音楽
『ヒプマイ』7連続リリースCD『.Buster Bros!!!』レビュー

『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』『.Buster Bros!!!』レビュー|数多の苦虫を噛み潰したBuster Bros!!!は大きな成長を始めるーー【7連続リリースCD連動企画】

アニメ、舞台、ゲームアプリと、楽曲CDにとどまらず様々なメディアミックス展開でも話題をかっさらっていく『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-(以下、ヒプマイ)』。ついに新曲リリースがやってきました。今回はなんとディビジョンごとのCD作品、しかも7か月連続リリース!

アニメイトタイムズでは、作品が始まった当初から楽曲のレビューをさせていただいておりますが、今回も編集部の石橋が担当させていただくことになりました。ありがたし……! もちろん、7か月連続で全曲をレビューさせていただきますよ!

連載第1回となる今回は、2024年6月26日(水)に発売のイケブクロ・ディビジョン「Buster Bros!!!」の『.Buster Bros!!!』をレビュー。

今回は久々の個人曲とのことで大きな期待をしていましたが……なんちゅうこっちゃ……。1曲目からやられてしまいました……。

四の五の言わずに早速レビューをしていきましょう! 今回のBuster Bros!!!は成長しまくりです。あの青年、少年たちは大人への階段を登り始める……。

 

山田一郎がまさかの「H歴維新」嵐巻き起こす

1曲目は長男の山田一郎から。曲名は「H歴維新」。実際に曲を聞いてみましょう。

こ、これは……! キングギドラの「平成維新」がサンプリングされているじゃないか!!! 説明しましょう……!

楽曲については後ほど詳しく紹介しますが、「平成維新」とはKダブシャイン、Zeebra、DJ OASISの3人によるキングギドラというクルーの有名曲です。

そんな「平成維新」のシンボルと言えるリフをサンプリングし、『ヒプマイ』では過去に「UNITED MCEEZ」等も手掛けたNAOtheLAIZAらの手によって現代的なHIPHOPサウンドのRemixに仕上がった贅沢な1曲になっています。

キングギドラの当時の盛り上がりを知る人間からすると熱すぎる展開です。

キングギドラはまさに平成に猛威をふるったHIPHOPクルーで、その人気は凄まじいものがありました。当時の日本語ラップと言えば、地元のクルーが地元でライブをするといった小規模なシーンが盛んだったように思いますが、その枠から飛び出し、一躍全国に名を轟かせたクルーのひとつがキングギドラでした。

TV番組や雑誌等にも積極的に出演し、それまでマイノリティだった日本語ラップというものを広めた立役者のひとつがキングギドラだったのです。そう、それこそ「平成維新」という曲名の通りに。あの時代、HIPHOPを全く聞いてないのにキングギドラは知っている人がいるくらいには名を轟かせていました。

そんなバックボーンがありながら、平成を代表する曲である「平成維新」を次世代のトラックメイカーであるNAOtheLAIZAらがサンプリングして作った「H歴維新」。熱くないわけがない……!『ヒプマイ』の世界ではH歴ですが、現実の私たちからしたら「令和維新」ですよ。

しかも、「H歴維新」は曲自体もかっこよすぎる。相変わらずの激重ビートがありつつ、アレンジも加えられ、そして何より山田一郎の韻が硬すぎ! さらに言うと、山田一郎の成長が見られる重要な曲でもあります。

これまでの山田一郎のラップは、どちらかと言うと脚韻(語尾や文末で韻を踏むこと)が多かったのに対して、「H歴維新」ではありとあらゆるところに韻を織り交ぜています。

冒頭の「百戦錬磨のGame 天下御免 革命前夜 退け」の部分から飛ばしすぎで、<錬磨のGame>と<天下御免>と<前夜 退け>と開幕から3連発をお見舞い。こういった文の中程から韻を織り交ぜていくスタイルは、これまでの山田一郎にはなかったのではないかなと思います。数々の試練を乗り越えてきた山田一郎だからこそのスキルアップなのでしょう。毎度毎度、かっこよすぎるぜ……!

そこから先は言いすぎると面白みが欠けていくと思うので、ぜひみなさんのお耳で山田一郎の成長を感じてみてください! かっこよすぎる&スキルフルで、集中していると3分22秒が一瞬で過ぎていきますよ。

ちなみに個人的に好きなリリックは<ろくでなしにBLUES>からの<信念通すヤンキー漫画のような真剣勝負 俺がキーマンだ>です。こういう小ネタも山田一郎らしさですね〜。

俺等の青春のキングギドラ、そしてDJ OASIS

キングギドラといえば、ハードパンチャーのごとくズシンと来る唯一無二の歌声とフロウで名を馳せるZeebra、ウィットに富んだリリックと癖になる声で確固たる地位を築いたKダブシャイン、この二人のMCのパワーがハンパないんです。それは「平成維新」を聴いていただければわかるはず。

その二人のヒーローを乗せるのが、DJ OASISのサウンド。HIPHOPの本場アメリカの最新の流行も取り入れつつ、とにかく骨太で安定感がものすごい。しかも耳に残るようなキャッチーさと都会ならではのオシャレさも併せ持っています。

福岡の田舎者だった私からすると、その音は東京の匂いを感じさせてくれるどこか遠い存在でありました。でも、まだまだマイナーだったHIPHOPというもので私と繋がった、ちょっと近い憧れのような存在と言いますか……。おそらくそれは東京以外のHIPHOP小僧たちはみんな思っていたことでしょう。

そんな子供の頃の憧れが、こうやって『ヒプマイ』で繋がっていくのは本当に不思議だなと思っています。『ヒプマイ』の制作陣も似たような境遇の方がいらっしゃるのかもしれませんね。

しかもただのノスタルジーで終わらせるのではなく、新たな価値を生み出しているというところが本当にすごいことです。『ヒプマイ』、恐るべし!

<次ページ:再び走り出した山田二郎が見る「Sunshine」とは>
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