探求者が贈る摩訶不思議なグリム童話の世界――「グリム組曲」ヤコブ役・鈴木達央さんインタビュー|あえて手間をかける、WIT STUDIOの野心的な試み
「シンデレラ」「赤ずきん」「ヘンゼルとグレーテル」といったグリム童話の数々を、WIT STUDIOが大胆にリブートしたアンソロジーアニメ「グリム組曲」がNetflixで独占配信中!
それぞれの監督たちが手掛けるダークな世界観を、キャラクター原案・CLAMP、脚本・横手美智子氏、音楽・宮川彬良氏をはじめとしたクリエイター陣が彩ります。
アニメイトタイムズでは、全6エピソードのプロローグを担うヤコブ役の鈴木達央さんにインタビュー! WIT STUDIOのチャレンジングな作品作りや印象深いエピソードについて、お話を伺いました。
あえて手間をかけるWIT STUDIOの作品作り
──今作は非常に豪華なスタッフが集結していますね。
ヤコブ役・鈴木達央さん(以下、鈴木):さまざまな作品を手掛けてきたWIT STUDIOが、ここにきてまた野心的なチャレンジをするのかと驚かされました。探求者なんでしょうね。キャラクター原案にCLAMP、音楽に宮川(彬良)先生という。座組を聞いただけでワクワクしてしまいました。
──実際、絵から音楽まで、細部にこだわりが詰まっています。
鈴木:この作品は、普通なら手間がかかる部分にあえて手を出しているんですよね。僕自身、手間があってこそ面白いものが作れるんだなと改めて実感しました。もしかしたら、これが正解のひとつなんじゃないかなと思わされたくらいです。
──エピソードごとに監督が異なる点も見逃せませんね。
鈴木:監督の色によって本当に作風が変わるので、そこは目を見張るものがあります。
──鈴木さんも参加されたトークイベント付き特別先行上映会では、スタッフのみなさんの熱量を間近で感じられたのでは?
鈴木:お話する中で制作過程をたくさん伺えました。今作はスタッフさんが作りたいものを詰め込んでいるから、尺が通常のアニメの倍近くあるんですよね。普通より手間がかかる分、大変なこともあったようですが、そこにかける想いが二宮(源太:アニメーションプロデューサー)さんをはじめとしたスタッフの皆さんのお話から伝わってきました。
──そもそも童話自体に馴染みはありますか?
鈴木:昔、両親が読み聞かせてくれたものくらいですね。当時から触れていた作品もありましたが、グリム童話と認識していたわけではなかったので、大人になってから「これもグリム童話だったんだ……!」と気付くこともあって。
──今作はそんな童話の数々がダークな世界観でリブートされています。
鈴木:昨今の作品では珍しいほど、フィルムの中で赤(血)が飛んでいますよね。今の時代、なかなか踏み込みづらいところを正面から描いているので、すごくセンセーショナルに映りました。僕が子供の頃は、そういう表現もあって然るべきみたいな考えだったんですよね。しかも、当時はOVA全盛期だったので、より表現が過激で。今作は、そんな当時を思い返せるような表現も見られて、日本のエンタメと世界のエンタメの基準の差を感じていました。
──表現の寛容さはNetflixならではというところですね。
鈴木:そうですね。ストリーミング配信ならではの強みだと思います。
──その中でも、特に印象的だったエピソードはありますか?
鈴木:「小人の靴屋」は脚本がすごく演劇チックだなって。あることをきっかけに自分が知らないところで躍進し始め、そこからまた自分と向き合う。いろいろなエピソードがありますが、これは唯一自分でも演じてみたいと思ったんですよね。
──「小人の靴屋」の舞台は昭和の日本風の世界なので、世界観に入り込みやすいのかもしれませんね。
鈴木:そうですね。昭和の雰囲気があるので小学生時代の自分と照らし合わせて見ていました。