。これから新しいことを始める方、勇気が欲しいような方が「明日も頑張ろう」と思える曲になっているんじゃないかなと思っています。
──発売時期(4月17日)がまさに新生活が始まった直後で。
富田:そうなんです!
── 一歩踏み出した方たちにエールを送った、応援歌のような側面を持つ曲ですよね。
富田:それはすごく意識していて、「私がついているから一緒に頑張ろう」じゃないですけれども、「〈君〉ならできる!という気持ちを込めてレコーディングをしました。レコーディングの前にプリプロがあったのですが、実はプリプロの段階では、いただいていた曲よりも半音キーを上げていて。今まで下げることはあったんですけど、上げることはあまりなかったんですね。でも上げることより明るさがより際立ったような気がします。サビの〈夕立に飛び込んでみよう〉の高音もスパーンと、気持ちよく映えるような形になっているので、聴いていても気持ちが晴れやかになります。
──声も軽やかですよね。そこは富田さんにとって、ある意味挑戦でもあるのでしょうか。
富田:そうですね。今まではロックでカッコいいものが多かったので、軽やかさに全振りの曲は意外と少なかったように思うんです。そういう意味では「Paradoxes」とのギャップも楽しんでもらいたいなと思っています。
──気持ちが空の景色の変化に例えられていて。空ってすごく富田さんらしいですよね。
富田:本当ですか? 私は地面ばかり見ていた学生時代でしたけれども(笑)。「翼と告白」のイメージが強いのかな……。でも本当に、学生時代のときは下を向きがちで、音楽に助けられることが多かったので、今、自分が(音楽を発信する)立場にいるのが不思議な気持ちですね。時々ファンの方からいただくお手紙に「富田さんのこの曲を聴いて、いま頑張れています」といったことが綴られていて、とても嬉しい気持ちになります。
──不思議な気持ちなんですね。
富田:不思議ですね。
──これだけたくさんの活躍をされていて、さらなる飛躍も予感させる存在でありながらも。
富田:いやいや……未だに慣れないんですよ。慣れないというか、今年25歳になるので、年下の方に「学生の時に◯◯見ていました!」と声をかけられたり、ファンの方に「この楽曲を聴いて元気をもらいました!」と言っていただくことがあります。自分が憧れの人に“(元気や勇気を)もらっている”立場だったからこそ、むず痒くもあり、嬉しくもあり。不思議です。
──それっていつかは変わるんですかね?
富田:どうなんでしょうね。この間、ふと思い出したことがあって。『アイカツスターズ!』 の2ndシーズン OP『STARDOM!』(せな,りえ,みき,かな from AIKATSU☆STARS!)という曲のサビに〈憧れは次の憧れを生む〉という歌詞があるんですけれども「これだ!」って。こういうことを歌っていたんだ、あの曲は!と思いました。
──素敵な仕事ですよね。人に勇気を与えられるっていう。まさにアーティストデビューの際にも、誰かの背中を押せるようなアーティストになりたいって、おっしゃっていましたものね。
富田:まだまだではありますけれども、本当に素敵な職業だなと思います。
──今、富田さんが理想とするアーティスト像はありますか?
富田:立つステージが増えれば増えるほど、やりたいことは増えていっている感覚があるんです。できるかできないかは分かりませんけど、ゆくゆくは曲も作ってみたい意思もあります。そういう意味では「あれもこれもやりたい」という気持ちがありますね。
──ギターはどうですか? 練習を始めたと伺っていますが……。
富田:「Golden Rain」のレコーディングの時に「ギターが素敵な楽曲だよね」っていう話になって。帰り際に「ギターに興味があるんですよね」って言ったことがきっかけで、ギターを始めたんですよ。
実は最近ギターを始めていまして、先日一目惚れした子を本日お迎えに行ってきました!!!
— 富田美憂 (@miyju_tomita) February 14, 2024
今日から相棒です🎸よろしくね! pic.twitter.com/Q0v9Yi54hk
──この曲がきっかけだったんですか!?
富田:そうなんです。ただ、もともと父がギターを弾いていたので馴染みはあって。蓋を開けてみたら下の弟もギターを弾けるようになってたんですよ。「お父さんに教えてもらったの?」って聞いたら、YouTubeでギターの弾き方を覚えたっていう。
──お父様が富田さんにギターを教えてくれることもあるんですか?
富田:父はゴリゴリのメタルなので(笑)、弾き方もちょっと違うんですよ。
──なるほど(笑)。富田さん、ベースも弾けるんですよね。家族でバンドを組めるかも……?
富田:富田家バンド!(笑) と言ってもベースはほんの少し触ってたくらいなので……かと言って私がギターに入ると、ギターだらけになってしまう。母が歌が上手なので、母にコーラスをお願いして、長男は……リコーダーとか、タンバリンとかかなぁ(笑)。夢が広がります。