春アニメ『夜のクラゲは泳げない』連載第7回:劇中イラスト原案・はむねずこさん|劇中イラストのこだわり、監督からもらった言葉は?
クラゲの壁画やJELEEちゃん。劇中イラストのこだわりは?
ーー壁画はどのように制作されましたか?
はむねずこ:『ヨルクラ』のお仕事で一番最初に描いたイラストであり、一番苦労したイラストです(笑)。
竹下監督から最初にイメージとしてお伝えいただいたのが、岡本太郎さんやジミー大西さん、香取慎吾さんなどの作品で、今までまったく描いたことのないテイストで、とても不安になったのを覚えています。
小学生だったまひるが自分の情熱をすべて1枚の絵に込めているという設定で、奇抜だけどどこか目を惹くような力を持ち、なおかつ小学生っぽい技術の拙さも表現する必要がある。とにかく描いて監督からのフィードバックをいただいて、また描き直してを半年ほど何度も繰り返しました。
ターニングポイントとなったのは「まひるの熱量」についての解釈が進んだところだと思います。まひるは「自分の描きたい世界を見てほしい! それを褒めてほしい!」という思いを絵に込めているので、普段気を付けていたイラストのバランスを一度捨て、余白をできるだけ作らないように、いろんな要素を詰め込みました。
あと、壁画を描くにあたり本当にたくさんの作品を勉強したのですが、ゴッホの作品には大きなヒントをもらうことができました。アナログアートならではの力強さなどを参考にしています。
何度も挫けそうになりながら描いたぶん、公開されたときのファンの皆様の反応が温かくて本当に嬉しかったです。
ーーJELEEちゃんは、どのように生み出されたのでしょうか?
はむねずこ:JELEEちゃんはまひるが花音をイメージしつつ生み出したキャラクターという設定があるので、髪色などは花音の要素を入れつつ、ベルトやハーネスなどの「量産型ファッション」とクラゲっぽさを融合させていきました。
竹下監督から「はむねずこさんらしさを全面に出してほしい」というお言葉も心強く、今ではとてもお気に入りのキャラクターです。
ーー「最強ガール」「月の温度」「渋谷アクアリウム」。それぞれのイラストのこだわりを教えてください。
はむねずこ:MVのイラストは最初に楽曲と歌詞の資料をいただき、そのあとMV監督の方からイメージをお伝えいただいてからイラストを描いています。
「最強ガール」はまだまひるがイラストを描くようになったばかりのときの絵なので、背景やエフェクトを敢えて少し拙く描いています。個人的には掌の上のマスコットっぽいクラゲがお気に入りです。
「月の温度」は歌詞とのシンクロを意識しました。特に、手を伸ばしているJELEEちゃんの表情に「自分を受け入れてくれる人がいることの温かさと安心感」を込めたので、そのメッセージが少しでも伝わればと思いながら描いていました。JELEEちゃんにしては珍しい冬っぽい衣装も描いていて楽しかったです。
「渋谷アクアリウム」はまひるの成長がテーマでした。第4話までに出たイラストからわかりやすく画力の向上を伝えなければいけないので、構図や衣装、表情など、様々な部分でまひるの成長を感じ取ってもらえたら嬉しいです。
個人的には一番クラゲ感のある衣装だと思っているので、水族館になった渋谷を少しでも感じやすくなっていればと思います。
ーー『ヨルクラ』の仕事を経て、自身にどのような影響がありましたか?
はむねずこ:ファンの方や友人、家族がすごく喜んでくれたのが純粋に嬉しかったです!
私自身、アニメに関わらせていただけるとは思ってもいなかったので、ヨルクラの情報を目にするたびに、とても誇らしい気持ちになります。
クリエイターとしても今まで経験したことがないチャレンジをさせていただくことができ、またひとつ新しい自分の引き出しを作ることができたと思います。
ーーファンへメッセージをお願いします。
はむねずこ:いつも『ヨルクラ』を応援してくださり、本当にありがとうございます!
JELEEのみんなはこれからもいろいろな問題に直面し、葛藤しながら前に進んでいきます。そんな彼女たちの熱意やパワーを、ぜひ皆様にも一緒に感じていただきたいです。そして、少しでも創作活動が素晴らしいものだと思っていただけたら嬉しいです。
今後もヨルクラとJELEEの応援をよろしくお願いします。
TVアニメ『夜のクラゲは泳げない』作品情報
あらすじ
明日話すべき話題も、今週買うべき洋服も、
全部スマホ(ルビ:トレンド)が教えてくれる。
何者かになってみたい——そんな願いを持つ間もないほどこの世界は忙しい。
活動休止中のイラストレーター“海月ヨル”
歌で見返したい元・アイドル“橘ののか”
自称・最強Vtuber“竜ヶ崎ノクス”
推しを支えたい謎の作曲家“木村ちゃん”
世界から少しだけはみ出した少女たちは匿名アーティスト“JELEE”を結成する。
自分じゃない“私たち”なら——輝けるかもしれない。
キャスト
(C)JELEE/「夜のクラゲは泳げない」製作委員会