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『アクアリウムは踊らない』橙々×真島こころ スペシャル対談

『アクアリウムは踊らない』サウンドトラックレコード盤発売記念 制作者・橙々さん×音楽・真島こころさんスペシャル対談 | 数多くのプレイヤーを魅了した『アクおど』の音楽はどのように生まれたのか

『アクおど』の有料販売を検討したタイミングもあった!?

――せっかくの機会なのでお二人の創作のルーツ的なところを伺いたく、これまでプレイされてきたゲームで、特に思い出深い作品はありますか?

橙々:私は、『Ib』という美術館が舞台になっているフリーホラーゲームからかなり影響を受けていますね。12年くらい前の作品ですが、あの頃ってフリーホラーゲーム全盛期というか、『青鬼』『霧雨が降る森』『魔女の家』など、いろんなタイトルが流行っていて、当時の盛り上がりがきっかけで自分でもホラーゲームを作りたい意欲が湧いてきたんですよね。

『Ib』をリスペクトしているのはいろんなところで公言しているおかげもあってか、「『Ib』が好きな人は『アクおど』も好きだと思う」って宣伝してくださる方もいて、そんな大御所と並べていただいて本当に恐れ多いんですけど、すごく嬉しかったです。

――ただの「ゲームが作りたい」ではなく、「フリーホラーゲームを作りたい」というところは最初から固まっていたんですね。

橙々:そうなります。学生の頃に『Ib』とかのフリーホラーゲームの実況が流行って、知り合いともその話題で盛り上がっていたので、あの波に乗りたかったんです。

――『アクおど』は十分有料で販売していいクオリティのタイトルだと思いますが、途中から「有料で売る」という考えは湧きませんでしたか?

橙々:正直に言うと、ありました。ただ、正確には自分ではなく、周りの方から「お金を取った方がいいんじゃないか」っていう提案があって、「もしもらうならこれくらいの価格かな……」みたいな検討をするタイミングは一応あった、くらいの感覚です。

ただ最終的には、やっぱりフリーゲームとして出したいという自分自身の想いもありましたし、元々配信とフリーゲームはすごく相性がいいので、無料で大勢の配信者の方々に宣伝のお力を借りられる方が、最終的には良いでのはないかなと。

代わりにゲーム以外でのメディアミックス展開がしやすい内容にするのは意識していて、キャラクターやストーリーもあえて深く語らない部分を残すようにしています。実際、その作戦が今うまく噛み合っている実感があるので、やっぱりフリーゲームにしていて良かったなと思っていますね。

――真島さんの方はいかがでしょうか? 今までのお話の中にも出てきていましたが。

真島:そうですね、先程も少しお話ししたんですけど、中学生の頃にプレイした『SELECTION』というフリーゲームが本当に好きですね。中学生の女の子が主人公で、父親の隠し子が発覚するんですけど、実はその子は実の娘ではなくて、父の無実を晴らすために冒険にいくっていうちょっと変わったストーリーで、ギャグあり泣きもありキャラクターも魅力的で、100周くらいは遊んだと思います。

――100周は凄まじいですね……! その影響で、同じ系統の作品が好きになることもあったのでしょうか?

真島:主人公にいろんな試練がのしかかっていくような話が好きになったのは、その影響かもしれません。主人公に降り掛かってくる試練をどんどん乗り越えてゴールまでの道を開いていくゲームはすごく好きです。私は趣味でもお話を書いてるんですけど、そっちでも主人公がすごく苦労して、たくさん試練が降り掛かってくるという展開を書きがちなので。

――まさに『アクおど』もそんな作品ですよね。

真島:そうなんです!

橙々:確かに最初はひどい目にあうけど、だんだんゴールに向かっていくみたいなゲームですね(笑)。

――それぞれ、クリエイターとしてお互いに尊敬している部分はありますか?

橙々:そもそも私が、自分の感情とか感想を、音楽を使って形にするなんてまずできないので、そういう経験を音楽の中に落とし込める感性がまずすごいですよね。あと今回フロンティアワークスさんからお話を聴いて、仕事に対するスピード感の速さにも驚きました。

『アクおど』はほぼ私が一人で作ったんですが、唯一自分が一切何もやっていないと言えるのが音楽なんです。私じゃ絶対できないことをすらすらとできる上に、最近もまた違った方向性の楽曲をどんどん作られていて、本当に尊敬しています。ぜひ、次回作でもよろしくお願いします(笑)。

真島:私から見た橙々さんって、すごく明るくて前向きで、「やれば何でもできる」みたいなエネルギーがすごいんですよね。自分はネガティブ気質で根暗なタイプなので、その考え方そのものがすごいなと思っていて。

ゲームだけじゃなくマーケティングの勉強とかもされていて、私も少し教えてもらったりしているんですけど、自分にないものをたくさん持っていて、「こういう人になりたい」と思えるような存在ですね。橙々さんの配信もほぼ毎回見に行っていますが、聴いているだけでもこっちも元気をもらえるくらい、ポジティブなパワーを持っていらっしゃるところは本当に尊敬しています。

――お二人とも、クリエイターとして長く活動されていますが、日頃生活を送りながら物を生み出すって、結構なパワーが必要だと思います。それを続けられている要因は何だと感じられていますか?

