『何気ない日常こそが、一番の幸せなんだ』ーー新境地を開拓したMADKID 10thシングル「ふたつのことば」インタビュー
OP曲「ふたつのことば」は、MADKIDには珍しい温かく優しい曲調。タイトルに込めた想いとは?
――「ふたつのことば」を制作する際に意識されたこととタイトルの由来を教えてください。
LIN:アニメのOP尺の1コーラス目ではアニメに対しての自分の気持ちをしっかり出せるように意識して、2コーラス以降は、自分なりのメッセージを盛り込みました。世の中のマイノリティの人が抱える悩みや苦しみを、多くのマジョリティの人はまだまだ理解できないので、そういう部分を意識しながら作りました。あとサビで大事な言葉を入れようとは思っていました。
――「きみの声 響く部屋で僕らは笑顔になって悲しくったって 辛くなったって乗り越えられるね」や「ただいま、それとおかえりを言える毎日が幸せなんだ」など、自分は1人じゃないと思えるフレーズがたくさんあって、刺さりまくったし、勇気をもらえました。
LIN:ありがとうございます。「ふたつのことば」というタイトルの由来は、アニメのタイトルである「ただいま」と「おかえり」、そして二人称である「あなた」と「きみ」と、「輝」と「陽(ひなた)」など、いろいろな「ふたつのことば」を絡めて、このタイトルになりました。
――サウンド的には前作の「FLY」も『佐々木とピーちゃん』のOP曲ということで、これまでのMADKIDのタイアップ曲とは違う疾走感と爽快感がある曲でしたが、MADKIDらしいソリッドな部分がありました。でも「ふたつのことば」は、更にやわらかく、優しくなったような。
LIN:もちろん、作品に合うようにという部分はあります。今回はコンペではなく、hisakuni (SUPA LOVE)さんに作曲とアレンジをお願いしました。
――アニメのOP曲として流れる1コーラスを聴いていると、「これ、歌っているのはアイドルグループ?」と錯覚しそうなくらいのさわやかさで(笑)。
YOU-TA:確かに今までのMADKIDにはなかったテイストの曲ですよね(笑)。ただ僕らには表現するのは難しいかもと思うことはなく、うまくアジャストしてやれるはずという確信はありました。
KAƵUKI:この10年の中で、初めてメインボーカルを担当させていただいたので、めちゃめちゃ気合が入りました。曲調的にも僕の声質に合うなと思ったので、レコーディングでは自分の声を存分に活かして、歌えました。
SHIN:レコーディングはいつでもしっかり言葉を伝えて、リスナーの方が情景や気持ちを思い浮かべられるように意識していますが、今回はより繋がりを意識しています。YOU-TAからもらったバトンを歌に込めて、次のKAƵUKIに渡すように。今回はいつもディレクションをしてくれるYOU-TAとLINがいなかったので、自分自身で見つけ出す作業でしたが、しっかりできたので良かったです。
――2コーラス目の入りのLINさんのラップパートで、「あっ、これMADKIDだ」という安心感を感じて。更に日本語詞なのに、まるで英詞のように聴こえて。
LIN:MADKIDらしさが出ていたのならよかったです(笑)。
――今回の曲のようにシンプルでさわやかだと、皆さんの歌声とハーモニーの美しさも改めて感じられました。
YOU-TA:そう言っていただけて、めちゃめちゃ嬉しいです。
――MADKIDはキレとスピード感があるダンスが持ち味なので、この曲をどうパフォーマンスするんだろうとも思いました。
SHIN:今回、曲調に合うダンスの先生を僕ら自身が考えてオファーしました。サビの部分では皆さんも振りコピできるような振りにしてもらったり、キャッチーな感じになっているので、楽曲にあったダンスパフォーマンスができたかなと思います。
「ふたつのことば」の聴きどころをメンバーがご紹介
――好きなフレーズ、聴きどころなどのご紹介お願いします。
YOU-TA:今回、僕のパートではウイスパーや、やわらかめな声質を使ったりしていますが、オチサビのところではエモーショナル全開で行ったので、1コーラス目はやわらかいけど、2コーラス目以降に出てくるソリッドな部分とのギャップをじっくり聴き比べてほしいです。
LIN:歌うパートの振り分けも今までにない形になっているので、ファンの方には新鮮に楽しんでいただけると思うし、この曲で初めましての方には、他の曲も聴いていただいて違いに気付いてほしいです。
SHIN:印象的なフレーズはサビ頭の「特別だけど特別じゃない 言葉二つ」です。初めて聴いた時に「すごく深いな」と思ったし、普段「ただいま」「おかえり」は何気なく言っているけど、実はあたりまえのことではなく、幸せなことなんだと改めて気づくことができました。
KAƵUKI:今までは自分の成分を40%、MADKIDのロックテイストを40%と割り振ってレコーディングしていましたが、今回は自分の成分100%で挑めたので、そこを存分に聴いてほしいです。好きな歌詞はサビの「ひかり差すひなたへ」で、最初にLINのデモが届いた時に「すげえ~!」と思いました。作品ファンの方はすぐにピンと来ると思うし、作品を知らない人でも心が温まると思うので、注目して聴いていただけたら嬉しいです。
YUKI:自分のラップの部分の歌詞はすべて原作の中からオマージュしているので、原作ファンの方に「あれ、この歌詞はあのシーンのこと?」みたいに気付いてもらえたら嬉しいです。
――MADKIDの曲はカッコいいけど、すごく速くて、カラオケで歌うのは難しいけど、この曲は女性でも歌いやすいかもしれないですね。
YOU-TA:確かにそうですね(笑)。カラオケに入ったら、皆さんにもたくさん歌ってほしいですね。
「ふたつのことば」のMVは5人が1つ屋根の下に暮らす設定で、各メンバー素顔が見られる映像に
――「ふたつのことば」のMVは、ダンスしながら歌うシーンのほか、皆さんの日常を描いたような映像になっていますね。
KAƵUKI:コンセプト自体も、僕らが1つ屋根の下に暮らして、その家に帰るという感じです。僕らの日常風景をそのまま描きつつ、アニメにも寄り沿った映像になっています。
YUKI:今までの曲はフルサイズで踊って撮影していましたが、今回はフルで踊ってはいなくて。ほとんどハウススタジオでのシーンだったので、いつもと違う感じの撮影で楽しかったです。あとMVで僕らがピザを持って帰ってくるシーンがあるんですけど、テストで撮ったものが使われています。YOU-TAの表情を見たらわかると思うんですけど、本番よりも素が出せているので、ファンの方が見たことのない表情が見られます。
YOU-TA:演じている感覚もなく、いつもしゃべっている様子がそのまま映像になっている感じです。あとたぶん、初めてMVで食事をしたような気がする。
LIN:ないない。踊りながら食べられないじゃない(笑)。
――MADKIDのMVではいつも暗いところで苦悩しているシーンがありますが、今回はまったくないですね。
SHIN:確かに(笑)。
KAƵUKI:いつも、もがきがち(笑)。
――あと衣装が私服っぽいのも新鮮でした。
YOU-TA:衣装っぽくないですよね。曲の雰囲気にも合っているし、自然体の僕らを皆さんに感じていただきやすくなっているかなと思います。