『夜のクラゲは泳げない』こだわりが詰まったOP主題歌「イロドリ」、アニメサイドとの共同作業で作品に合う楽曲に|カノエラナさんインタビュー
TVアニメ『夜のクラゲは泳げない』のOP主題歌「イロドリ」を歌うシンガーソングライター・カノエラナさん。各配信サイトで先行配信中のOPテーマ含む3曲入りの5thシングル「イロドリ」が2024年5月22日にリリースされます。
今回はアニメが大好きなカノエラナさんに、作品に寄り添って作り上げた「イロドリ」の話を中心に、たっぷりと語ってもらいました。
アニメサイドとの共同作業で作品に合う楽曲が生まれた
――ここ数年は大好きなアニメのタイアップ楽曲を連続で担当していますね。
カノエラナさん(以下、カノエラナ):ずっとアニソンを歌いたいと言い続けてきて、将来の夢でもあったんです。時間がかかって今、それができている感じです。
――『夜のクラゲは泳げない』はオリジナルアニメとなりますが、話が届いたときの心境を教えてください。
カノエラナ:まず資料から感じる圧がすごかったんです。作品に込めている竹下良平監督や脚本の屋久ユウキさんの想いが紙から伝わってくるんです。活力が溢れ出ていて、言葉がじゃらじゃらと出てきて「すごい!」と驚きました。
完全オリジナル作品で、誰も内容を知らない中で、しかもOP主題歌って作品の先頭に立って引っ張るものでなければならないと思っているので、嬉しさとともにどうしよう…って焦りも感じていました。
――自身も夢を追ってここまで来ているし、シンガーソングライターとしてクリエイティブなことをしているので、イメージは湧いてきたのではないですか?
カノエラナ:そうですね。ストーリー的にクリエイティブ活動がメインですし、シンガーソングライターは、ひとりで作って消化していくところがあるので、やり方は少し違うかもしれないけど、何者かになりたいとか、自分自身じゃない人になりたいというのはわかるんです。私も、カノエラナになったときは別の人になったと思っているので、すごくリンクはしていました。
――渡瀬キウイ(CV.富田美憂)は、Vtuberの竜ヶ崎ノクスになって活動していたりしますしね。
カノエラナ:キウイちゃんが一番近いかもしれないですね。私も活動する上で、曲を作って、いろんな曲の主人公になって歌っていたりしますし。何者かになりたい光月まひるちゃん(CV.伊藤美来)、推しの髪型にする高梨・キム・アヌーク・めいちゃん(CV.島袋美由利)は、私もアニメキャラに影響されて髪型を変えたりするから共感するんです。あと、山ノ内花音ちゃん(CV.高橋李依)の「見返してやる!」っていう気持ちもすごくわかるんですよね。だからJELEEの4人の箇所箇所を取って曲にするという感じでした。
――悩みもそれぞれ違うから、誰かしらに刺さるような作品ですよね。その作品を引っ張るOP主題歌を制作するにあたって、アニメサイドからの要望はあったのでしょうか?
カノエラナ:すごくありました。大きなところだと、疾走感がありつつエモーショナルな感じ。あとは明るくカラッとし過ぎず、暗くもなり過ぎもしないというところはテーマにしている感じでした。
『夜のクラゲは泳げない』というタイトルから、ちょっと暗い作品なのではないかというところから最初は入ると思うんですけど、実はそうではなく、クラゲっていろんな色に照らされたら、それを吸収してカラフルになるんだよっていう話だから、一定の暗さの中でも目立つ刺激的な色ということで、中間色を目指していったところはあります。
――そこから具体的に、どのように進めていったのですか?
カノエラナ:その要望がまずはあって、すべての物語(台本)と色の付いたキャラクターデザインを受け取ったんですけど、それを見ながら、どんな曲にするのか、どういう歌詞にするのかを考えていきました。私は結構メロディと歌詞が同時に出てくるタイプなので、台本を読みながら、これは言いたいところなんだろうなっていうところに線を引いたりして、言葉を集めていくような作業をしていった感じです。
――自分の曲を書くのとは違う作業かもしれないですね。
カノエラナ:そうなんですけど、先程話した通り、4人それぞれに「ここ、わかるなぁ」っていう部分があったので、これはもう第五者の視点というか。私が4人の中に混ざったとしたら、こういう気持ちだよということを書こうと思ったので、すべてにかすりつつも自我を通す!みたいな線を結んでいったところはあります。
――共感することが多いから、歌詞は浮かんできやすかったかもしれないですね。
カノエラナ:いろいろな制約がありつつも自分を出す。でも出し過ぎてもいけないし、暗過ぎてもいけない……。ただ、歌詞はすごく幅広く受け止めてくださった気がします。どちらかというとメロディとかアレンジで、監督は譲れないところがあったので、ここは削りましょうとか、ここはもっと上に広げたほうがいいとか、アニメの89秒尺のほうは、かなり細かいところまで、まるでパズルのように詰めていったところはあります。
――リテイクを繰り返しながら完成させていったのですね。
カノエラナ:そうですね。だから私も良いものを作るためにコミュニケーションを取りながら、一緒に戦って行く!という感じでした。