橙々:私は気づいた時にはもうすでに絵を描いていたんですけど、描いて自分で満足して終わりじゃなく、その絵を誰かに見せて「すごいね」って褒められたいという気持ちが原動力になっているんですよね。悪く言えば自己顕示欲なんですけど、それが結構自分の内側から出るパワーになっているところは結構あるなと。

皆さんが褒めてくれたことで心に火がついて、「ならもっと皆を喜ばせたい」というモチベーションに繋がっていったりもするので、注目していただけている状況が続く限り、創作活動は続けられると思いますし、もうここまで来ると自分でも止まれない、暴走機関車みたいな状態になっていますね(笑)。

――だとすると、ゲーム開発っていろんな創作物の中でも、リアクションがもらえるのがかなり遅くなる分野だと思うんですけど、その辛さみたいなのってありませんでしたか?

橙々:めちゃくちゃあります……! もう本当におっしゃる通りで、「早くこのシーンを見せて皆を驚かせたいのに」「このシーンできっと皆びっくりしてくれるはず」「絶対ここで誰かしら泣かせてやる」とか、いろんなことを想像してやっていました。そういう意気込みだったので、作っている最中はもう一生懸命我慢している感じでしたね。

――真島さんの方はいかがですか?

真島:私は去年でちょうど15年活動していたことになるのですが、むしろ音楽活動をしていないと抜け殻になってしまうタイプというか。生き甲斐であり、もう一種の呼吸みたいなものでもあるんで、今更止めようがない、みたいな(笑)。完全に生活の一部になっていますね。

自分でも意識していない内に、気がついたらピアノに向かっていることもあって、ちょっと辛いことがあったら曲にしてみようとか、帰りの車とか電車の中でも頭の中で曲を作り始めたり、常に作曲のことを考えているので、多分これからも一生作り続けていると思います。

――ストレス解消……というよりは、感情表現の一種が近いんでしょうか。

真島:感情だったり感覚だったり、自分はその時感じたものを記録する媒体に音楽を使っているのかなと思ってはいます。私は普段、自分の本音とかを言葉にして表現するのが苦手なのもあって、私にとっての音楽は言葉の代わりにもなっているというか。思い出の記録媒体でもあるので、その時に何を感じていたのかを思い出すのにも、作った曲を聴くのが一番早いみたいなところがありますね。

――とても貴重なお話、ありがとうございます。最後に、今後の活動の意気込みであったり、『アクおど』ファンの方々へのメッセージをお願いします。

橙々:まず、『アクおど』は完成したんですが、個人的には「これからが本番」という想いがあります。ここからいろいろメディアミックスやイベントなどもたくさん展開していきたいと思っていて、今はもう一度気合を入れ直している最中です。皆さんを飽きさせないよう、これからも一生懸命に創作活動を頑張っていきます。

また『アクおど』に関しては、まだ私の口からは言えない、一人で受け止めきれないくらいの嬉しい重大発表がたくさんありますので、ぜひ楽しみにお待ちいただければと思います。

真島:私の方は、これからもコツコツと地道に曲を作り続けたいなと。とにかく曲作りに集中して、もっともっと曲をたくさん作りたいのが今の想いです。

今回のサントラレコードについては、まず純粋な『アクおど』の一ファンとしても、楽曲の制作者としても皆さんに聴いていただきたいですし、橙々さんが本当に素晴らしいジャケットイラストを描き下ろしてくださっているんですが、もう裏表共に本当に凄すぎて……絶対に飾ってほしいです。ゲームも合わせて、一つのパッケージとして『アクおど』の音楽を楽しんでいただければと思います。

――ありがとうございました。

[取材・文/米澤崇史]

アクアリウムは踊らない Soundtrack feat.真島こころ(アナログ盤)発売情報

 

発売日:2024年08月23日(金)
価格:価格4,950円(税込)
発売元・販売元:フロンティアワークス

商品仕様

・12インチアナログレコード盤
・ゲーム作者・橙々氏による新規描き下ろしジャケットイラスト&リバーシブルデザイン仕様
・封入ライナーノーツに、橙々氏新規書き下ろしのキャラクター楽屋トークを掲載

収録曲

◆新録曲含む全13トラック
・ゲーム内BGM音源…10トラック
・ボーナストラックとして真島こころ氏によるアレンジ音源…3トラック
(Tr.13は本レコード盤のための新規録り下ろしアレンジ)

【Track】
01. タイトル / 夏、忘れてしまったことを拾いに
02. 深海の大図書館 / 煙たい部屋
03. 探索1 / 怪しい人影
04. ヤドカリを追って / 聞こえる吐息
05. キティ / 夜明けが呼んでいる
06. 駅・病院 / 靄然たる湖
07. 探索2 / 瞬間の隙間に閉じ込められて
08. ホタテとたらい舟 / 乾いた朝
09. 殺気 / 鬼気迫る踊り場(アクアリウムは踊らないVer.)
10. 再会 / 深海教室
11. タイトルアレンジ
12. 駅・病院アレンジ
13. 再会アレンジ

※内容は予定のため、予告なく変更になる場合がございます。

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